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異世界人がやって来る【 シリウス視点 】

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 



 今日俺は今まで生きた中で一番ワクワクしてるんだ。

 それは昨日の夕食を食べるため、皆を集めたんだ。

 いつも皆いろんな用事で、結構バラバラなんだけど、その日は重要な機密の話があるという事で全員集合。

 そして話の内容が、異世界から来客があると言う話。

 始めは何言ってんの?って皆キョトンとしたさ。

 だってさ、異世界って何?から始まるんだからさ。

 すると、俺達の世界とは違う世界があるという。

 そして最近我が城のある場所と繋がったらしい。

 どうやら何百年か前にもあったらしいけど、それまですっかり忘れ去られていた。

 父上達はそれを調べ、そしてその世界に行き、いろいろと見て体験して来たそうだ。

 騎士団長は今そこで知り合った異世界の人を、この世界に来て貰うよう交渉しているらしい。

 滞在時間は次の日の18時までで、それまでいろいろな事を教えて貰い国力にしたいそうだ。


「あのその世界はそれほどにすごい世界なのでしょうか?」


 一番上のライラインハルトが困惑気味に聞いている。

 わかるよ、だってどんな世界なのか凄く気になる。

 そして父上が話すその世界は、まるでおとぎの世界というか、想像を絶する世界だった。

 はっきり言って理解不可能。俺はどうやら頭の出来が悪いらしい。


「大丈夫だ、私も理解できない。というか想像もつかない」


 二つ上のアンアンドレが、ボソッと伝えた。

 確かに皆難しい顔をしていたり、困惑したりしている。


 父上の話す異世界は

 魔法がない。魔物関係がいない。どうやら魔素が存在しない。

 そんな世界が広がっているそうだ。

 俺達からしたら、魔素とは切っても切れないモノ。

 存在して当たり前だから、ないというモノがどんなモノなのかわからなかった。


「教会の者達がよく魔物は悪だの言っているが、そんな世界を見るとどうなんだろうなと思う」


 どうやら父上はその世界に行って、いろいろと推測してきたようだ。

 さっきの魔法も魔物もいないという事は、魔素がないという事。

 という事は魔素がなくなれば、それらはいなくなるという事だ。

 だというなら協会側が言っている事は途轍もなくおかしい。


「魔素がない世界は人間しかいない世界だった。つまり教会はあちらの世界の様にしたいのかと始めは思った。だがよくよく考えてみれば、そうなると魔法がなくなる。それじゃその代わりになるモノを考えているのか?だから突っ込んで聞いてみれば、どうやら魔素がなくなる。魔法もなくなるとは思っていない様だった。本末転倒もいい所だ。つまり今までの亜人差別も、バカげた協会側の妄想思考に過ぎない」


 父上は疲れた様子でため息をついた。

 魔素が淀む場所に魔物が現れ移動し、薄くなったところへ向かいそこで倒される。

 するとその場所に魔素は残り、淀む所はそうやって薄まり消えて行く。

 そしてそんな魔素が濃い場所に誕生したのが亜人達。

 魔素が濃い場所に生息し、そして溜め込み世界に散っていく。

 いろんな人と混じり合い魔素を人へと渡していく。


「ある意味亜人は魔素の運び人だな。そうやって人族は魔素を体内に取り込み魔法を使える様になったんじゃないのか。私達の祖先は龍だという話があるが、あながち嘘じゃないかもしれんな。」


 父上はその世界でいろんな話を聞いた様だ。

 その中に食物連鎖や生物の成り立ちを聞いたらしい。

 一つ一つ理由があって存在し繋がって、一つの世界を作っていく。

 その一つが壊れてなくなれば世界も壊れて、維持するのに莫大な時間と制限が必要になる。


「実際その世界は自然を破壊し、危機的状況を作ったらしい。自然を破壊すると、植物が育たない砂だらけの土地になる。もちろん水も沁み込んでなくなる。そうなると雨さえ降らなくなる。だからその砂の土地をどうにかして、植物が育つ土地に変えていった様だ。莫大な時間と技術が必要だろう」


