書類整理の騎士と騎士の内情
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
「ショウゴの事だから、ゲームと現実は違うと思っているのだろう。だってそっちにいない生物との戦闘ゲームだからな。だがな、どういう訳がゲームの魔獣の弱点と特技がほぼ同じなんだ。多少違いもあるが、それも知られていない事の可能性がある。調査する必要がありそうなんだ。」
ヒルトはそれはそれは楽しそうに話しているが、俺はその事実が信じられない。
だってゲームの魔獣は本物とほぼ同じ生物という事らしいからだ。
どういう事なんだ?あれは想像上の生物じゃなかったのか?
「それは面白そうだな。なら魔獣使い以外にどんな戦闘要員がいたんだ?」
「なるほど……… こちらにもショウゴの事例があります。あちらの世界にこちらの者が渡った可能性もあるかもしれません。ショウゴの世界は隣の世界で、昔から行き来があったのでしょうね。」
なんかすごいな。という事は俺達の世界にこちらの消えた知識が流れている可能性があるって事だよな。
それを俺達は知らずにゲームへ登場させ遊んでいる。
そして独自の戦術を使い、知識を高め合っている状態だ。
ゲームが更新されれば、武器も戦闘員もより多彩になり進化する。
”まさになってこったの世界だ。笑えねぇ……… ”
そりゃヒルトが必死にスウィッチするだろうよ。
偉く短期間で玄人並みに扱えてビックリしていたが、そんな背景があったとは………
「ホントマジで焦った。久しぶりに真剣にスウィッチ攻略取り組んだぜ。キマイラの討伐方法もわかったし、リヴァイアサンも理解した。ショウタの方がより詳しく知っているだろう。俺の師匠だからなw」
ホントマジで祥太がとんでもない事になっている。
ただ遊んでるだけなのに、魔獣博士状態だ。
俺も時々遊びに付き合っているけど、祥太ほど詳しくはない。
「クラウド、祥太の話だとショウゴはネクロマンサーをよく使ってゲームしているそうだ。なっショウゴ♪」
何だよ突然、ネクロマンサーは使い勝手がいいんだぞ。
こうアウトサイダー寄りだけど、とても便利な奴なんだ。
それなのにクラウドさんとユーグさんが信じられない物を見るような目で見ている。
「何がいけないんだよ。調査には便利だよ。だって死霊だよ。最強だよ。見えなくも見えても凄いし、何より燃費がいいんだよ。防衛にも適しているだろうが、非道だろうが死んでるんだからいいんだよ」
自分の持論を意味なく言う俺。
だってゲームの話なのだ。現実だとしてもスキルは自分で選べるものじゃない。
持っている者を有効活用する。当たり前のことだ。
神がいると言うなら、そのスキルを人に与えるのもまた神なのだ。
それに文句を言うなら、その人間は神に唾を吐く行為をしている事になる。
つまりこの世界に存在するなら、そこには神の意志があると思った方がいい。
変に排除意識を持つと逆に拗れるパターンと思うからだ。
「つまりショウゴは闇系統も使い方次第と思っているんだな。所属も関係なくそういう風に」
ユーグさんが俺に確認する様に聞いて来る。
だから俺はさっき思った事を言った。
持っている者を有効活用する事に何が問題なのか。
あると言う事は必要であるという事で、存在しているのではないかと。
俺達の世界の様に、自然に存在しない物を作るなら問題だろう。
でも魔法とかスキルは元々あるものなのだ。
そこに善だ悪だと定義したのはそこに住む人達なのだ。
「確かにな。元々ある物に意味を持たせたのは生きた者達だな。そこの良し悪しなんかあるはずないな。存在しているという事は必要と神が言っているようなものだな。」
クラウドさんも机に肘をついて、行儀悪い格好で言っている。
だいぶ夜遅いんだろうな。外は真っ暗だ。
これがホントの夜で闇なのだろう。
ホント何も見えない真っ暗だ。
その分凄く遅い時間に感じるのだ。
星の瞬きはその分凄い。だから思った。
祥太に見せるべきだったのではと、ここまでの闇は早々お目にかかれない。
星の煌めきもここまでしっかりと見えないだろう。
空気の澄み具合が違うからなおさらだ。
「今ってどれくらいの時間帯なんだ?凄く真っ暗で外に人がいるとは思えない」
城内では警備兵が巡回しているらしいが、こんなに暗くてわかるのだろうか?
