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魔力ゼロって言われたけど、無限に溜まってたのでダンジョンから国を作ります  作者: 蒼野湊


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第10話 土属性は、街を作る

結論から言うと――

拠点がないのは、非効率だ。


これは冒険の話じゃない。

物流と安全の話だ。


「……ここです」


アクアが地図を広げた。


ダンジョン入口から少し離れた、荒れ地。

人は寄り付かない。

でも――


ダンジョンが近い


水脈がある


交易路に出やすい


(条件、揃ってる)


「買えますか?」


セレナが聞く。


「買えます」


アクアが即答。


「安いです。理由は“何もないから”」


(最高)


現地に立つ。


草はまばら。

地面は固い。

風が強い。


(……嫌いじゃない)


胸の奥が、地面に反応する。


(あ、これ)


「……誰か、いますね」


セレナが警戒する。


土嚢と仮設小屋。

一人、黙々と地面を掘っている人物。


大柄。

無口そう。

土まみれ。


(……土)


「すみません」


声をかけると、男は顔を上げた。


「……何だ」


声が低い。


事情を説明すると、短く頷いた。


「ここは、俺が測量してる」


「誰の?」


「……国の」


(あ)


「でも、予算が止まった」


(ああ……)


「中途半端に放置だ」


(あるある)


「名前は?」


「……リーネ」


(男だと思った? 残念)


フードを外すと、土色の髪の女性だった。


(属性詐欺、好き)


「土属性の建築術士です」


淡々。


「基礎、道路、耐久結界まで担当できる」


(役割、完璧)


アクアが、即座に交渉に入った。


土地購入


建設計画


収益配分


安全保障


(仕事が早い)


リーネは、地面に手を当てた。


「……面白い」


「この地、魔力の流れが素直だ」


(僕のせいかも)


条件成立。


拠点建設、決定。


「まずは、何を作る?」


セレナが聞く。


(良い質問)


僕は、即答した。


「回復所」


「次に、倉庫」


「最後に、休憩所」


(冒険者が集まる三点セット)


リーネが、頷いた。


「三日でできる」


「……三日?」


「地面が協力的だ」


(僕を見る)


(……僕のせいか)


建設初日。


地面が、動いた。


掘らない。

壊さない。

形を通す。


壁が立ち、

床が整い、

道が伸びる。


冒険者たちが、立ち止まる。


「……街?」

「昨日まで、何もなかったよな?」


(はい)


三日後。


回復所


倉庫


休憩所


拠点、完成。


ギルドから、連絡が来た。


「……正式名称は?」


(名前、要るよね)


少し考えて。


「……まだ、いいです」


(名前は、後で)


その夜。


地下観測室。


水晶は、もう静かだ。


《異常記録》

連結個体:土属性

機能拡張:地形・建築

社会影響:都市芽生え


「……芽、出たな」


僕は、完成した拠点を眺めた。


灯り。

人の声。

風の流れ。


(……街だ)


セレナが、隣で言った。


「……これ、冒険の範囲、超えてません?」


(うん)


アクアが、帳簿を閉じる。


「でも、もう戻れません」


(知ってる)


リーネが、短く言った。


「次は、防衛だ」


(ですよね)


胸の奥が、次を示す。


(火か……闇か)

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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