9、木刀作り
「んあ?あれここは?」
眼を覚ますとそこは洞窟のような部屋で
そこに置いてある机に突っ伏して寝ていたようだ
「お?起きたか」
研磨が起きたことに気付いたフーが声をかけて来る
「どうやら話しこんでいる間に寝ちまったらしいな、外見てきたらこれが置いてあった」
フーが指を指している方を見ると
「でかっ」
大きな葉が切り落としてある、漆黒で少し緋色が混じっている大きな丸太が置かれていた
「お譲ちゃんはどうやら、昨日のうちに見つけてここへ持ってきていたらしい」
「私たちがいなくてしょうがなく帰ったと?」
「そう言うことだろうな、悪いことしたまあそのうち来るだろ、それまでに
作っておけば、お譲ちゃんも文句はいわんだろう」
「では、さっそく作り始めるのですか?」
「ああ、下処理は研磨が起きる前に魔法で済ませてある、後は研磨の力があれば
いつでも作り始められるぞ」
「製作開始ですね」
「おうよ!!」
フーに連れられ作業場に入る
「まずはこの丸太の皮を削る、早速だが力をかしてくれ」
「力を貸すのはいいんですが私ができるのは、磨くことで削るのは専門外なんですが」
「そんなもん、削るも磨くも同じようなもんだ、要はさじ加減だ
まずは練習からいこう」
そう言うと、棚から皮が付いたままの角材を取りだした
「まずはいつも通り、これを磨いてみてくれ」
「はい」
__練習と言われてもよくわからないがとりあえず言われた通りにやってみる
ポケットからハンカチを出し、いつもの要領でスキル「研磨」を使いながら磨いていく
「ふむ、だいぶピカピカになったな、相当そのスキルを使いこんでいるのだろうな
すぐに綺麗になった」
「へ?私がこのスキル使い始めたのこの世界に来てからですよ?」
「おそらく前世から持っていたんだろう」
「そんなこともあるんですね、でもそれなら地球が大変なことになってしまうんじゃないですか?」
「ああ、お前さんは地球から来たのか、なら納得だ
あそこはスキル及び魔法の行使が禁止されているからな
まあ、その制約を無視して行使できる者もいたようだがそんなのは一握りだな」
「織田信長とかそんな感じの奴ですか?」
「ああかの、第六天魔王かそうさな奴は×××・・・」
「どうしたんですかなんか聞き取れない単語が混ざっていたんですが」
「ああそうか、これは禁則事項か」
納得した様子で答えを返してくる
「そんな、未来人みたいなことあるんだ・・・」
「ある割と色々ある、おっと話が大幅にそれてしまった話を戻そう」
「はっ、いつの間に」
「そこまでそのスキルが仕えてるなら、後は問題ないだろう
今までどんなイメージで磨いてきた?」
「そうですね・・・優しく傷がつかないようにですかね」
「うむ、それを荒々しく傷つけるようにとがらせるのだ」
「む、むずかしいことを言いますね、こうか?」
同じように表面を削ってみる
ごりごりごり、という摩擦音とともに木くずが周りに落ちていく
「おお、出来ました!!」
「すごいな、一発で出来るとはやはり地球人は呑みこみが早い
その調子でその木の表面も削ってくれ」
その後も削っていきやがて皮は完全になくなり、木の内部が露わになった
「まあそんなもんだろ」
「了解です、結構大変ですねこれ本体かなり大きいし」
「この黒緋杉は他の木に比べて特別堅いからな」
「それで?この後はどうするんですか?」
「次は俺の番だ」
__魔法か?
フーが素早く詠唱を済ませる
直立させてあった黒緋杉を魔法陣に通すと黒緋杉が立てに四分割される
「こんな魔法もあるんですね」
「凄いだろう、これはかなり役に立つんだなんでも四等分できる」
「じゃあケーキとかも?」
「無論だ」
「魔法ってすげー」
「後はこいつをひたすらハンマーで叩いて大体の形を作る」
「圧縮して強度を上げるんですね」
「よくわかったなその通りだ、この木に対しては削るより叩いて圧縮した方がいいんだ」
そう言う間も、大きな木槌で四等分した黒緋杉を叩いていく
カンッ、カッ、カンッ
ひたすら叩いていく
カンッ、カッ、カンッ、カンッ、カッ、カンッ
まだまだ叩いていく
カッ、カンッ、カンッ、カッ
その時間およそ二時間、ひたすら叩く
研磨はその作業を見ている
二時間後~~
「こんなもんだな」
そこのは長大な刀が出来上がっていた
「これで完成ですか?」
「いやまだだ、後はこれを研ぎあげて鋭くせねばならん」
「私の出番ですね」
「そうだ、今度は荒い磨きから細かい磨きに少しずつ変えてやってみるんだ」
「わかりましたやってみます」
__まずは大まかに形付くってある刃を磨き荒研ぎを済ませる
次に先ほど研いだところを細かく研いでいき更に鋭く整えていく
最後に仕上げで今までよりさらに細かく研ぎ完成させる
「出来ました」
「どれ」
刃渡りは三メートル以上、全体的にそりかえっており緋色が混じった漆黒の刃は
磨いただけだというのに光沢がある
「完璧だ最高の物がでいたといっても過言ではない」
「ありがとうございます」
その時ちょうどチャイムのようなものが部屋に響き渡る
__ピンポーンてチャイムじゃん間違うことなきチャイムじゃん
「お、ちょうど来たようだな」
__怒っていたテミアさんに出来た刀を渡すとびっくりするぐらい機嫌が良くなったんだよな