それよりも俺自分の部屋に着く事ができるのだろうか?
現実問題が浮上する。真っ暗な城内って怖いよな。
「今はおおよそ22時頃ですね。ショウゴさんの所だとまだまだ明るい時間帯ですよね。子供でさえ遊んでいますから、ホント不思議ですよ。ここではこんなに皆が寝静まっている時間帯なのに」
ユーグさんがしみじみと苦笑交じりに言う。
まだ22時なのだ、気分は夜中の2時ぐらいなんだけどな。
「他にどんな戦闘要員がいたんだ?で担当する内容はなんだ?」
クラウドさんが他のキャラを聞いて来る。
まあ、組み合わせとしては面白いかもしれん。
「面白れぇと思ったのは、盗賊と踊り子で、探索と密偵で動いてたな。魔獣使いならぬ、蟲使いっていうのもいたぜ。俺はこの蟲使いはすげえと思ったな。ショウゴと同じ理由なんだが」
「暗殺者と錬金術師もいいよな。ヒーラーが少ないから薬師でもありかな。回復師でもありか」
「だなぁ。そういや獣や魔物を従えている使役しているヤツの事、従属士っていうだろう。それに騎士にも白騎士黒騎士があったな。うん、そんな感じで振り分けもありだな」
「ホントに騎士もいない魔獣もいない世界なのに、何でそんなに詳しいのか。ホントショウゴさんの世界は不思議ですね。やっぱりこの世界とどこかで繋がっているのでしょう。」
クラウドさんが立ち上がり書籍の棚へ向かい本を一冊取る。
そしてユーグさんに見せ、その後ヒルトにも見せる。
俺もその時一緒に見たが、もちろん何と書かれているかわからない。
「それ何?」
だから聞くしかないんだよな。
せめて絵ぐらい書いてあれば判り易いの残念だ。
「職業スキルが書いてある。そしてその特徴だな。ヒルトが見たゲームというモノと内容に差異がないか気になってな。どうなんだ?ヒルト」
ペラペラと捲り本を読んで確認している様だが、どうなのだろう。
ときおり眉間にシワを寄せている事もあり、凄く気になるのだが………
「こりゃ大分協会の改ざんが見受けられるな。闇属性など、魔獣から生まれた扱いになってやがる。光は完全に神の使徒扱いだし、うん、これはなしだな」
ニコニコと笑ってポイッと放り投げた。
オイオイ、この世界の本は貴重と言っていなかったか?!
「種族間の内容もこれに近いでしょうね。ショウゴさんに出会って、今ではすごく違和感のある書物になっていますよ。洗脳されていたのでしょうね。」
「少しの考え方を変えただけなのに、今まで可笑しいと思っていたことが、すんなり納得いくという事は、そういう事なんだろう。歪な説明ではどこかで綻びが出来るものだ。だから違和感が合ってもおかしくはない。どんなに考えても答えが出ないのは、式が元から間違っているからだろう」
クラウドさんもユーグさんも、そのまま本をほったらかしだ。
そして俺は俺でいらないならくれと思う俺。
だって異世界の貴重な本だ。文字だって異世界だろう。
何だかスゲーと思う俺は欲しくてたまらない。
「ショウゴ物凄く物欲しそうにしているが、あの本欲しいのか?」
俺の様子にヒルトが聞いて来る。
まあ、アレだけジーーと見ていれば気づくよな。
「貰ってもいいか?いらないなら俺にくれ!異世界の本だし文字だもんな。思い出にくれ!」
俺は素直におねだりする事にした。
出来れば植物図鑑や魔獣図鑑も貰いたい。もちろん絵が描かれてあるヤツだ。
「わかった。いろいろと見繕ってやるさ。私達も本は知識を得るのにいいから、絵が描かれてあるのがいいのだろう。ショウタにもこっちの絵本と文字の練習帳でもプレゼントしてみようかな」
そう言って話していると、ノックの音が響いた。
どうやら書類担当騎士はやっぱりいた様である。
机にいた時どんな様子だったか、ついでに聞いてみようと俺は思った。
書類担当騎士はものの見事に想像通りの様子だった。
寝不足気味の目の下の隈と虚ろな目、肌質のボロボロ加減とヨレヨレ感………
うん、完全なるレッドカードだった。
これにはクラウドさんもユーグさんも啞然としている。
迎えに行った執事に俺は聞いた。
