遂に逢いました、異世界人 【 シリウス視点 】
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
今日も平穏な日常を過ごす。
相変わらず兵士と騎士がグダグダやっていたが、話を聞くと訳の分からない事を言うのはいつも騎士だ。
大体立派な剣を所持しているのに、魔獣討伐を兵士に依頼する事がおかしい。
“この騎士達、訓練所で見た事ないな……… ”
最近気になるのは、訓練生でもなかった者が騎士なっている事。
そしていざこざがある時は、大体この様な者達がほとんどだった。
俺達王族の者が訓練所で練習するのは、護身の為ももちろんだが、自身の身の回りを守る者を探す為でもある。
自分の命を守る者は、それだけ信用し得る者じゃないといけない。
そして一緒に技術を学び、鍛錬し連携しながら自分達を互いに守るのだ。
「ですからその魔獣は、我々では討伐出来ないのでお願いしているのです」
「何故できないのだ?きちんと鍛錬すればいい。」
「鍛錬の問題ではありません。武器の性能の問題です」
うん俺もそう思うよ。
兵士達の武器では、せいぜいゴブリンが角うさぎ程度だ。
基本人に対しての、捕縛と威嚇用の武器だからね。
だから、砦や門には専用の兵器が備わっている。
「武器?別にその剣ですればいいだろう。この剣は貴重なんだ。魔獣なんかで汚されては堪らない」
コイツ何言ってんだ?
剣を装飾品扱いにする騎士など以ての外だ。
一緒にいる騎士もそうだと言っている。
コイツ等はダメだ。騎士の資格のはく奪案件だ。
だが俺ではダメだ。王子だが足りないのだ。
どんなに地位があろうとも、それに伴う何かが足りない。
だからその地位を活用しきれない。
どうしたらいいのだろう。騎士団長はいない。
代わりになる騎士がこれでは、他の者達もどうか怪しい。
「いい加減にしてください。騎士の使う剣ならオークぐらい簡単に切り伏せれるでしょう。騎士なのだから、技量もあるのに何故躊躇うのですか?騎士になる条件はオーク5匹を一人で倒せるか?という事は6匹に対して2人も騎士がいるなら、余裕じゃないですか!早く来てください。今も戦ってる最中なんですから!!」
どうしたよう。今も戦闘中だ。
早くしないと兵士も民間人も多大な犠牲者がでる!
「五月蝿い!俺達に対してなんて口の利き方だ!!」
「そうだ!頼むなら申し少し下から言うべきじゃないか?犠牲が出たとしても、お前達のせいだ」
そう言って兵士達に文句を言っている。
余りな事にさすがに頭に来た。
「へぇー凄いね。今まで話聞いていたけど、君たち何なの?」
「殿下?!」
突然出てきた俺に驚き、頭を下げる騎士と兵士達。
「騎士の者達に、名を聞いてもいいかな?」
俺は調べる為に名を聞く事にする。
最近特に気になった事だから。
神官も疑問に思った事は大切にしろと今日言われたのだ。
という事は、これも調べた方がいいという事だろう。
それなのに二人の騎士は、お眼汚しなので何だといい訳をして名を名乗らない。
どうにも怪しくてならない。ホントに騎士かどうかも怪しい。
「オークが6匹いるんだ。騎士の君たち二人で出来るだろう。何故いかない?いや違うな。騎士なのだから行け。行かないなら騎士を辞めろ、今すぐに!どうする?」
そう言うと二人の騎士は、突然俺に襲い掛かる。
だが兵士らが即座に、騎士を取り押さえ地に伏せさせる。
兵士は対人対応の者達、剣がオークに対応できないだけで基本は強い者達だ。
「大丈夫ですか、殿下?!何という事を王族を襲うなど!!騎士とは到底言い難い」
全くその通りだ。
騒ぎを聞きつけたのか、人が駆け付けて来た。
一人は副団長のハロルド。
そして騎士団長の息子クリス。
「どうした!!」
「シリウス殿下、その騎士達は?」
とにかく今は兵士の言う、騎士の派遣が最重要。
俺の事は後ででいい。
「オーク6体現れて今交戦中だそうだ。騎士を二人ほど派遣したい。」
それを聞いて地に伏せている二人の騎士を見る。
「これはまがい物だ。騎士でも何でもない。簡単に兵士に取り押さえられている。今すぐこの偽者から騎士の服を取り外せ。そしてその兵士を騎士にした方がいい。そうだ!剣を兵士にとりあえず渡すか?」
俺が兵士を見ると兵士らも剣をくれと言う。
クリスが騎士から剣を取り上げ兵士らに渡す。
