第5話
ゴブリンという名のオークを倒さないとランクが上がらないらしい。やはり記憶が消しきれず戻った可能性が大きい。後ろから来ていた尾行も意識が回復した可能性もあるので下手に逃げることもできない
「ゴブリンはできてもオークを狩ることは流石にできませんよ」
「これのどこがオークなのだ?これはゴブリンだぞ。倒せないとランク昇格にならないぞ」
諦めて相手の本心を聞き出すことにする
「こんなところまで連れてきて何がしたいのですか?ギルドマスターさん」
「何ってランクの昇格試験以外に何があるのですか?」
「では本来こないはずの後ろから来ていた来ていた尾行は何なのですか?」
「周囲の安全に気を配ったり緊急時に対応してもらうためですよ」
まだ本音を言ってくれないらしい
「それはもともとAランクまで行っていたあなたなら必要ないことではありませんか?」
「少し前にあなたと雰囲気の似ていた人が勇者パーティーから追放されたあの人の居場所を知っているらしくてその場所を教えてもらいたいだけですよ。場所を教えてくれませんかね?今なら何もしませんよ」
「あなたが彼を勇者パーティーに渡すようなことがなければ教えますよ」
「わかった」
「これがあれば僕が誰かぐらいあなたならわかりますよね?」
勇者パーティーに入ったときに渡された杖と本の描かれたコインを見せた
「それは……」
「これで僕が誰だかわかったはずです。もちろん約束は守ってくれますよね?」
ゴブリンの集団を魔法で倒しながらきく。
「あぁ、守ろう。そしてランク昇格だ無事Dランクになれたようだね」
*********
昇格試験から帰る途中
「武器を捨てて投降して貰おうか」
「約束を破るということですね」
「立場の低い者の約束を守る価値などない」
オークを倒す前に気絶させていた人たちだった。全員剣を構えて僕を囲んでいる。
「それではギルドマスター、これが世間に露見してもいいということですね」
ギルドマスターにある全ての黒いところが書かれた黒い手帳を見せる
「どこでそれを見つけた‼︎」
「約束を破られないようにいただいたものですよ」
「くっ」
どうやらあの立場にいるためにはバレない必要があり迂闊に行動できないようだ
「僕の正体を守ってくれている限りはこのことを話すつもりはないけれどどうしますか?」
「お前の正体を言われたくなければそれを出すんだな」
「内容を全て記憶してますし、コピーなので本物は別にあるのでいいですよ。これは正体を守るために必要なのですからね。どうせこれを渡したとしても突き出すことくらい分かりますからね」
「所詮Dランクの冒険者の言うことだ。Dランク冒険者とギルドマスターとどちらの言うことが信頼できる?」
「実際に公表して確かめてみます?そうすればどちらが信頼できるかわかりますよ」
「もういい、殺るぞ」
ギルドマスターと尾行の5人で狙ってくるため必ず死角に1人は入る。常に移動し続け、そうならないようにすることや町まで逃げてこのことが世間に知られるようにしている。相手もすぐにこちらの目的を考え、妨害してくる。やっぱ5人は理不尽だね。
今度はこちらから攻撃をしていく。10分経過したあたりで死角に常に2人がいるようになりかなり不利になった。前の3人に対応することがギリギリで死角の2人に対応できずに心臓部を刺され、自分の幻影が消えた。
*********
「いつの間に奴に逃げられた?」
「おそらく戦う前から幻影だったと」
「普通の幻影に比べやつは精巧に作り、動きが複雑なため気づけませんでした」
「次は絶対にあの手帳を取り戻すぞ」
「まだ狙う気か。こちらから牽制すればいいか」
伝言を書いた矢を6人のいるところにうちそのまま街へ向かう。街に戻らず森に行くことにした。
*********
6人で話し合っているところに矢が飛んできた。
「誰だ?」
「おそらく奴だと。こちらを牽制することが目的だと」
「矢に伝言の書かれた紙が巻いてあります。中には…Dランクへの昇格ありがとう。Bランクになったらここから移動するつもりだからその時にあんたがギルドマスターならこの手帳を返却し、全ての証拠を隠滅する。あんたや尾行がもし攻撃してきたり、俺の正体を公開したらこの手帳のことを世間に公開する。この関係がBランクになるまで続くことを期待している…だそうです」
「くそっ」
「これは相手が一枚上手だったようですね。」
「早く奴にはBランクになってもらわないといけないようだな。とりあえず帰るぞ。考えるのはそれからだ」
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とりあえずDランクに昇格できた…はずだ。あのギルドマスターなら何をしてきてもおかしくない。これでお金に困るようなことはないはずなので宿には…泊まらない。場所を特定されたらめんどくさいことになる。
今回もカロリーチャージと水を作って転移の魔法陣が作れるか作業しながら過ごしていった。それともう一つ実験を行った。創造魔法以外で武器が作れるかどうかである。鍛冶屋で売られているような武器はいいものと悪いものの区別がつかないから買う気はないし、作れれば時間も金もかからずいつでも作れるようになるからである。
「アイスソード」
試しに作ってみた。刀をモデルにして作っていく。細かい調整は後にして強度と切れ味を確かめる。ゴブリンとオークがやってきた。いい実験体である。使ってみたところ、強度は問題ないが切れ味が相当悪いために使い物にならなかった。より薄く鋭くすることと強度を意識して作る。また実験体がやってきてくれたので確認したところ切れ味がかなりよくなっていたので満足した。岩に叩きつけるとすぐにヒビが入るのでまだそこまで強度が強いと言えないがモンスターが倒せるので作業をやめた。ランク昇格試験で解除していたバフとデバフの魔法を自分にかけた後、じめんの中に空間を作って寝た。