 魔法のない世界の話だ。

 一体どうやって砂の土地に植物を育てるというのか。

 どんなに考えても、どうしていいのか全く浮かばない。


「その世界にはそれだけの技術があるのでしょうけど、ちょっと理解できません」


 同じく二つ上の姉アルアルビーナが皆の気持ちを言う。

 アル姉は側室の子だ。上に更に二つ上のジュリジュリエッタがいる。

 側室は母上の従妹で姉妹のように育った。

 それに母は男を側室は女をという感じで別れた為、逆に団結が増し仲が良い。


「そうだな。簡単に技術力で言えば、空を飛ぶ乗り物がある。それも大量に乗せ空を長距離移動できる。そして天をも行ける。常に天気を観測する為、自分達の星?の周りに魔道具見たいな物を飛ばし見ているらしい。ついでに自分達の住む星を観測する為、人が住む拠点があるそうだ」


 俺達は今何を聞かされているんだ。

 空って空だよな。じゃあ天て天だよな?!天ってなんだよ。

 星って??自分達の星??その周りに天気を観測する為の魔道具?!

 俺は理解できるような、出来ないような狭間で頭はグラングランだ。

 アン兄に至っては顔が蒼白で、手が震えている。

 アン兄は天才と言われている。

 将来は宰相かって言われるぐらいだから理解出来たのかな………

 ライ兄も目を瞑り、手を握りしめている。

 前に座る姉らも顔を引きつらせているから理解しているのだろう。


 ”後で説明して貰おう。”


 一人だけ理解できないのは寂しいので、おれはひっそりと思った。

 それにしても母上らは平然としているよな。

 まあ事前に説明受けているんだろうけど、それだけの技術力のある世界の者が来るのに、恐怖を抱かないのだろうか?

 それに騎士団長はそんな世界に一人いるのだ。

 それも交渉中らしいが、不安や心配はないのかな。


「あなた、そんな話しても想像できませんわ。せっかくなのですから雑誌?を見せた方がいいですわ」


「それにお腹もすきましたわ。早くたべたいのです。」


 母上達は事前説明以外でもいろいろと知っている様だ。

 それに表情がとても明るい。

 という事は、そんな恐ろしい世界じゃないという事だろうか?

 それにどうやらその世界から、食べ物を持って帰ってきたようだ。

 一体父上達はどうやってその世界のお金を手に入れたのだろう?


「父上、どうやってそのような品を手に入れたのですか?」


 やっぱりライ兄も疑問に思ったのだろう、不思議そうに確認している。


「その異世界に繋がった場所が、実は個人宅だったんだよ。」


 父上は笑いながら言っているけど、まさか盗んだじゃないだろうな?!

 そう思ったのは俺だけじゃない。目の前の姉らが手を口元に覆って息を飲んだ。


「その住人からお土産で頂いたんだ。とても気さくでいい人だ。ヒルトもその者と気が合うのか友人のように仲が良い。」


 そう言いいながら段々と、ニヤニヤと悪戯を思いついたような顔をする。

 こんな感じになる時は、大体ろくでもない事を言い出す前触れだ。


「ヒルトは自分の腕輪をその人物に、病気をしない様にと願いを込めて渡したそうだ」


 ニヤリと笑いとても楽し気だけど、ソレってそういう意味なの?

 エッ、交渉ってもしかして、結婚して貰うための交渉だったの?!

