8,木探し
「刀を造ってほしい?」
「そうよフー頼めないかしら?」
__徒歩で歩いて一時間、やってきたのは、封印の丘にいるドワーフ、フーのところだ
(さっき紹介してもらった)
「作るのはいいんだが、その前にお前の後ろにいる男の子は誰だ?」
「研磨と申します、今はテミアさんに拾われて御城で働いています、よろしくお願いします」
「そうかお前が研磨か・・・ん?なんか忘れてるような気がするな、何だったかな?、
まあいいそれで、新しい、刀だったな、どんなのがいいんだ?」
「この黒い木刀の二倍ぐらいの長さの木刀をお願いしますー」
「これは・・・黒緋杉の木刀だな、黒緋杉か・・・」
「珍しいの?その黒緋杉って」
「いやそこまで珍しいわけじゃない、どんな森にも一本は生えてるからな」
「ふん~~ん」
「いや、テミアさん一つの森に一本て相当やばくないですか、どんな森にもってどんだけですか・・・」
「見つけるのは簡単なんだがな、加工が大変なんだよな、斬るのはまだ何とかなるんだが
削るのと磨くのが大変なんだ、すっごい堅いんだ、その代わり出来た時の強度は
折り紙つきなんだがな」
「削ると磨く?」
「なんでこっちみてるんですか、テミアさんいや何となくわかりますけど」
「研磨お願い手伝って!」
「王族がそんな簡単に頭下げていいんですか?・・・わかりましたよやりましょう」
「お?、なんだ研磨、磨くのが得意なのか、どれどれ・・・おおこれはこの仕事に
ぴったりだな!」
__変な感じがしたがこれが鑑定か?、テミアさんにもされたときに感じた気がするけど
「ありがとう研磨、いつかこの借りは返すわ!」
「それじゃあまずは、黒緋杉を持ってきてくれ、出来れば刀にする分の1,5倍ぐらいの
木だと作りやすくていいものができる、取りに行っている間にこちらは準備していよう」
「わかったわ、研磨はどうする?、私たちについてくる?」
「自分は、フーさんの手伝いをしています」
__絶対取りに行くの大変だからな、それにフーさんとも話したいし・・・
「そう?、じゃあ行ってくるわ夕暮れ前には一度帰ってくるわ、取れても取れなくても!」
「了解だ!行ってこーい」
「行ってきまーす、行くわよユリス」
「はい」
「行っちゃいましたね、て言うか早!もう見えなくなってる・・・」
「ガハハハ流石はお譲ちゃんだな、思い立ったらすぐ行動だ!」
「テミアさんとの付き合いは長いんですか?」
「そうだな・・・といっても二年ぐらいだぞ?、」
「そりゃそうですよね、まだ生まれてそんなに立ってないですもんね」
「さてと準備を始めるか・・・えっとどこだったかな?ここだここだ」
フーが地面を見渡し、何かを探すようなしぐさをするので思わず真似をして
あたりを見回してしまう研磨
何か見つけたようで、徐に花の間に手を突っ込むフー、何かをつかんで引っ張ったようで
ガコッ
と音が鳴り、その近くの地面が動き出し、階段が出現するその様子はさながら中から
鋼鉄の兵士が飛び出してきそうである
「おおぉーーーー」
かなりのファンタジー感に思わず感動してしまう研磨
「これは素晴らしいですね・・・異世界だとこんなこともできるのか・・・」
「おお、わかってくれるかこの男のロマンを」
「もちろんです、これはフーさんが作られたんですか?」
「そうだぞ、ここに住むようになってから暇つぶしに作ったんだこれだけじゃないぞ
まだまだロマン装置が地下にあるみてみるか?」
「是非に!!」
現れた階段を下りていくすると後ろで
ガコン
後ろを振り返ってみると、さっきまであった出入り口がない
「まさかこれは・・・自動ドアですか!?」
「よくわかったな、そうだその通り、自動ドアだ!」
同じ趣味を話せる相手ができてうれしいのか、かなりテンションが高めの二人である
そのままのテンションで一夜を過ごしたとさ、めでたしめでたし
「あり?私は?、ちゃんと持って来たのに、誰もいないフーも呼び掛けに応じないし・・・」
大きな黒緋杉を引きずってきたテミアが外で棒立ちになっていた
「しかたありません、いったん帰りましょう、もうじき火が暮れます」
「そうね・・・」