アイノカタチ The Shape Of Love 2
2.
" My Friend 友よ! 2 "
芽衣の母親は毒親で、父親は家庭を顧みない無責任で身勝手な
男だった。
父親と上手くいかない母親は、父親激似の芽衣を激しく疎み
芽衣に対する育児を放棄。芽衣は長らく家庭の中で放置児として
扱われていた。
2才上に兄がいたのだが、兄は普通に育てられていたので、更に
その現実が芽衣の心に深い傷跡を残した。
運良く7才の時にそんな不遇な生活から抜け出せたものの
両親から愛されることのなかった芽衣には、他人とどのようにすれば
スムースに仲良くなれるのか、とんと分らなかった。
家庭にも学校にも居場所のなかった少女。
7才の頃に縁あって母方の祖父母に引き取られ、愛情をかけて
貰えるようになったことは不幸中の幸いと言えたのだが、両親から愛情を
貰えなかったという傷跡は深すぎて、己が力だけではいかんとも
しがたく癒すことが出来なかった。
・・・
私はクラスの中でいつも地味で目立たない存在だった。
小学3年の時にクラスに私と同じようなタイプの子がいて
自然私たちはぽつりぽつり話すことが増え、友達になった。
ほんとの意味で友達だったのかと聞かれれば、ものすごく曖昧な
関係ではなかったかと思う。
だって互いに相手を選んだわけではなかったから。
誰も居なくて、見まわすと互いがそこにいた、って感じ。
2-2.
それでも、だ。
ひとりよりは、断然一緒にいられる相手がいるということは
幸いなことなのだ。
2年間持ち上がりだったので朝学校に行くことが苦ではなくなった。
それまでの2年間寂しかったのに、気にしてない振りを、、
周りに対してだけじゃなくて、自分に対してもしていたのかもしれない。
次の幸せな学年になってみて、判った。
あぁ、私は学校生活を・・ひとりの友達もいない学校を
苦にしていたのだなぁと。
友達を持つということはとても幸せで心が落ち着くものなのだ
と、知った。
けれどその友達とは5年生で別々のクラスになってしまい
私はまた元のぼっちに舞い戻ってしまった。
しばらくはお昼時間にその友達と待ち合わせして遊んだり話を
したりしていたのだけれど、ある日からぷっつりと彼女は昼休みに
私に会いに来なくなってしまった。
胸に一抹の不安。
私には分かっていた。
彼女は同じクラスに新しい友達ができたのだ。
彼女たちの様子を見た後、私の目から涙が零れた。
悲しかったが仕方がない、どうしようもないことなんだからと
自分に言い聞かせたものの、友の無情の行為が胸にヒタヒタと
沁みた。