兵士らは受け取り、一目散にオーク討伐へ向かった。
これでオークの件は完了、こんな扱えない者にあの剣は勿体無い。
「いい加減にはなせ!!」
偉そうにこの騎士らは、文句言っている。
「こいつら俺を襲い掛かったんだ。だから兵士が取り押さえた」
俺はウンザリ気に、簡潔に理由を述べた。
それを聞いたクリスはジロリと騎士らを睨む。
それに対して困った顔をするのはハロルド。
騎士団長は信用しているが、俺はコイツが大嫌いだ。
いつも事なかれ主義の、誤魔化し上手。
俺達兄弟がそういう風に思っている事を彼は知らない。
いつも騎士団長は城にいない。
理由は魔獣討伐に出ているから、何故騎士団長自らと思うだろう。
それは騎士団が世代交代をして、魔獣に対応する者が少ないからだそうだ。
だかホントはそうじゃない。
騎士団長は城にいないから、組織のほとんどを取り仕切っているのは目の前のハロルドだ。
騎士団の組織は多岐に渡る。
その隊の組織には必ず組織団長がいる。
ハロルドはその組織団長よりも上のはずなのに、下手に出て軋轢を生まない様にする。
すると都合のいい様に相手も思うだろう。
だから仕事の偏りが生じる。
騎士団長が出ずっぱりなのは、その調整を楽な方に流されるからに他ならない。
おかげで、今の騎士団はギスギスしている。
今もそう、王族を騎士が襲った。
普通ならとんでもない事で、クリスのような態度が当たり前なのだ。
それがどうだ。この困った顔をして、許して貰おうとでも思っているのか?
「そ、それは殿下が騎士を辞めろと言うから!」
「だから王族を襲おうとしたのか!!」
「ち、違います。ちょっと懲らしめようと」
「懲らしめるって何故かな?君たちは俺より立場上なの?ついでに名前聞いたけど、名乗ってないよね?」
絶対許すつもりはない。
これではっきりした。やっぱり怪しい騎士は騎士じゃない。
どこかで何かが行われているんだ。
「殿下、どうかお怒りをお納めください」
「何故?何故俺が怒りを納めなきゃいけないのかな、ハロルド?」
「副団長、貴方も何を言っているんだ?」
ちょうど来た騎士達に狼藉の騎士を牢に入れる様に伝え、ハロルドの言う事に呆れるクリス。
「シリウス殿下、先程の者は財務大臣の息子でラミナス、そしてその従者だった者でハロルド。」
「へぇー、ハロルド仲間だね。財務大臣の息子なんだ。だったら厳しくしないと下の者に示しがつかないよね」
どうやら怪しい騎士は財務大臣の関係者。
案外簡単に調べがつきそうだな。
しかしこんな簡単な斡旋が行われているのに、何をしているのかな。
俺はジロリとハロルドを見る。
「どうか穏便にお願いします。彼らも悪気があった訳ではないのです。財務大臣の心象もあるでしょう」
「だからなんで俺が、それを気にしなきゃならないのかな?」
「副団長、貴方は先程から何を言っているのですか?王族を襲うそれがどれほどの事とお思いか!」
「ですからシリウス殿下の心の中に留めておけば」
「だからなんで俺が、そんな事をしなくちゃならないの?」
コイツさっきから何を言っているのだ。
やっぱり駄目だコイツは。クリスも俺に頷いた。
だから俺は更に言い募った。もう権利の濫用と言われてもいいや。
「ハロルドを更迭。乱心状態だな。意味がわからない。王族を襲って、何故襲われた王族が気を使わなきゃならないのか、意味がわからない。お前に今の地位はふさわしくない。」
そう言うと俺を影から守る暗部の者が現れ、ハロルドは拘束された。
大体王族が一人でいる訳ないじゃないか。
今までの言動も行動も全て見られているのだ。
一人になるのは寝ている夢の中と、トイレの中ぐらいじゃないのか。
「このような事をしていいとでも思っているのですか!」
ハロルドは喚いているが、ちゃんとそこら辺も暗部の者達が判断する。
それは拘束の違いで判断できる。
判断がおかしいと、手で捕まえてるだけになる。
対した事じゃないが、捕まえた方がいい場合は縄で手を拘束。
だが拘束する理由があると身体の拘束へ変わる。
三段階の拘束で、①縄、②鎖、そして最後に③奴隷の首輪の適応。
そして今回は、奴隷首輪まで判断がなされた。
先程の騎士らも同じになったとの報告。
「いいみたいだよ。上にも了承を得られたようだ。だって君の首に取り付けられただろう。これを判断するのは俺じゃないよ。王族でも上の者達の判断だ。そこに俺の意志は存在しないんだよ」