「すみませんが、迎えに行かれた時、彼の机の上はどの様な状態でしたか?ついでに部屋に彼以外いましたでしょうか?」
「ハイ、机の上には落書きのような紙が山と積まれていました。個人的会見で申し上げると、その落書きのようなモノからこちらの書類に変換する事が不思議でなりません。彼以外どなたもおらず、手伝いもない状態でした。ついでに机は幾つかありますが、椅子は一つです。組織ごとに束が置かれている状態でしょうか」
迎えに行った執事も思う事があるのか、ヒルトをときおり睨み苦言を呈している。
書類担当騎士は、レミオさんというらしい。
今は、ユーグさんがポーションを飲ませ、ついでにインスタントラーメンを作って食べさせている。
微かに香るんだろうな、執事も気になるのかチラッ見している。
「中々壮絶な現場だったようだな、ライアン。お前が必要以上の話をするのは珍しい。」
クラウドさんが笑いながら、カップ麵を渡している。
執事のライアンさんが、不思議そうにカップ緬を見る。
「あの者と一緒に食べてはどうだ。これは異世界のラーメンという食べ物だ。私が作ってやろう。ショウゴ、この者は影の者だ。情報をいろいろと知っていると思う」
そう言って中へ進める。
ライアンさんは恐縮しているが、作り方がわからないので作り方を見ている。
食べてるレミオさんもガン見だ。
ふたを開ける、お湯を入れる、3分待つ。出来上がり!
「あの……… 魔法でしょうか?」
とっても不思議そうな顔をしているライアンさん。
湯気から美味しそうな香りがするので、料理が出来上がっているのはわかるだろう。
「あの、このお湯特別なお湯何ですか?」
レミオさんはお湯が特別なのかと聞いている。
それを聞いて愉しげなクラウドさん。
ハムハムと食べながら、目を見開いて驚き固まっている、ライアンさん。
そこで固まっちゃダメだと思う。復活して早く食べて欲しいものだ。
「さてヒルトよ。この者が倒れたら、騎士団は機能停止だぞ。ライアン、後ほどレミオの賃金関係を確認してくれ。食べ終わったらでいいからな」
笑いながらクラウドさんに指示をだし、イソイソと食べる準備をしているヒルトを睨んだ。
でも香りを嗅ぐと食べたくなる人の心理は理解できる。
ため息をついたユーグさんは、ゆったりとお茶を飲んでいた。
****************
ライアンさんは食べ終わり退室し調査に向かうようだが、他の皆はのんびりとお茶していた。
レミオさんは凄く縮こまって蒼褪めた感じなんだけどね。
見ていてとても痛々しい。
俺はゴソゴソとバックを漁り、栄養ドリンクを渡す。
もしもの時を考えて準備していたのだ。
ホントは眠気緩和もあるが、やっぱりここは栄養ドリンクだろう。
一応少し飲んで、大丈夫か確認した後飲む様に言った。
他の三人も欲しそうにしたが、必要そうに思えない。
物欲しそうな顔をする三人には、コーラを渡しのどを潤した。
レミオさんも飲んで落ち着いて来たのか、フー……… とため息をついた。
少しは身体の調子が良くなればいいのだが、まったくとんでもない事だ。
「少しは落ち着いたか、レミオ。突然呼び出して悪かったな」
「仕事が大量にあると伺いましたが、それは放置で結構です。明日はこちらにいるショウゴさんと一緒に仕事をして貰います。いいですか、ショウゴさん?」
「初めまして、ショウゴと言います。よろしくお願いします。」
「レミオ、今まですまなかったな。ちゃんと見てなかったばかりに負担かけちまってホント申し訳ない」
皆から次々話しかけられてパニックしながら、手を振り「大丈夫です~」とか言っている。
全然大丈夫な状態じゃないんだけどな、こりゃ重症だな………
「さて、実は騎士団を新たに編成し直す。だから今の書類は放置でいいんだ。あれは君がする事じゃないからな。基本報告するのは、行なった本人による報告書だからだ。こちらも手が回せなくて申し訳なかった。明後日からは五日ほど連休し、身体を休ませてくれ。」
クラウドさんがレミオさんに言っているけど、この人ホントにゆっくり休むだろうか?
