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第十話、ウェードリグールには海がある ③


「いただきます…!」


「いただきまーす」


白身魚を焼いたやつに柑橘系を添えたやつ、フライ、つみれ汁。


 それ以外にも色々あって、めちゃくちゃ美味しそうだ。


「さっきのおじちゃんたちが張り切っていっぱいお魚くれたの。新鮮だよ」


その言葉どおり、フライはさっくりしててでもパサパサしていない。つみれ汁は出汁が良く出ているし、全部想像以上に美味しかった。


「おいひぃでふ」


「やったっ!」


感想を伝えると、ぴょこぴょこと楽しそうに耳を動かしてフェーンさんが笑った。


「まだ今日は時間があるし、図書館にみんなで行かない!?広いんだよ」


ご飯も終わりに近づいた頃、そう提案される。図書館、という規模だとすると、相当大きいのだろう。


「行きたい!」


そう言うと、俺に続いて二人も行きたいと言う。


「ウェードリグールの王宮の図書館は、国内最大級なんだ。いろいろあるから楽しいよ」


「ほぅ…!」


この異世界に来てから、あまり本は見なかった。書店、というか市場?で売っているところは見ていたけれど、内容までは読んでない。ジュダさんにそう言われて、さらにワクワクした。


「じゃあ、うちの図書館に特別にご招待しちゃうよーっ!」


てーんっと椅子から飛び降りて、ずずいっとフェーンさんがみんなを引っ張っていく。


「あ、リトーシュカも来る?」


「…行かせていただきます」


後ろから声がしてビビる。長い白髪にメガネの、すらっとした男の人が、俺に軽く会釈をした。


「…リトーシュカ、さん?」


「さん付けは不要です、修斗さま」


「あ、はい」


…じゃなくて!リトーシュカって馬の名前じゃなかったの!?


「私は馬の獣人ですので」


「バレてました?」


どんな顔で俺がリトーシュカさんを見ていたのかは知らないが、そっとフォローがきた。


「…王城で犬以外の獣人の方、初めて見ました」


「我は犬ではないぞ!?」


「あ、ごめんヒューガさん」


心外なという顔でヒューガさんから抗議が来る。そういやオオカミだもんね。


「王族は今のところ犬しかいないからね〜。まあヒューガは置いておいて。この国の課題だよ」


置いておかれたヒューガさんがジュダさんを何か言いたそうに見ているが、とりあえず気にしないことにしよう。


「やっぱりか…」


綺麗な服を着ている人に犬の獣人が多かったのは、そういう理由もあったからなのだろう。夢の国〜!で終わりじゃないみたい。


「それを改善するのがボクたちの仕事だよっ!種族と性別による差別や経済格差をなくす、理想を現実に!これが、ユアーラウズの目標」


道案内を自らしてくれているフェーンさんが、さらりと言う。意外と、俺のいた世界と環境は変わらないようだ。


「性差で差別…。こっちでもあるのか」


男女差別、もしくはもっと広範囲だろうか。そう思って訊くと、うむ、とヒューガさんから返事が返ってきた。


「今の王国での問題点は、アルファが圧倒的な地位を築き上げてしまっていること、オメガの人権が軽視され、消費される存在になってしまっていることだ」


「そっか、、。大変なんだな…、ん??」


相槌を打ちかけて、違和感に気がつく。アルファ?オメガってなんだ?


「アルファとオメガって、なんだ…?」


「「「「えっ」」」」


…全員の声が綺麗に揃ったね。


「…説明なさってないのですか?まったく。…修斗様、男性、女性、そしてそこに当てはまらない性が存在する__。これは、そちらでも同じでしたか」


呆れた顔を国王たちに向けたあと、リシュートカさんが俺に向き直った。


「うん、そうだな」


「こちらでは、それに加えて第二の性というものが存在します。アルファ、ベータ、オメガに分けられまして、それぞれ身体的能力に差が生じます。オメガは、男女関係なく妊娠可能な性別です。太ももに花模様があり、一定の周期でヒートと呼ばれる発情期があります。ベータはそちらの人間の方々と同じだと思っていただけると。アルファはオメガの発情期に誘発されて発情することが多い性別です」


 …。……?


「…リシュートカ、情報が多い」


「ヒューガ様には言われたくありませんね。というかあなた方が説明するはずでしたよね?」


冷めた目でリシュートカが三人に目を向けた。気まずそうに目を逸らす王様たち。


「…まあ、図書館にはそういうことに関しての本もございます。まずはごゆっくりどうぞ」




 

当初はそんな予定なかったんですけど、繁殖のことを考えましてオメガバースになりました。同性愛(異性になるのかな)に寛容な世界を作るのに最適且つ少子高齢化・人口減少が深刻にならない最高の設定だと思ってます。

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