第18話 金が余ったので、都市をドーンした
結論から言うと――
金は、貯めると不安になるが、使うと街になる。
「……余剰、金貨二百二十枚です」
アクアが、淡々と告げた。
執務室。
帳簿はもう、街の規模じゃない。
「使いますよね?」
確認じゃない。
前提だ。
「うん」
僕は即答した。
「一気にいこう」
その瞬間。
全員の顔が、“仕事する顔”になった。
計画名
《通界・第一期都市拡張計画》
(名前は適当)
リーネが、図面を広げる。
「まず、外周」
防壁を一段拡張
住居区画を外に広げる
中心部は商業特化
「今やらないと、歪む」
(正解)
フレイが、即座に乗る。
「門を三つに増やす」
「検問は、威圧しすぎない」
(抑止力)
セレナが、楽しそうに手を挙げる。
「上空動線、私がやる!」
「風の通り道、作ろう!」
(都市設計に風入れるな)
ノクスが、静かに言う。
「裏道、最初から作ろう」
「あとからだと、面倒」
(経験値の塊)
ルミナが、穏やかに続ける。
「人が休める場所を」
「広場と、緑を」
(大事)
アクアが、全部まとめた。
「予算、切ります」
三日後。
街が――
別物になった。
① 外周防壁・第二層完成
高さは控えめ。
でも、厚い。
「攻めにくい」
「でも、怖すぎない」
絶妙。
② 住居区画・一気に倍
冒険者向け簡易住宅。
家族向け定住区。
家賃は、安い。
「長く住んで、金を落としてもらう」
(アクア理論)
③ 中央大広場ドーン
市・祭り・集合場所。
噴水。
石畳。
夜は灯り。
人が、自然と集まる。
④ 公共浴場・完全体
湯気。
笑い声。
疲れが抜ける。
冒険者の評価が爆上がり。
「この街、帰りたくなる」
⑤ 倉庫・交易拠点・倍増
物流が詰まらない。
商会が言った。
「……拠点、ここに移します」
(勝ち)
完成の日。
高台から街を見る。
灯りが、増えた。
道が、伸びた。
人が、流れている。
セレナが、風の中で笑う。
「ねえ、リクス」
「もう“街”って呼んでいい?」
「いや」
アクアが即答する。
「都市です」
(確定)
フレイが、低く言う。
「……守る覚悟、できたな」
ノクスが、夜を見つめる。
「噂、変わります」
「“金が回る街”から――」
一拍。
「“無視できない都市”へ」
ルミナが、静かに微笑む。
「人が集う場所は、未来になります」
僕は、街を見下ろして思った。
(……金)
(やっぱ、使うもんだな)
その夜。
アクアが、最後に報告する。
「なお」
「拡張後も、収支は黒字です」
(当然のように言うな)
「次の余剰は?」
僕が聞くと、
アクアは、少しだけ笑った。
「……さらに、大きい“ドーン”ができます」
この日。
通界は、
「稼げる都市」から「中心になる都市」へ
完全に踏み込んだ。
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