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魔力ゼロって言われたけど、無限に溜まってたのでダンジョンから国を作ります  作者: 蒼野湊


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第29話 交易は、道から始まる

 街道の工事が終わった、その翌日だった。


「……増えてますね」


 アクアが、淡々とそう言った。


「何が?」


「人です」


 城壁の上から見下ろすと、よく分かる。


 荷車。

 徒歩の行商。

 冒険者の小隊。


 昨日までより、明らかに多い。


街道が変えるもの


「舗装された道は、安心を売ります」


 アクアは帳面を閉じた。


「壊れない。迷わない。遅れない」


「それだけで?」


「それだけで、です」


 フレイが頷く。


「部隊展開も速い。

 襲撃の旨味がない」


「襲われにくい道、か」


「ええ」


 結果として。


 通界は“安全な中継地”になった。


行商人の提案


 昼過ぎ、応接室に呼び出しがかかる。


「ぜひ、一度お話を」


 現れたのは、中年の行商人だった。


 派手ではない。

 だが、目が落ち着いている。


「通界は……止まらない街ですね」


「そう見える?」


「ええ。

 判断が遅れない」


 この言葉が、もう評価だった。


「提案があります」


 商人は地図を広げた。


「西の街と、東の港町。

 この街道を、定期路にしたい」


 セレナが、身を乗り出す。


「定期?」


「月に二回。

 必ず通る」


 それはつまり。


「人と金が、決まった周期で入る」


 アクアが、即理解する。


条件提示


「条件は?」


 俺が聞くと、商人は即答した。


「通行税を、一定に」


「安く?」


「はい」


 アクアが計算する。


「……単価は下がりますが、量が増える」


「どれくらい?」


「三倍は堅いですね」


 即決だった。


「通そう」


 商人の目が、少し見開かれる。


「……本当に、早い」


「遅いのは嫌いだ」


 正確には、止まるのが嫌いだ。


税は、邪魔をしない


「税率は?」


「通行一回につき、定額」


「荷量は?」


「見ない」


 商人が、息を呑む。


「……検査は?」


「しない。

 ただし」


 ノクスが、静かに言った。


「裏で把握はする」


 商人は、納得したように頷いた。


「信用、ですね」


「そうだ」


「なら、裏切れない」


川港の話


 三日後。


「増えてます」


 アクアが言う。


「また?」


「はい。

 市の使用料と宿泊税です」


「街道効果、すごいな」


「ええ。

 川港を経由する荷も、明らかに増えています」


 その言葉に、俺は少しだけ考え込んだ。


 通界の川港は、すでにある。

 ただし――


「今の川港、規模が追いついてないな」


「その通りです」


 アクアが、資料をめくる。


「荷下ろし待ちが発生しています。

 停泊可能数も、限界です」


 つまり。


「詰まり始めてる」


「はい。

 良い意味で」


拡張という選択


「……ねえ」


 セレナが、地図を覗き込む。


「この川、下流で海につながってるよね?」


「つながってる」


「今は、途中で積み替えてるだけ?」


「そうだ」


 川港は今、

 内陸物流の中継点に過ぎない。


「じゃあさ」


 セレナが、少し楽しそうに言う。


「川港、広げてさ。

 海船が直接寄れるようにしたらどうなる?」


 一瞬、静かになる。


 アクアが、ゆっくり息を吸った。


「……跳ねます」


「どれくらい?」


「交易量が、段階的に一段上がります」


 フレイが、短く言う。


「守備は?」


「増設前提なら、問題ない」


 ノクスが付け加える。


「裏も、抑えられる。

 川は管理しやすい」


結論


 俺は、地図の川沿いに指を置いた。


「じゃあ、“作る”じゃないな」


「……?」


「広げる」


 すでにある川港を、

・海路対応の施設を足す

・倉庫を直結させる

・宿泊地を増やす


 それだけでいい。


「新しいことは、何もしてない」


 俺は、そう言った。


「あるものを、大きくするだけだ」


 アクアが、頷く。


「それが、一番強いですね」


 交易は、静かに拡張する。


 壊さず。

 焦らず。

 すでに動いている流れを、太くする。


 通界は今、

 川から、海へと手を伸ばそうとしていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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