第6話
朝になって起きてみるとゴブリンやらオークやら集まってくる。そんなに嫌われているのだろうか。食べ物は自分で作れるのでオークは必要ないし、ゴブリンも大した金にならない。漫画とかで魔物には魔石が心臓部にあるため、解剖したら出てくる気がする。それぞれ一匹ずつ残して消滅魔法で消してゴブリンに胸にナイフを突き刺して開けた。見つかりはしたが小指の先ほどしかなく、色もかなりくすんでいて品質がかなり悪いことがわかる。同じようにオークもやるとゴブリンのものより、少し大きく、色も少しくすんだものが出てきた。ギルドで買い取っているところはおろかこの世界では名前すら聞くことがない。魔力を流すと二つとも光るだけだ。ゴブリンのは1分でオークのは3分が限界だった。対して使い道がないのだろうか。とりあえずこれも消滅魔法で消して街に向かった。
*********
Dランクになって受けれる任務が増えて、モンスター相手でもできるようになった。毎朝わらわら集まってくるので倒すことが朝の日課になるレベルだ。
その気になれば1週間でCランクに行けそうだが目立つのは嫌だから二ヶ月かけてゆっくりレベル上げすることにする。
「ゴブリン一匹で50パラルか。安いな」
「お前がモンスター倒せるわけないよなぁ?お前にはこれがお似合いだぁ」
どこにでも生えている野草の採集の任務を押し付けようとしてきた。
「もちろん俺様がアドバイスしたから報酬の9割は俺様のだからなぁ」
正直だるい。絡む時間があるならその分任務を受けて稼げばいいのに。堂々と無視して行こうとしたら
「ふざけんな。この俺様を無視するんじゃねぇ」
殴りかかってきたので避けて足を引っ掛ける。見事に転んだ。
「僕より殴りかかって自分で勝手に転ぶあんたの方がモンスター討伐するのは危険じゃないか」
「覚えてろよ。一生残るトラウマを植え付けてやるからな」
関わりたくないので堂々とスルーし受付に行って
「ではこれを受けます」
「それは今日中にしっかりこなしてきてくださいね。今日クリアできないと報酬はもらえないので気をつけてください」
*********
さっきからずっと視線を感じる。尾行だろうか。あまりにもわかりやすすぎて何にも思わない。さっきの冒険者の逆恨みと言ったところか
「そんなバレバレの尾行でついてきてもらっても困るけど。早く出てきたら?隠れても意味ないしわかりやすいよ」
「お前なんかここで殺してくれるわ。せいぜいここで俺様に殺されることに感謝しな」
ロングソードで勢いよく進んでくる。動きが単調で簡単に避けられる。
「その程度の動きなら野草を回収しながらでも避けれるね」
「ふざけるな。さっさと死ね」
「どこに攻撃しようとしているんだい?僕はここだよ」
「くそッ、なんで当たらないんだ」
少しずつ森の奥深くに進んでいることにアレは気づいているのだろうか。見失われないように程よく距離をあけて見つけたゴブリンを素早く倒す。
アイテムボックスにすぐに入れれば問題ないのですぐ倒してすぐ入れることを10回ほど25匹前後倒したところで陽が沈んできた。
「じゃあね。僕は自分の任務を達成したから戻らせてもらうよ。君もがんばってね。あと冒険者っていうのは自分より下のランクや実力のやつに任務を押し付けて金を稼ぐ職業だとは本当に知らなかったよ。教えてくれてありがとうございます先輩」
「報酬全額寄越したら殺さずに両腕だけで許してやるよ」
「ではこれで僕は帰るので頑張ってください」
ペースを上げ少し森の奥に進んでから少し離れたところから引き返した。おそらくこれであいつを撒けただろう。人の心配ができるということはそれだけ実力があるのだろう。問題ないはずだ。15分ほどで森を抜け街に戻った。
*********
冒険者ギルドの受付で
「これお願いします」
「ゴブリンが25匹と野草が30本ですね。合わせて1500パラルになります」
「ありがとうございます」
だいぶ金が貯まってきた。もうすぐ10000パラル(日本円で100000)くらいになった。武器も食糧も自分でつくっているので必要はないがあって困ることはないのでもっている。いつもの寝る場所に戻ろうとしたら
「おい貴様、フィロスはどこだ?」
「知らんしそもそも誰だ?」
「どこにいるか答えろ!」
「その人が誰か分からんから答えようがないな」
「殺すぞ」
「僕には関係ないし脅してもないものは出ない」
「死んでも後悔するなよ」
長剣を持ち勢いよく攻めてくる。対してはやくないしCランク程度だろうか。森の中に逃げていったらあれと同じように負けるだろうか。森の方に逃げていく。それなりには速いため街中では撒けなさそうだ。
「勢いよく攻めてくる割には全然ついてくるだけで精一杯のようだな。それで殺せるのか」
「まだ本気を出していないだけだ。あと3倍は出せる」
森に着いた。もう夜であり木が押し茂っているために視界がかなり悪くなっているハズだがしっかりついてきている。15分経ってもまだついてくる。あれとは随分違い体力もありこういうのになれているのだろう。日常的にやっているのかもしれない。面倒なので幻影を出して木に登ることにする。幻影は動きがだいぶ単調(多くの人から見たら判別が難しいレベル)になってしまうのでば勘が鋭い人や人の動きをよく見る人にはばれる可能性がある。10分後…
「撒けてない、か」
「そろそろ諦めたほうがいいんじゃないのか?木の上では逃げ場がないんじゃないか?」
「そういうお前こそオークに囲まれているが大丈夫なのか?」
「嘘をつくな。どうせまわりに注意をむけさせて逃げるつもりじゃないか?」
「そうか。じゃあ生き残れるといいな」
「何をいって…かはっ」
「もう少しまわりに目をむければよかったね。たすけるつもりはないから安心して」
「助けやがr」
気絶したようだ。目のまえに弱った獲物がいるからか見逃してくれた。