第五話。名前って大事。 ☆
こんばんは!
今回も開いていただきありがとうございます。言いたいことを全部、一つ前の投稿で言ってしまったので、作者はこの辺でいったん引っ込みます。
「ねぇねえ、お名前なんていうの?」
「どひゃ!?」
すぐ後ろで声がして思わず声が出た。反射的に振り返ってから二人が裸であることを思い出す。
…さっきイヤというほど思い知ったのに、俺のバカ!!
「花嫁ちゃんのお名前、教えてよー」
フェーンさんがニコニコ笑いながら立っていた。ヒューガさんもキリッとした顔で俺を見ている。下は見ない、下を見るな俺。
「しゅ、修斗です…。如月、修斗」
…なんか漫画のかっこいい名乗りみたいになっちまった。噛んでるからカッコ良くはないか?うん、恥ずい。
「えっ」
フェーンさんが何故か目を丸くして、ヒューガさんと顔を見合わせる。そして、きゃーっっと高い声を出した。
えっ、なに、どういう反応!?
「わぁいっ!」
混乱中の俺に、フェーンさんが飛びついてきた。ヒューガさんもしっぽブンブンである。
「うぁっ、ちょ!?」
近い近いっ!!
なんかふわふわでいい匂いがする上に、すべっとした肌に触れてしまって、頭が真っ白になる。
…どっっ、どうすればいいんだ!?
「ただいま…って、どうしたの」
ちょうど服を持ってジュダさんが帰ってきたらしい。二人に抱きしめられている俺を見てちょっと固まったけど、すぐにべりべりっと引き剥がしてくれた。
「きゃん!」
「何をするのだジュダ!」
「花嫁さんが困ってるでしょ。というか何をしてるの。いったん着替えてきなさい、まったく」
ジュダさんが右手にフェーンさん、左手にヒューガさんを捕まえてズルズル引っ張っていった。
「ぬぅっ、離せ!」
「あーっ、ボクの花嫁ちゃんーっ!」
「着替えたら戻ってきていいから」
そう言って、ペイペイッと華麗に追い出すジュダさん。
「…さて。ごめんね〜、賑やかで。何かあった?」
やれやれというようにジュダさんは大きなソファに腰掛けた。ドサッとかじゃなく、ふんわりとした優雅な仕草である。
「いや、名前を…」
名前を名乗っただけなんですが…。何かやらかしましたかね、俺。そんな思いを込めてつい彼を見つめてしまった。
「なんで二人があんな…、あ」
ふ、と気が付いたようにジュダさんが俺を見る。
「もしかして、本名ぜんぶ言った感じかな?」
え、はい。ついクセでやっちゃいましたが、まずかったですかね。
「ん〜とね…。ぜんぶ言うって、かなり親しい間柄にないとやらないことなんだよね。だから、ぼくらにとっては特別なことなの。説明してなかったね、ごめん」
というか何を花嫁さんに言わせてんの、とジュダさんが小さく呟いた。あ、なんか二人が怒られそうな気配。
「基本は、名乗るとしたら下の名前だけでいいよ〜。ぼくらもこの名前は愛称だし」
ふむふむ。要するに、フルネームを伝えるのは特別で、告白とか求婚みたいな感じってことか。…うわぁあああ!?
告白とか求婚みたいな感じってことか!じゃねえよ!自分の思ったことを一拍遅れて理解して、顔がボフンッと熱くなった。やらかした!!
「そうだね、求婚と同じものだと取ってもらえると」
「ぅひゃん!?」
心読まれてる!?
「あはは、素直だね〜。顔見たらなんとなくわかっちゃったかも?でも、本当にプロポーズと一緒だよ〜」
す、すごいこの人…。なんかもう色々。
「と、いうことで」
ぽかんとしている俺の前にジュダさんが歩み寄ってきて、そっと手が取られる。
「ぼくの本名はエルカデュア・レ・ジュダイドールです。よろしくね〜、ぼくらの花嫁さん」
……へ?
「……。…っえ、へぁ!?」
今ジュダさん本名言ったよなぁ!?求婚って言ってたよね!?えっっ、俺にですかっ!?