俺がそう言うと愕然とした顔で俺を見た。
「だから言ったじゃない。どうして俺が気を使わなくてはならないのかと?一人でいるから一人だと思った?本筋の王族なんだよ。一人でいる訳ないじゃないか。」
俺がそう言うと、やっと事態がわかって来たようで蒼ざめている。
俺が黙っておけばバレないと思った。
俺さえ大人しければ、全て丸く収まるとでも思ったのだろうか。
ホント俺達王族が大人しかったせいか、舐める者達が多そう。
「俺が揉めた理由は、騎士が魔獣を倒すのに躊躇うからだ。騎士なのに仕事をしないのは問題だろう?だから出来ないなら辞めろと言ったんだ」
「どんな理由でも、騎士が王族を襲うなど醜聞でしかない。あり得ない事だ。副団長、貴方は一体何を守っているのです?王国騎士は王家と民を守るもの、貴方は一体誰に仕えているのですか?」
そう言われたハロルドは、目を見開き唇を震わせる。
だがその口からはただの息しか聞こえない。
彼が仕えていたのは己自身。自分自身の保身だった。
****************
あれからいろいろあったが、俺自身関わる事はなにもない。
アレから先は暗部の者達の仕事だ。
ついでに今日思った事をお願いした。
騎士じゃない騎士がいるから調べて欲しいと。
騎士は国を守る最大も防壁だ。それが劣化しては最悪だ。
今の情勢は平和かもしれないけど、それがいつまでも続くかわからない。
なのに何故あんな愚かな事をするのか?
逆に国を貶める間者じゃないかと疑いたくなる。
「シリウス殿下、今日は大変だったようだな」
「アラン、俺もいろいろと考えているんだ」
いつもの様に身体の鍛錬をする。
今日のような事があるとつくづく実感する。
もし俺が騎士並みの技量だったら、騎士団長みたいに助けに行ける。
だがまだまだ子供で技量だって微妙な物。
俺自身も何を目指して行けばいいのか定まっていない。
「もうそろそろ父上もお戻りかな」
アランの呟きを聞いて、いよいよ異世界人との邂逅の時間になっている。
実際来てくれるかどうかは、異世界人次第。
どうか来てくれる事を心の中で願う。
そうしていると、城の方からざわめきが聞こえて来た。
「どうやら父上が戻られた様だ」
遂に騎士団長が………
眺めていると、騎士団長が俺よりも小さい子と話をしていた。
”宰相の娘イオネと同じくらいか?”
凄く仲が良さそうで、騎士団長もいつもの厳めしい顔が隠れ、楽しそうに話している。
そしてもう一人、宰相と話をしている同じ黒髪の男性。
”まさか親子で来てくれたの?!”
異世界人というから多少想像したけれど、どうやら普通の姿でホッとする。
それに同じくらいの子がいる事がとても嬉しい。
あちらの世界のいろんな事をいろいろ聞けるかな。
宰相と話している男性は、騎士団長とも仲が良い。
三人で話している様が、長年の親友の様で違和感がない。
そしてその腕には、騎士団長から貰った腕輪が嵌められている。
それに気づいて、微妙そうなアラン。
顔がしかめっ面になり、口の端がヒクヒクしている。
それは周りの騎士達も同様だった。
クリスが騎士団長の所に向かい、子供を伴って戻って来た。
「はじめまして、僕の名前は長谷川 祥太です。8歳です。よろしくお願いします。」
異世界人の子供がニコニコ笑顔で挨拶をする。
髪もくりくりとした目も黒い。
そしてとても元気で気持ちのいい子だった。
友達になりたい!心の底から思った。
「俺シリウスっていうんだ。こちらの世界に来てくれてありがとう!」
俺はショウタに来てくれた事に対して礼を言った。
だって世界を渡るって、凄く勇気がいる事だ。
「私はクリス。騎士の隊長をしている。そして父が世話になった。息子で長男だ」
「俺はアラン。同じく息子で次男だ。父が迷惑をかけた」
騎士団長はまあいろいろとアレだから、息子としては心配だったんだろう。
出来る人ではあるのだが、人を信用し過ぎる所がある。
そして何をしに来たのか聞くと、魔玉を投げて、どんなものが見たいそうだ。
あちらの世界には魔法がないので、魔玉に興味深々だ。
”なるほど、確かにこの世界ならではだよな。”
ショウタが騎士団長から玉を受け取り、その玉を独特なフォームで投げた。
その玉は思った以上に飛んで生き、地面へ着地。
”ドッカーン!!”
