因果応報
たくさん食べて
たくさん遊んだ
あの子は健康で
たくさん笑って
たくさん泣いた
あの子はイケメンで
すごく楽しそうにしゃべっていたあの子の声は
凛と美しくて、奇麗だった
いっしょうけんめいに勉強したあの子は天才と呼ばれて
小さな頃からスポーツが好きだったあの子は金メダルを手にして
たくさん折り紙を折ったあの子は器用になった
クラスの中心だったあの子はお笑い芸人としてテレビに出て
正義感の強かったあの子は女性警察として奔走している
そんな中、僕は何をしているのだろう。
ベットの上に転がしておいたスマホがブルブルと揺れる。
ほんの少しの気だるさを感じながら立ち上がって、ゆっくりとスマホを取り上げて三秒。
待ち受けに表示されていたのは、なんとも残酷で無機質な『解雇届け』
解雇、解雇、解雇……。
そんなふうに、解雇という言葉が頭の中を埋め尽くして何度も回っていく。
信じられず、何度もその一文を読み返していると、僕は無意識の内に乾いた笑いをこぼしていた。
それは、絶望のあまりこぼれた苦笑いだったのか、それともブラック企業から解放された喜びの笑みだったのか。
それから一年後の今、僕は新参のベンチャー企業を経営している。
絶望から立ち直ったのか、それとも喜びを味方に付けて死に物狂いで戦ったのか。
それとも、何か、とんでもない幸運が転がり込んだのかもしれない。
けど、一つ確かなことは、今の結果は全て僕が選んだものであり、全て僕が決めた運命であるという事。
そう、『因果応報』だ
爽やかな春風を背に、今日も僕はデスクに向かう。
昔は変えられなくとも、今は変えられる。
そうやって、因果応報の軌道を修正していくんだ。
さぁ、君はどうする?
ランキング入りは……夢は、見るだけじゃ叶わない。
さぁ、次の作品を作ろう……。
と、その前に、僕の作品の評価、お願いしてもいいですか?
1~5、素直な数で大丈夫です。