アイノカタチ The Shape Of Love 3
3.
" My Friend 友よ! 3 "
週に1つだけ同じ講義を取っていて、その授業の時には私の隣に
座るようになった街木くん。
来年の今頃はどうなってるんだろう? と隣にいる街木くんの気配を
感じながら、私は最近そんなことばかりを考えている。
今このとき、他に友達もいるのに毎回私の隣に座ってくれるだけでも
奇跡なのに、私ったら何考えてるんだろう。
来年同じ講義をとれるかどうかも分からないものを。
だって彼女でもないんだよ?
どんな講義を取るか打ち合わせのしようがないんだから。
授業が3か月目に入った頃、2限目が終わると街木くんから
一緒にマクド行こうって誘われた。
「腹減ったぁ~。ねっ、山本さんお腹減ってない? お昼はどうすんの? 」
「あ・・ぁ、っと・・」
お昼ご飯ね、帰り道にあるマクドでTake Outして家で食べるつもり
だった、けど・・何て言えばいいのかな? こういう時。
「俺、今日はマック食べたい気分!一緒に行こう? 」
街木君は私の返事を待たずに椅子から立ち上がると
私が当然付いて行くことは想定内の態で、教室から
出て行こうとした。
私は小走りで彼の後に付いて行った。
待木くんが途中で私を待っていてくれて・・私たちは並んで歩いた。
3-2.
大学生たちは恋人同士でなくても、ただの? 友達同士でも並んで賑やかに
話ながら歩くのが常なので助かる。
校風もあって異性と並んで話しながらふたりで歩いていても
気負う必要がなかった。
そして何より街木くんが気負わず話せる相手だったのが
幸いだった。
彼氏ではない異性からの初めてのお誘い。
どうして? 何で私と?
そう聞いてみたかったけれど、私はそれを封印した。
街木くんとの出会いはめったに起こらないような奇跡みたいな
ものなのだからと。
街木くんにとって私は他に誰もいなくて選べない状況下で選んだ
相手ではない・・小学生のあの時の友達のように。
選ばれたと思うほど思い上がってもいないけれど、やっぱり
私にとってこれまでにない出来事だった。
しかも同性をすっとばして異性の友達だもの。
いや、友達にまではまだ昇格してないかも。
クラスメイトの言葉がしっくり来るよね。
お店に着くまで街木くんはイヤホン付けて音楽聞いていて
私たちは会話しなかったので、独り私はあんなやこんなこと、いろいろ
考えまくってた。
それで何か気が付いたら私は街木くんと並んで店内の椅子に
座ってた。
SHOPは駅近にある店舗で学生たちで賑わっている。
学生たちは皆、銘々の友人たちとの語らいで自分たちの世界に没頭して
いる。
そんな彼らのことを見ながら・・
これが街木くんとの最初で最後のマックかもしれないから
楽しい時間にしたい、彼との時間を楽しもうって決めた。
私たちはクラスメイト、それ以上でもそれ以下でもないっ。
同級生なんだから楽しく話して美味しく食べればいいんだと、そう思った。