相変わらずの大きな音で、地面も盛大に抉れている。
覗き込むとまだグルグルと廻りなかなかの威力だった様だ。
”この小さい身体からあの威力って凄いな”
俺達が投げるより、はるかに威力があった様で抉れ具合が全く違う。
深さと言い抉れた広さと言い、それに身体に対しての距離が長い。
つまりはあの独特なフォームが原因だ。
他の騎士達も思ったのか、褒めながらもあのフォームを聞いている。
そして習ったフォームで投げると、確かに飛距離が伸び威力も増す。
それ以外にも独特な握り方で投げると、曲がる玉や落ちる玉。
落ちる玉はまだ練習中という事だが、やり方を教え騎士の一人が成功をしている。
”球の投げ方一つで凄いな。凄い知識だ”
俺より一つ下だが話をすると、頭の良さが凄くわかる。
クリスには捕り物の話を聞き、こんな尋問の仕方や脅し方があると話し、アランには天がどういう所か説明している。
”俺達の住む場が丸いってマジか?!でも確かに平らなら世界の果てが見えるよな。”
言われてみれば納得で、それを俺達はずっと平だと思っていた事実。
更にはそんな世界もあるかもしれないから、確かめてみればいいと軽く言うショウタ。
あちらの世界は天に行けるほど、世界の全てを網羅しているのだろう。
離れた所では父上も来られ、宰相と三人で話をしている。
”騎士団長に、ハロルドの事いつ話すんだろ”
ふと思い出したけど、多分今日明日は無理かな。
だって多忙だもの………
それを考えれば、父上もそうだろう。
今暗部の者達は動いているが、報告は異世界人が帰ったその後だろう。
「ねぇ、その剣本物なの?」
僕の腰に下げている剣の事を聞く。
剣術を習う時始めに頂いた剣だ。
「ああ、タガーの事ならそうだよ。護身用として貰ったんだ」
「へぇー凄いね。僕の世界で剣とか法律で持ったらダメって決まってるから、君が持ってるのビックリしたんだ。」
「俺はそれが信じられないよ。凄く平和なんだな。」
「そうだね。魔物もいないからそうかもしれないね。僕の住んでる国は特に治安がいいんだよ。」
「羨ましいな」
「だって平和がいつまでも続く様に努力しているからね。世界の平和は一人一人の努力の賜物なんだ。じゃないとあっという間に大戦争が起こって、人類滅亡、イヤ星自体がなくなってしまうよ」
今とても不穏な話を聞いたな。
世界の終わりってそんなに簡単なのか………
クリスとアランの顔がとても面白い事になっている。
どうやら聞き間違いじゃないらしい。
「そんなに凄い戦争になりそうなの?」
聞かなきゃいいのに、滅亡させるほどの戦争って一体どれ程なんだろう。
「ウ~~ン、僕も良く知らないけど、確か1万以上はあったかな。とんでもない爆弾があってね。そうだ!さっき投げた玉が太陽だとするでしょ?それが1万以上兵器であると言ったらわかるかな?」
それを聞いた俺達の気持ちがわかるか?
太陽みたいな兵器が1万以上って何だ?!
そんなモノがドカンドカンすれば、星が無くなるのも頷ける。
そしてそんなモノを作った事が驚きだ。
全然平和じゃないじゃないか。
「もうホント大変なんだよ。ボタン一つでってわからないか。こうポッチッと押したら、ドカーンと出来る仕様だから、忍耐力試されるよね。もうホント滅亡なんてボタン一つなんだから、日々努力だよね」
ニコニコ笑いながら恐ろしい事を言うショウタ。
その話を騎士達も聞いていたらしく、蒼ざめて倒れそうだ。
俺達は一体何を聞かされているのだろうか………
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




