第十話、ウェードリグールには海がある ①
俺が異世界に来てから四日が経った。そして、俺がどうするのかを決めるまでにもあと、四日。
「ねーねーっ、何考えてるの?」
ぐににとほっぺが引っ張られて、フェーンさんが顔を近づけてくる。
「にゃんでもにゃいでふ」
「そ?」
じゃあいいや、と言ってフェーンさんが俺の膝の上に乗ってくる。軽い。そして髪と耳がふわっふわ。
「フェーン、どこに座っておる」
「今日はボクの番でしょ!」
今起きてきたヒューガさん(朝が弱いとわかった)に言われて、俺の手をしっかり抱き込みフェーンさんが言い返す。
「まあそうだな、お主も相当我慢していたからな」
今日はこいつが迷惑をかけるだろうが、よろしく頼めるかとヒューガさんが俺に聞いてきた。頷くと、安心したようにヒューガさんも笑う。
子供も犬も大好きなんです、俺。
◇◇◇
待ちきれない。
それをそのまま体現しているように、フェーンさんの足としっぽがパタパタ動いている。ぺしぺししっぽが俺の上で動いてくすぐったい。
ジュダさんとヒューガさんはちょっと苦笑しながらも、弟を見守る兄のような視線を向けていた。
そういえば、三人はどういう関係なんだろうか。そもそもすごい仲がいいけど、どうやって出会ったんだろう。
王が複数いると争いが起きそうなものだけれど、そういうこともないみたいだった。
「しゅーとって、何か嫌いな食べ物ある?お魚は好き?それとも果物とか!?」
俺を見上げたフェーンさんに質問攻めにされる。その口ついているスパゲッティのソースを、ヒューガさんが手を伸ばして紙ナプキンで拭った。
「ん〜…、特にはないかな。俺は魚も果物も大好きだよ」
魚という選択肢がある時点で、海か川があるのだろうと見当がつく。俺は特にアレルギーとかはなくて、あと基本的になんでも美味しく食べられるタイプの人間である。
「やった!」
ぱああっという感じに顔が輝く。表情が豊かで可愛い。
「あのねっ、あのね!ウェードリグールにはね、海と市場があるのね!だからっ、こっそり『お忍び』で探索しよっ!」
…それでいいのか王様…っ!?
◇◇◇




