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気になる異世界人のあれこれ  【シリウス視点 】

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 





 ライ兄は旅行雑誌というモノを見ている。

 いろんな国が載っていて、ため息をつきながら見ている。


「ライ兄はなんでため息ついてんの?」


「そりゃあな。余りの違いに何とも言えないのさ。父上も悔しいとか羨ましいとかの気持ちが起きなかったと言っていたが、確かに余りの差に茫然自失だよ。それに砂だらけの国とはこの国だろう。凄いよな、こんな所にこのような巨大なモノを建設するのだから。それも人の力だけ、魔法のない世界だ。一体どれだけの努力と忍耐が必要だろう。そして何千年も知恵を蓄えこれだけの物を作る。凄いよな。俺達の世界は何度か文明が滅亡した。それがなかったらどうなっていた?少しはこの世界に、近づけれたのだろうか?」


 ライ兄そう言ってまた雑誌を見ている。

 いろんな国が載っていて、その国独特の雰囲気まで映し出す写真。

 ホントにすごい技術だ。

 それにその雑誌には空を飛ぶという、飛行機の写真も載っていた。

 どう見ても鉄の乗り物で、何故それが空を飛ぶのか謎過ぎる。

 そう考えると、魔法のある俺達の方がまだいいのではないだろうか?



「魔法があるから、知恵も技術も遅れているのよ。ないなら必死になって考えるわ。逆に代わりになるモノがあるから、怠けて停滞しているのよ。私達は怠け者なのよ。 」


 アル姉は眉間にシワを寄せ、俺達に向かって言った。


「そっちはどうだった?何か気になるモノがあった?」


「ええ、下着が凄く気になるのよ。どう考えてもコルセットなさそうだし、服を見ても紐で留めた様子が見えないし、男性もそうだわ。」


「それがホントなら知りたいよな。」


「母様の話では父上が異世界から帰って来た時、奇妙な服を着ていたんですって。ズボンの腰ヒモの部分が伸び縮みする素材で出来ていて、それで留まるそうよ。緩む心配もないそうよ」


 ライ兄とアル姉が服の話をしているけど、ヒモじゃないなら結ばなくていいって事だよな。

 という事はトイレの後が凄く楽じゃないか?

 全部ストンと落とさず用を足せるし、服が汚れる心配もない。


「母様もメイドもその話が一番ね。それにお化粧も違うし髪形も違う。あちらは女性は男性並に短くしている方もいるのよ。でも不思議なの!凄く似合っていて、素敵な女性に見えるのよ。とってもおしゃれで洗練されているの。護衛のミラなんてそれを見て、髪を切ると息巻いているの。今母様達が必死に止めているわ。まだ時期早々だと言って、メイドにも何人かいるみたいだし困ったわね」


「それならこちらにもいたな。凄くスッキリして私はいいと思ったよ。その分頭の形が強調されている分、似合う似合わないがあるだろう。でも女性騎士はありだよな。ミラがしたら続く女性もいるだろう。」


「実は私もショートにした髪型可愛いと思ったし、手入れが楽ねと思ったわ。私の髪ウェーブが強いから」


「いいんじゃないか。私は実際可愛いと思うよ。こちらの髪型なんかどうだ?」


 ライ兄はアル姉が髪を切る事に同意した上にオススメの髪型を見せている。

 肩くらいで切りそろえられ、前髪を編み込みにされた髪型だ。

 編み込みの髪には生花が飾られて、とてもピュアな可愛らしい女性が笑顔で写っている。


「アラ、とっても可愛いわ!生花を飾るの事ないけれど、あちらの雑誌にも結構あったのよ。」


「そうなのか。私も生花を飾るという発想は好きだよ。まるで花の女神か妖精の様じゃないか」


 それより俺はもっと違うモノが気になるのだが………

 確かに生花を飾った女性は素敵だけど、あちらの世界はホントいろんな衣装があるんだな。


「シリウス、何か気になる事があるのか?」


「先程から雑誌を見つめているけど、どこか気になる所でもあるの?」


 俺が余りにも疑問顔で見ていたから仕方ないよな。

 でもこれをアル姉がいる所で質問してもいいのだろうか?