 俺達は度肝を抜かれ唖然とし、室内はシーーーンと静まりかえる。

 母上達も同様で、どうやらその話は聞いていない様だ。

 という事は騎士団長は、上手くすれば再婚するかもしれない。

 それも相手は異世界人。凄い………

 父上はそれ以上何も言わずニヤニヤしている。

 俺はその顔は騎士団長を思っての表情だと思っていた。

 でも実際は違うという事を知るのは明日になってから………

 俺は思った。父上の悪戯は冗談をいつも超えていると………

 実際姉らは、からかわれた事に気づいたの何年か後だった。




 父上に呼ばれ執事たちが父上横にカートを置いた。

 カートの上には不思議な入れ物が人数分と、最近父上が作らせたポット型も魔道具。

 なんでもポットに水を入れスイッチを押すと沸かしてお湯にするというモノ。

 単純な様で今までなかった便利な魔道具だ。

 実際特許を申請している。

 城でもその便利性から、要職の者達から次々と注文が入っている。

 父上がその入れ物を開けてお湯を注ぎ、執事がそれを次々に俺達に配っていく。

 その横には砂時計が置かれていた。


「その砂が落ちたらフタを開けて食べてくれ」


 父上がとても楽しそうに言うと、母上達もとても楽しそうに笑っている。

 どうやら母上達はもう食べているのだろう。

 そしてとってもいい顔という事は、この食べ物は美味という事になるが………


「あのお父様、この食べ物はお湯を入れただけのようですが?」


 ジュリ姉が不安そうにしているが、俺達子供達は不安だ。

 だって父上が作った様なものだから、これは食べられるモノだろうか。

 母上達はニコニコしているから大丈夫とは思うが心配だ。


「フフフ♪あなたの手料理が食べられる日が来るとは思ってもいなかったわ」


「ホントですね♪でも私も上手にできると思いますわ。次回は私にさせてくださいませ」


 母上らはとても楽しそうで幸せそうだ。

 そうしているうちの俺の砂時計は落ち終わった。

 俺は躊躇いながらもフタを開ける。

 微かに香っていたいい匂いが、ブワッと顔いっぱいに広がる。


「シリウス、美味しそうな匂いだな。」


「信じられん。これを父上があっという間に作ったというのか」


 ライ兄はニッコリ笑って匂いの感想を言い、出来上がるのを楽しみにしている。

 その隣のアン兄は愕然とした顔で、父上を見ている。

 アル姉も出来上がったのか、イソイソとフタを開けて幸せそうな顔をしている。

 ジュリ姉もびっくりした表情で父上を振り返っていた。

 そんな子供達の反応にとても楽し気な父上と母上ら。


「早く食べなさい。じゃないと緬が伸びてしまうよ。」


「でも熱いですからね。気をつけなさい」


「フーフーして冷ますのですよ」


 助言をしてくれるけど、常日頃毒見のせいで冷めた物しか頂いていない。

 俺は眉を潜めてどうしたらいいのか困ってしまう。

 隣にいたアン兄がフォークを持ち上げ、フーフーとしてくれた。

 そして俺にホレッという様に、フォークを差し出す。

 だから俺はそのフォークに持ち替え、アン兄が俺の持っていたフォークを受け取った。

 おそるおそるその麵をハムッと食べる。


「シリウス、そのまま啜りなさい。それがそれを食べるマナーだ。」


 父上がそう言うから、俺は思いっきり啜った。

 常日頃だったらマナー違反で怒られる案件。

 でも今回はそれがマナーだという面白さ。

 そして………


「お、おいしい?!ウソ!!お湯だけ入れてたった3分でコレってスゴイ!!!」


 隣を見ると兄らも出来上がった様で、ライ兄は持ち上げてスープを飲んでいる。

 アン兄も啜って食べ驚いて固まっていた。


「これは魔法ですわ!革命ですわ!!」


 ジュリ姉パァーーと満面の笑顔で感想を言っている。

 しかし革命って何?!

 アル姉は心底感動して父上を拝んでいた。

 父上はそれを見て苦笑している。


「ハア~~…… やっぱり美味しいですわ」


「ホントに、味もさることながら、ホントどうにかして再現したいですわ」


「それは私も考えている。この楽で旨さを知るとな」


 父上と母上らは、どうやらこれを再現したいらしい。

 でも気持ちは凄くわかる。

 だっていつも飲んでるスープと比べ物にならないぐらい旨い。

 コクというか香りというか、全てが超越したスープだ。

 でも実際父上がお湯を入れただけ、一体どういう事なんだろう?


