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◇アイノカタチ The Shape Of Love  作者: 設樂理沙
2/200

アイノカタチ The Shape Of Love 2

2.


" My Friend 友よ! 2 "


 芽衣の母親は毒親で、父親は家庭を顧みない無責任で身勝手な

男だった。


 父親と上手くいかない母親は、父親激似の芽衣を激しく疎み

芽衣に対する育児を放棄。芽衣は長らく家庭の中で放置児として

扱われていた。


 2才上に兄がいたのだが、兄は普通に育てられていたので、更に

その現実が芽衣の心に深い傷跡を残した。



 運良く7才の時にそんな不遇な生活から抜け出せたものの

両親から愛されることのなかった芽衣には、他人とどのようにすれば

スムースに仲良くなれるのか、とんと分らなかった。


 家庭にも学校にも居場所のなかった少女。


 7才の頃に縁あって母方の祖父母に引き取られ、愛情をかけて

貰えるようになったことは不幸中の幸いと言えたのだが、両親から愛情を

貰えなかったという傷跡は深すぎて、己が力だけではいかんとも

しがたく癒すことが出来なかった。


 ・・・


 私はクラスの中でいつも地味で目立たない存在だった。


 小学3年の時にクラスに私と同じようなタイプの子がいて

自然私たちはぽつりぽつり話すことが増え、友達になった。


 ほんとの意味で友達だったのかと聞かれれば、ものすごく曖昧な

関係ではなかったかと思う。


 だって互いに相手を選んだわけではなかったから。

 誰も居なくて、見まわすと互いがそこにいた、って感じ。



2-2.


  それでも、だ。


 ひとりよりは、断然一緒にいられる相手がいるということは

幸いなことなのだ。

 2年間持ち上がりだったので朝学校に行くことが苦ではなくなった。


 それまでの2年間寂しかったのに、気にしてない振りを、、

周りに対してだけじゃなくて、自分に対してもしていたのかもしれない。


 次の幸せな学年になってみて、判った。


 あぁ、私は学校生活を・・ひとりの友達もいない学校を

苦にしていたのだなぁと。


  友達を持つということはとても幸せで心が落ち着くものなのだ

と、知った。

 

 けれどその友達とは5年生で別々のクラスになってしまい

私はまた元のぼっちに舞い戻ってしまった。


 しばらくはお昼時間にその友達と待ち合わせして遊んだり話を

したりしていたのだけれど、ある日からぷっつりと彼女は昼休みに

私に会いに来なくなってしまった。


 胸に一抹の不安。

 私には分かっていた。

 

 彼女は同じクラスに新しい友達ができたのだ。

 彼女たちの様子を見た後、私の目から涙が零れた。



 悲しかったが仕方がない、どうしようもないことなんだからと

自分に言い聞かせたものの、友の無情の行為が胸にヒタヒタと

沁みた。


 

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