「うんちょっと気になる絵があってね。」


 言葉を濁しつつ明言を避けたけど、どれという風に見られるので言うしかない。


「これなんだけど、これってどんな格好しているのかな?裸に近くない?」


 雑誌に海が綺麗な海岸に若い男女が何名かいるが、その恰好が余りにも凄い。

 ライ兄とアル姉もそれを見て、ああ、という風に納得し笑っている。


 ”エッ?!反応薄!!”


「あちらの世界では海で泳ぐらしいわよ。魔物がいないから安全なの」


「水の中に入るんだ。普通の服では大変だから、この様な恰好をするのだろう。熱い地域ほど、確かに薄着になるよ。」


「あちらでは下着の型はコレに近いのですわ。スッキリとしてとても楽で素敵ですわね」


「確かにね。私もこれが下着になったら嬉しいよ。トイレの度にアレはホントに嫌だ」


「それなら私もですわ。ホント面倒ですもの。サッサッと終わらせたいのですわ」


 ヤッパリ皆もそう思っていたんだ。

 それにアル姉のドレス姿を見て、確かに大変そうだとしみじみと思う。

 思わず憐みの目線を向けていたのか、アル姉が口元を扇で隠し目で悲し気に笑った。


「しかし明日の16時までだろう。基本市井の治安維持や制度の見直しらしいけど?」


「はっきり言って時間が足りませんわ」


「それは俺もそう思う。でも料理の話聞きたい」


「シリウスはマヨネーズがお気に入りだもんな」


「私食べれませんでしたわ。責任持って伺わなくてはなりませんわよ」


 男兄弟でマヨネーズは食べてしまって、女性家族に恨まれているという事実。

 ホント責任持って作り方聞かないと、エンドレス生野菜サラダ地獄が待っていそうだ。


「私の方で聞きたい事はほぼ父上と被る感じだからいいとして、下着は確実に聞きたいな。後料理か」


「母様達も時間を気にして、今話を詰めている感じですわ。姉様も化粧の発色が気になると言って聞きたがってますの。でも母様は時間が短いからと候補にいれるくらいですわ」


 ライ兄は奇妙な顔をして咳ばらいをし、そっかと短く呟いた。

 なんだろうな?何か引っかかりがあるのだろうか?

 アル姉が母上達の方へ移動すると、ライ兄が困った顔で父上を見ている。


「ライ兄どうしたの?何か気になる事でもあるの?」


「イヤ、父上の悪戯には困ったものだなと思ってな。」


「悪戯?」


「ああ、アランの話だと異世界人は男性なんだ。」


「………それどういう意味?」


 それじゃあ何で、騎士団長腕輪を異世界人にあげたのさ。


「あちらの世界は凄く治安がいいらしくてね。剣など持ったら牢屋行くになるそうだ」


 当たり前に持っている剣が、あちらでは罰則になる。

 理解できないけど、それだけ治安がいいという事なんだろう。

 だって魔物もいないし、こんな裸のような恰好しても襲われる心配がないって事。


「だからお礼の代わりに、腕輪を渡したって事らしい。剣を渡しても相手が困るだろう。それに腕輪には、いろいろと効果が付与されているからな」


 なるほど!それなら納得だ。確かに相手の迷惑になる物を渡してもな。

 それが原因で牢屋行きになったら最悪だ。


「世界が変わると常識も凄く変わるんだね」


「そうだな。相手側の常識で考えると、この絵も平気で見れるから不思議なものだな(笑)」


 茶目っ気のある顔にウィンクして、ライ兄は楽しげに言った。

 確かにそう思うと、恥ずかしがる方がおかしいと思える。

 ちょっと考え方を変えるだけで、こうも感じ方が変わるのだ。


 ”いろんなものを取り入れようとしているのかな、父上達は”


 俺には難しい事は判らないけれど、それで自分達の国が良くなるならいい。

 そうやって雑誌を見たり、話を聞いたりしているうちに寝る時間になったようだ。


「それではおやすみなさい」


 俺以外の皆は、まだいろいろと話したりする様だ。

 それが羨ましいと思うけれど、明日来る異世界人の事を寝ながら考えたい。

 自分の部屋に着きベットへ入る。

 従者が部屋から出て一人になった。

 今日の夜空には、満点の星と月が輝いている。

 あちらの世界の星空はどんな感じなんだろうか?