ちょっと理解に時間を要した。いや要したとか言ってる場合じゃない。俺いま頭パニック。
しかもなんかしれっと手にキスされてるし、えぇぇええ!!??なんで流れるようにそれができるんすかね!?
「ジュダ!ずるいよーっ!」
廊下からフェーンさんが駆け込んできた。しゅーっとツヤツヤの床を滑って俺とジュダさんの間に割り込む。
「ボクはウェードリグール・レ・フェーンドリヒ!ボクだってお婿さんなんだからっ」
「我はルーグルルド・レ・ヒューガルドだ。よろしく頼むぞ」
むん、とむくれてみせるフェーンさんと、入り口で颯爽と佇んでいるけど急いだのか髪の毛ボサボサのヒューガさん。
…あ、だめだ。二人の名乗りに、俺の脳が考えることを諦めた。
「…さて、これがぼくらなりの求婚だよ。きみには選択肢がある。ぼくらを選ぶか、それとも平民として生きるか」
そこでいったん言葉を切り、ジュダさんが笑った。
「…まあ、今はとりあえず、ご飯でも食べようか」
ごはん。
考える前にその単語に反応して、ぐるるるるぅとお腹が鳴る。
…空気読め、俺の胃よ…!そしてジュダさんはタイミングがいいな…!
――――――――――――――――――――――――
「…うっ、まぁ……」
とろとろと口の中いっぱいにとろける肉を噛み締めた。
なんか、めっちゃ煮込んだ角煮みたいな味!いやもっとおしゃれなんですけどね。見た目からして絶対。
フェーンさんが目の前でもむもむと頬張っている。なんかリスみたいで可愛い。
フェーンさんの隣ではジュダさんが綺麗な仕草で食べていて、俺の隣はというと、ヒューガさんが比較的豪快な食べ方をしていた。
これ、なんの肉だろ。豚…ともちょっと違う気がするんだよなあ。
「おいしい?」
ごくんとお肉を飲み込んだフェーンさんが、にこっと笑って聞いてきた。
めっちゃ旨いです。口にいっぱい入ってたからコクコクと頷く。
「ジュダとヒューガ、お料理上手だよねー」
二人が褒められて嬉しかったのか、フェーンさんがもっと笑顔になった。
…え?
「えっ、これ二人が!?」
「そだよ〜」
「口に合ったのならばよかった」
穏やか&きりりと返答される。
「すげ…」
なんかいいとこのお貴族様だと思ってたから(今も思ってはいるけれど)、自炊してるとは思わなかった…!
「自分ができることは自分でしたくてな。基本は料理人に任せることが多いが、たまに我らも作る。…それに今回は大切な花嫁に食べてもらう食事だからな、自分たちの手で作りたかったのだよ」
…な、なんかかっけぇ。
ヒューガさんが金の目で俺をじっと見つめ、低く囁く。その声がやたら艶っぽくて、なぜかドキドキしてしまう。
まあ、ヒューガさんの口にソースついてるからなんとか俺は無事なんだけど。
たぶんヒューガさんの残念イケメン要素がなければ、俺の心臓はあっという間に限界を迎えていただろう。なんてことを現実逃避気味に考える。イケメンの直球愛は眩しすぎる。
…とりあえず花嫁に関しては一旦置いておくとして、ね。てかなんだよ花嫁って。
「ヒューガ〜。いきなり花嫁だと言っても伝わらないんじゃないかな?」
わお、ナイスフォローがきた。さすがジュダさん。
「ぬ、そうか。ではまずはそこから説明しよう。…が、その前に皿を片付けるのでしばし待ってくれ」
…意外と、めちゃ家庭的だった。
途中で出てくる「ーー…」は、場面が切り替わる感じの雰囲気が出したかっただけなので深くお気になさらず…。
では、一個前の投稿でも触れましたが、これにて二日間の活動停止(木曜と金曜)とさせていただきます。…あれ、意外と短いかな?
朝も言っちゃいましたが、土曜日まででもいいんで(更新しないから邪魔しません)、ブックマークもらえると嬉しいです!評価ももしお手隙でしたらお願いします!
…って書いてみたんですけど、くどいなと感じましたので次から頻度を考えます。
それでは、本日もお疲れ様でした。
それでは最後までご閲覧、ありがとうございました!
また土曜日まで、さようなら。




