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使い魔召喚しましたが……

作者: 瑞多美音


 「では次の者、魔方陣に立つように」

 「はい……」


 召喚用の広い部屋にて、誰よりも顔色が悪い少女がいる……それは私である。

 私はクラスでも落ちこぼれに分類されるため、なんとしてもこの使い魔召喚儀式で結果を残さなければいけないのです……貧乏にもかかわらず学園に通わせてくれている両親のためにも、無事に卒業して就職しなければ!卒業生のほとんどはエリート街道まっしぐらだから、私もそれにあやかりたいのです。


 7番目は縁起がよいとされ成績の悪い私に配慮した同級生たちが譲ってくれました……ありがたい限りです。

 しかし、私の前に召喚した侯爵家令息はブルードラゴンだったんですよ……広い室内とはいえすぐそばに出現したブルードラゴンはすごい迫力で睨まれたら膝が笑いそうです。

 ですが、ブルードラゴンは結構狭苦しそうにしていて契約後は小さくなって侯爵家令息の頭に着地しました。小さくなったらすごくかわいいです。鳴き声もグルグル言ってたのがクルクルになってます……かわいいです。


 こんなことができる使い魔は珍しいようで、次はどんな使い魔かと期待値が上がってプレッシャーが半端ないです。ブルードラゴンに睨まれていないのに膝が笑ってきました……

 使い魔召喚儀式は学園ではこの1回限りです……個人で使い魔召喚儀式をするには莫大なお金がかかるので、貧乏な私には今後儀式をすることはできないと思います。つまり、一生の相棒がこの瞬間にかかっているのです。


 「貴女なら大丈夫よ」

 「がんばって」

 「頑張れ」

 「は、はい!」


 魔方陣の中心に進み、文言を唱えつつ魔力を注いでいきます……すると、前の6人より確かに魔方陣は光かがやき、7番目に強い使い魔が召喚できるというのは本当だったのかと周囲もざわつきだしました。


 私も期待と緊張と魔力が消費されていく感覚で心臓がドキドキ……


 やがて光がおさまり私の前に立っていたのは……うん?幼女?


 「えっと、あなたが……私の使い魔ですか?」

 「ふはははー、妾を使い魔にするじゃと!笑止千万じゃわ!妾の力を思い知るがよい!」


 そういうと指先からポフッと火の粉が飛び出ました……ん?


 「お、おかしいぞ!ええーい!もう一度じゃ!」


 お、今度は指先に火がつきましたね……それ、私にもできますけどね。生活魔法は基礎の基礎ですからね!


 「なんでじゃー!妾の力はこんなものではないのだぞっ!」

 「えっと……緊張したのでは?ほ、ほら沢山ひとがいますし」

 「うぅー……そうかもしれん」


 私にとって、やり直しはできない使い魔召喚です。ここで契約してもらえなければ卒業が危ういのです……この授業は契約さえできれば合格ですから。たとえ見た目が幼女でも契約してもらいたいのです!


 「んんっ……では契約してくれ。そして次の者、魔方陣に立つ準備を」

 「はい!」


 そうでした。私のあとにもたくさん待っているんでした。


 「えっと……よろしくお願いしますね?」

 「うぅー」


 目に涙を浮かべながらも握手をしてくれたので契約成立である。よかったー。

 応援してくれた同級生たちも生温かく見守ってくれています。


 はぁ。私の使い魔はおでこから角のはえた幼女でした……帽子を被ってしまえば普通の幼女と変わらないのに、そんな小さな子をダンジョンや危険な場所に連れていくとか私が鬼畜みたいじゃないですかぁ。

 もちろん、相棒なので見捨てたりはしないですけど、どうするかはちゃんと考えないといけませんね。

 きっと、食事は魔力じゃなくて私と変わらないものなんだろうなぁ……食費かかるなぁ。比較的安全なダンジョンで資金調達頑張りましょう。


 あーあ……せっかく皆さんが譲ってくれたのにラッキー7というよりはアンラッキー7だったなぁ……まぁ、同級生の使い魔のなかで可愛さは断トツなんですけど強さ的にはちょっと……ね。


 「妾、こんなもんじゃないからなっ!ほんとはもっと強いんじゃぞ!」

 「そうなんですね」

 「うむ。ほれ、そこのブルードラゴンなぞ一撃なのだぞっ!」


 あら、いくらブルードラゴンさんが小さいからって生活魔法で一撃は……無理ですが、それを言ったらご機嫌斜めになってしまいそう。幸い侯爵令息もブルードラゴンさんも気にしていないようなのでうんうんと相槌を打っておきましょう。


 「むっ、お主信じてないなっ!いまに見てろよっ!すぐに力を取り戻して見せるのじゃ!」

 「はい、待ってますね」

 「うむ!」



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