 それとも星空の夜の色とか、空の色など同じなのか?


「空を飛ぶ乗り物か……… アレが空を飛ぶとはなぁ。不思議だ」


 雑誌で見た空飛ぶ乗り物、どう見ても鉄の塊。

 でも空で写された絵だから間違いない。


「天とは神がいる所じゃないのか?天に人が住む住居があるとは一体?」


 魔法がない世界。魔物がいない世界。だから魔素もない。

 という事は神もいない世界という事か?

 そう考えた時ゾクッと身体が震えた。

 一体教会側の考え方はどうなっている?

 神を信仰しておきながら、神を否定する行いをしているという事か。


「なんか気づいたらダメなヤツだよね」


 ホントこれまでの常識が、ちょっとした考え方で塗替えられた。

 でもそれは今までの歪みを正す考え方だ。

 何かおかしいと思っていた事に、はっきりとした答えを指し示される。

 というか気づかされて、正され否応なく突き動かされる。

 多分父上達が今その様な状態なのだろう。


「教会側にはいろいろと思う事があるもんな」


 でもこれからはそう簡単に行かないだろう。

 だって父上達の方が真理に近い考え方を手に入れたのだから、

 どんなに言葉巧みに自分達有利に伝えようとも、その考えを論破しムダに終わらせる事が出来る。

 とにかく明日に備えて寝よう。

 どんな異世界人なのだろう。

 お土産を大量にくれるような人だ。

 とても優しく頼りがいのある人なのだろうか。


 早く明日になりますように………




 ****************




 遂に朝が来た。待ちに待った朝だ。

 天気も良く、空気も最高。

 まさに異世界人が来てもいい最高の日だ。

 足取りも軽く、朝の鍛錬に向かう俺。

 練習場に向かうと兄たちもいる。

 昨日は何時に寝たのだろう?


「おはよう、シリウス。よく寝れたか?」


「おはようございます。昨日は何時に寝られたのですか?」


「結構遅くまで皆起きていたよ。気になる事を最小限に抑えなければならなかったから」


「皆があれもこれものと大変だった。」


 俺子供で良かったかもしれない。

 寂しく思ったけど、そんな面倒に巻き込まれなくて良かった。


「この中じゃあシリウスが初めにお目通しするんだな。」


「うん、俺は料理中心に聞きたいんだ。」


 そんな俺にほほ笑んで頷くライ兄。


「頑張れ、シリウス。あのソースは確かに最高だった」


 俺に声援を送るアン兄。

 ただ食い意地が張ってるだけとも言う。


「まあとにかくいつも通り過ごそう。」


「フッ、手合わせしないか?」


「久しぶりにいいな」


 ライ兄がアン兄を誘い、手合わせをするみたいだ。

 俺はまだまだ兄たちと、手合わせをするレベルには到達していない。

 羨ましいと思って、今自分のできる事を一生懸命するしかない。

 いつか俺も兄らと手合わせをする。

 その頃には今よりももっと、強くなっているだろう兄たちと………



 三人で朝食を取り、兄らは学園へ行った。

 俺は家庭教師からいろいろなこと学ぶ。

 ただ今日は神官から話を聞く日でもあるんだけど………

 彼らがどの様に考えどの様に感じているのか、いろいろと質問し聞くのも一興だろう。


 宗教的考え方にいろいろと思う事ある。

 ただ今日来られている神官は、どちらかというと研究家ぽい。


「魔物を悪という者がいますが、それは古い考え方だと思います。魔物がいないと、いろいろと困る事になるでしょう。例えば衣食住この三つはとても生活するのに必要不可欠。この三つに大きく関わっているのが魔物達です。彼らいなくなればどうなりますか?」


