第46話 選ばれる側の、選別
通界に、列ができ始めていた。
港の門前。
転移陣の周囲。
そして――受付を名乗らない場所。
共通しているのは、「入りたい」という意志だけだ。
願いは、三種類
最初に来たのは、商人だった。
「通界圏と正式に取引したい」
次に来たのは、都市の役人。
「制度の確認を」
最後に来たのは、冒険者。
「……ここで、やっていけるか?」
どれも、切実だ。
だが。
応対に出たアクアは、全員に同じ言葉を返した。
「門は、ありません」
相手が戸惑う。
「では、許可は?」
「ありません」
「登録は?」
「ありません」
「……条件は?」
アクアは、静かに言った。
「選びます」
どうやって?
役人が、苛立ちを隠せずに言う。
「基準は?
何を満たせば?」
「基準は、あなたです」
アクアは、微笑みもしない。
「あなたが、
ここで何をし、
何を残し、
何を持ち帰るか」
「それは……」
「結果で示してください」
フレイの確認
「危険では?」
カイルが、フレイに小声で言う。
「悪い奴も来る」
「来る」
フレイは、否定しない。
「だが、残らない」
「どうやって?」
「居心地が、悪い」
それだけだった。
命令がない。
役職がない。
肩書きが通じない。
目的のない者は、すぐに疲れる。
最初の脱落者
三日後。
最初の商人が、去った。
「……面倒だ」
理由は、単純だった。
「儲かるが、
俺が“偉く”なれない」
通界は、彼を止めなかった。
残った者
一方。
冒険者の一人は、残った。
名を ハルド という。
「……ここ、楽だな」
「何が?」
エナが聞く。
「嘘をつかなくていい」
それだけだった。
役人の選択
都市役人の一人は、
書類を広げるのをやめた。
「……現場、見ていいですか」
フレイが、頷く。
「見ろ」
「口出しは?」
「するな」
役人は、苦笑した。
「……厳しい」
「それが、選別だ」
リクスの立場
高台から、それを見ていたリクスは、何も言わない。
「……怖くない?」
アクアが、横に来る。
「何が」
「ここまで自由にして」
リクスは、少しだけ考えた。
「自由じゃない」
「?」
「結果に縛られてる」
アクアは、納得したように頷いた。
夜の結論
その夜。
通界には、こういう噂が流れ始めた。
「通界は、拒まない」
「だが、選ばれない」
それは、排除よりも厳しい。
小さなドーン(思想)
通界に入る条件は、
いつの間にか、こう言われるようになった。
「役に立てるか、じゃない」
「一緒に回せるか、だ」
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