「父上が作った訳ではないのですか?」


 ライ兄も不思議そうに父上を見ている。


「私はお湯を入れただけだ。これはうどんという食べ物だ。この入れ物に緬と味の素と具が入っているんだ」


 そう言ってカップに入ったスープを飲み干して、カートに置いた。

 するとまた違った料理が運ばれてくる。

 パンと白いスープ。生の野菜サラダに果物。

 そして気泡が上がっている飲み物。

 俺達のうどん?のカップを、持って行かれそうになり急いで飲み干す。

 いつものスープに比べて味が濃く塩気が薄い。

 だから単体で飲み易いのだ。

 いつもは塩分が強いので、パンなしではツラい。


「全て異世界から持って来たものだ。サラダはこの容器の調味料をかけるといい。白いスープは牛乳が入ったスープだ。トロっとして美味しいぞ。パンも柔らかい。果物の美味さも驚くぞ。」


 俺は恐る恐るサラダを取り調味料を少しかけ食べて見る。

 白いものがニョロッとですもので不安だったが、俺は一口入れて固まった。


 ”ウソだ。野菜が旨いと思うなんて……… ”


 一生思う事がないだろうという感想、野菜が旨いと思えることに驚く自分。

 後は無言で黙々とウサギのように、野菜を次々に消化していく。


「アラアラアラ?!ちょっと信じられませんわ」


「シリウスが野菜だけを黙々と……… あり得ませんわ」


「まぼろし??術でも掛かってる??」


 母上と姉らがヒドイ。でもホント野菜が旨いのだ。


「兄上、この白いのエンドレスで使ってます。」


「俺達も食べてみよう。」


 兄らがそう言って()()調()()()を取ろうとするが、渡す訳にはいかない。


「コラッ!!シリウス貸しなさい」


「これは皆のだろう。味見させるんだ」


 兄らが何か言っているけど気にしない。

 だってそれ以外の料理を食べればいいのだ。


「シリウス凄く気に入っているわ。あの調味料何ですの?」


「たしかマヨネーズと言ったかな。凄いな、野菜嫌いのシリウスがあんなに率先して食べるなんて」


「ホントですわね。幻というのも納得ですわ」


 最終的には兄らに取り上げられたが、俺はこの調味料に出会ってしまった。

 俺はコレがないと生きていけないと思う。

 これは異世界人に合ったら要相談になる。

 確かにうどんも美味しい。でも野菜は日々日常なのだ。

 だからどうにか作り方を教えて貰わなくては、知っているだろうか。

 俺は淡い期待を膨れませながら、明日が来るのが楽しみだった。

 もちろんそれ以外の料理も美味しかったし、果物なんてあり得ない程だった。

 異世界は素材から味が違うらしい。

 父上の話では食物も味が良くなる様、日々研究している世界の様だ。

 凄いよな。そんなところまで研究するんだ。

 でも確かにそれがあるから味が良くなるんだよな。

 しないならそのまま味が変わらない。

 俺は今まで騎士になり国に貢献すればいいだろうと漠然と考えていた。

 だが今俺の心に飛来するモノが違う想いへと変化する。

 だって食を研究すればこれほどの楽しみが出来、幸せが沢山訪れる。

 美味しいモノを食べれば誰だって幸せだ。

 不味い物はとても悲しい。嫌いな物も食べたくない。

 でもそれをどうにか出来るなら、ある意味とても遣り甲斐があるのではないか?

 人を選ばず貴賎関係なく誰もが幸せになれる。

 俺は自分自身の将来を考え、明日来る異世界人を楽しみに待つのだった。


 その後、母上が言っていた雑誌という本を見せて貰ったが、想像絶する世界が広がっていた。

 まず写真なるモノに驚き、景色そのままに写されるカラーの本に唖然とする。

 そして車なる乗り物の雑誌に魅せられ、父上達は実際乗って遠出したという。

 これには兄らと心底羨ましく悔しくて堪らなかった。

 速度も馬車の10倍って何?!風がブワーーーッと来るらしいのだが、想像つかない。

 それでいて乗り心地抜群で、安定感もあり揺れもないという。

 アン兄が雑誌をジックリと見てある一点に気がついた。


「父上この部分を馬車に活用したらどうなるのでしょうか?」


 雑誌に載っていた車の機能性部分が書かれている様だ。

 タイヤという部分の近くになんらかの機構があった。

 父上とすごく難しい話をしている。

 確かに車凄く乗りたいけど、動かしたりしてみたいけどそれだけだ。

 凄く真剣に話し合っている。半分以上意味がわからない。

 でも、乗り心地良くなるといいよな。

 こんな感じで、フワフワしていそうな座席だと幸せだろう。


 ”父上、アン兄頑張って素敵な乗り心地いい馬車を作って下さい”


 俺はそう心の中で声援を送った。






読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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