俺が訝し気にレミオさんを見ていたものだから、ヒルトが聞いて来たので俺の懸念を伝える。
「レミオ休暇中は俺の屋敷逗留だから、監視付きでゆっくりして貰うぞ。お前が身体壊したらマジで騎士団は機能停止状態になる。」
「一応診てもらった方がいいと思う。レミオさん変な事を聞きますが、おしっこちゃんと出てます?色が赤っぽいとかありません?腰が痛いとか怠いとか……… 」
俺がそんな事を聞いていると、レミオさんはビックリした顔をして俺を見る。
なるほどやっぱり腎臓か肝臓辺りをやれていそうだ。
血尿も出ているとか最悪じゃねぇか。
「明日は朝一に身体を見て貰おう。たぶん腎臓か肝臓当たりやられていそうだ。それに胃も可能性あるな……… 申し訳ないけど、温めたホットミルクを持って来て貰えるかな。炭酸は胃を傷めるから」
ラーメンも胃がビックリして腹痛起こしかねないぞ。
要観察だなこりゃ。時間がないのに、なぜか滞ることばかり………
俺はため息をソッと吐く。終わりが見えない。
「あ、あの騎士団が編成し直すとはどういう事ですか?それに私は一体どうなるのでしょうか?」
ビクビクしながら、蒼褪めて聞いてくるレミオさん。
休みより体より、そっちが気になるという社畜根性。
「新たな組織の中に組み込む予定ですよ。ただ貴方自身が思っているよりも、貴方の重要度は凄く高いのです。なので騎士団長の屋敷で休養を取って貰い、新たな組織で働いて貰います。」
ユーグさんが言った事が信じられないのか驚いた顔をしている。
自分が重要人物扱いになるとは、思ってもみなかったのだろう。
「今の騎士団の組織は判り辛いし、ちゃんと機能しているのか判断できないんだ。仕事量も偏りが大き過ぎるのではないかという話になってな。それに予算の使い方も怪しい。だから詳しい人物は誰かという話なって、君が浮上したという事だ。書類の字が全て同じだと、宰相が言ってな。」
クラウドさんが説明していくと、かすかに頷きながら考えている。
どんな事を考え頷いているのか凄く気になるな。
「レミオさん、気になる事や考えている事を教えてくれないかな?ヒルトが余りにもお粗末で、全く組織を理解できていなかったんだ。」
「余りに組織が多過ぎて把握出来ていなかったんだ。すまん、聞かれてこんな組織あったかと疑問に思っちまった。」
俺が砕けた様にわざとらしく貶して、言ってみる。
ヒルトも乗っかりというか、ホントの事をぶちまけた。
レミオさんは唖然と俺とヒルトを見ている。
「つまりこんな感じなので、君を呼んだんだ。ホント困った事だな。」
「新たな組織図も作ってあります。そちらのご相談もあるのでよろしくお願いしますね。」
またまた蒼褪めていくレミオさん。
とっても責任重大なお仕事だった。
そんな事をしているうちに、ライアンさんが戻って来た。
結果から言うと見事なレッドカード。
新人も新人の研修生扱いの賃金を支払っていた様だ。
さすがにヒルトもどういう事だとお怒りモード。
大体上司はいったい誰なんだ?支持をしている者は誰なんだと?
そして浮かんできた人物は、ヒルトが信頼していた部下だった。
ほぼすべて任せていたらしいのだが、ここがこんな感じなら他のもとても怪しい事になる。
レミオさんから、どの様に書類を渡していたか聞いてみると、ほぼ丸投げ状態で渡され細かな記述は、調べたり確認しながらの作業だったそうだ。
「それじゃあ、その人が組織の仕事を振り分けているのかな?」
俺が一応確認の為、ニヤニヤしながら聞いてみる。
たぶん丸投げヤローがきちんと振り分けする訳ねぇだろと思いながら、
「多分そうなんだと思いますが……… ときおりこれは俺達の担当じゃないと、私に渡される事があるんです。なのでその振り分けも時々手伝っている状態でして……… 」
皆がヒルトをジーーー……… と見る。
組織を混乱に陥れてもいるらしい。
こんなヤツが副団長なんてあり得ねぇ………
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)