表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力ゼロって言われたけど、無限に溜まってたのでダンジョンから国を作ります  作者: 蒼野湊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/63

第28話 金は、使ってこそ意味がある

 決めるのに、五分もかからなかった。


「使おう」


 俺がそう言った瞬間、アクアはもう紙を引き寄せていた。


「では、優先順位を整理します」


「頼む」


 彼女は迷いなく線を引く。


第一優先:街道


「人と物が止まると、街は死にます」


 アクアの声は冷静だ。


「通界から西の街道。舗装率が低い。

 雨季に詰まります」


「直す」


「全面改修で?」


「中途半端はやめよう」


 フレイが口を挟む。


「防衛線としても意味がある。

 街道が整えば、部隊展開が速くなる」


「決まりだ」


第二優先:倉庫と市場


「次」


「保管です」


 アクアは別の紙を出す。


「今は“置ける量”が限界です。

 預かれないから、逃している」


「じゃあ?」


「大規模倉庫。

 常設市の拡張」


 セレナが目を輝かせる。


「人、増えるよね?」


「確実に」


「じゃあ、屋台も増える!」


 なぜ屋台に全力なのかは分からないが、正しい。


第三優先:防壁


「最後が、防壁」


 フレイの声が少し低くなる。


「今のは“守れる”だけだ。

 “安心できる”形じゃない」


「具体的には?」


「高さ。視認性。

 それと……」


 彼女は一瞬、言葉を選んだ。


「市民が、逃げ場として信じられる構造」


「それ、大事だな」


「はい」


予算確認


「全部やると……」


 アクアが計算する。


「……半分以上、消えます」


 静寂。


 誰も、止めなかった。


「問題ある?」


「ありません」


「じゃあ、やろう」


 即決だった。


工事開始


 翌日から、街は変わり始めた。


 朝。


 石材を積んだ荷車が列を成す。


 昼。


 市場に新しい骨組みが立つ。


 夕方。


 防壁の影が、少し長くなる。


「……すご」


 セレナが呟く。


「金が、形になってる」


「そうだな」


 俺は頷く。


「数字は、信用されない。

 でも、形は残る」


市民の反応


「何かあったのか?」


「街、広がってないか?」


「急に本気出したな」


 不安より、期待の声が多い。


 それが、答えだった。


アクアの報告


 数日後。


「主」


「ん?」


「もう一つ、効果が出ています」


「まだあるのか」


「工事雇用です」


 なるほど。


「職人、労働者、運送」


「はい。

 金が、街の中で回っています」


 俺は、少しだけ笑った。


「……増えるな、これ」


「増えます」


夜、城壁の上で


 夜風が、涼しい。


 フレイが、防壁を見下ろして言った。


「これなら、主がいなくても守れる」


「それでいい」


「寂しくないか?」


 少しだけ考える。


「ないな」


 正直に答えた。


「街が強くなるなら、それでいい」


 ルミナが、静かに言う。


「人は、安心すると未来を考えられます」


「うん」


「未来を考える街は、育ちます」


 金は、減った。


 だが。


 通界は、明らかに大きくなっていた。


 使った金は、消えていない。

 街の中に、残っている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