「肉が減るな。防寒着もなくなるな。魔物から取れる物で付与魔法を使っているのだろう?」


「そうですね。例えば屋台骨と言われる者です。ココには強い魔物の骨を付与魔法で使います。そうする事により、家の強度に役立つのです。そして魔物は住む場所を選びません。どこにでもいます。だから食料に困らないとも言えるでしょう。もちろん誰でも倒せる訳ではありませんが、それは個人の頑張りでどうにかなる物ですよね。現に殿下も身体を鍛えていらっしゃる」


 彼の話はある意味、父が言っていた話に通じていると思った。

 それなら魔素に関して聞いてみたらどう答えるのだろう。


「魔素に関してどう思いますか?」


「魔素は神の慈悲ではないかと、私個人としては思ってます。魔素と魔物の関係性はとても密接です。魔素を多く取り込む事により、魔法の威力も強くなる。魔素から生まれる獣が魔物達です。体内には魔石があり、魔素の薄い方向へ向かう傾向にあります。さて問題ですが、魔素が薄い所とはどこですか?」


「たぶん人が多い所だったりする?」


「正解!人が魔素を取り込み魔法を使い、ただ息を吸い込むだけで魔素は減ります。という事は、人が多い所に魔物が向かうのは自然の摂理です。」


 これも父上が話していた事だ。

 この人は俺がイメージする教会の人とは違う。


「この事実は誰もが無意識に気づいている事です。魔物と関わる者達ならなおさらですね。自分達の安全確保は必須ですから、冒険者マニュアルにも書かれてあります。」


「貴方は余り神官ぽくありませんね。魔物は絶対悪だと言うと思っていました」


 俺が率直に感想を述べる。

 今までの神官は、実際そう教えられていたのだから。


「それは否定できませんね。時にはそう言って人々の不平不満を逸らす事も必要です。目に見える絶対悪とは、とても便利な目印なのです。これは魔物に限った事ではありません。何かの理由があって、悪役になる人物や人々もいるでしょう。それが時間や時代背景により、名残となり差別となる。ある意味、権力の犠牲者とも言えます。全てそうとは限りませんがね」


「それを聞くと俺達は何を信じたらいいのか、わからなくなるのではないですか?」


「そうですね。だから私は思うのです。常に一度考える事をオススメします。どうして?何故?と思う気持ちを大切にしてほしい。その純粋で真っ直ぐな気持ちは大切なモノです。それを忘れず、言われたままに行動する恐ろしさを知って下さい。それが私の講義内容とします。お疲れ様でした、殿下」


 なるほど、気がつけば講義の終了時間になっていた様だ。

 それにとても大切な事を教えて貰ったと思う。

 常に疑問を持つ事、疑問に思ったら考える事、学び・調べる事。

 今行っている勉強達は、それを判断する為に必要な基礎知識なのだと教えているのだろう。


「なんかあっという間だったな。神様が云々とか言われるかと思った」


「確かにその方が楽ですが、教会とは啓発・啓蒙です。私もちゃんと教会の仕事をしていますよ。興味もない話をダラダラとしても時間の無駄でしょう。私は優秀なのですよ」(笑)


 そう言ってフッと笑う神官の姿に、自分で優秀というだけの事はあるなと思った。


「またいろいろと話を聞きたい。」


「真面目な生徒は好きですよ。教えがいがありますからね。殿下」


 そう言って頭を下げ、サッサと退室していく。

 多分研究に勤しみに行くのだろう。

 楽しそうで何よりである。

 時間を見るとまだまだだな。この後は楽器の勉強だ。

 何になるんだと思うけれど、これも必要だからこそ学ぶのだろう。

 確かに国の王子が、音痴だったら笑い者だ。

 王子とは国の看板を背負った者だから、その行いは自分ではなく国の評価へ繋がる。


「ホント王子稼業も大変だよな」


 今日の神官の学びはとても役に立つ。

 今までいわれていた言葉の意味が、素直に身体と精神(こころ)に浸透していった。






読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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