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LETS START



私立華恋学園。全校人数1026人。その内女子が967人を占める元女子校だ。去年nから男子学生の受け入れを始めて共学化をスタートさせたいわばハーレム高校。

そんな四月、今日は始業式。桜舞い散る校門をくぐる俺の周りには今日も女子達が群がっている。春の匂いとは、フローラル?それともラベンダー?本当に最近の女子ってのは香水つけすぎだ。臭くてしょうがない。

おっと自己紹介がまだだったな、俺の名前は荒谷新太。ここ私立華恋学園に通う高校2年生だ。自宅から電車に乗って学園の最寄り駅から徒歩8分の通学路も駅からは毎日のように日替わりで名前もわからない女子達と時に笑顔を振りまいて登校している。教室に入るまで付いてくるんだからたまったもんじゃない。あ、教室でもあまり変わらないか。今度は新しいクラスメイトの女子に囲まれておしゃべりか。俺は適当に愛想笑いを浮かべる。しまった、ますます盛り上がってしまった。

『バァン!!!!』

黒板の前に置かれた教卓を力強く叩く音が教室中に響いた。

『静かにしてもらおうか同級生諸君。私は担任の駒野先生にこのクラスの委員長を任された金井可奈だ。よろしく頼む。早速だがそこのお前』

先を見通しているような眼に黒髪ロングストレートと整った顔立ち、それにスカートの下は黒タイツ。完全に優等生キャラだなぁ。俺はどうも苦手なタイプだ。しかし明らかに視線を感じる。そう教卓に手を置いて話す金井可奈の視線だ。

『そうだお前だ。今日は新学期初日、浮ついた気持ちの者がいては困る。私が委員長になった以上このクラスがしっかりとした学園生活送るために協力してもらうぞ。それに…』


(キーンコーンカーンコーン♫)


『おっと、ホームルームはおしまいか。それでは全員整列して体育館に集合してくれ。』

公開説教は終わりかぁ。浮ついたって言われてもなぁ。俺はそんなつもり無いんだけどなぁ。女子が俺に群がっちまうんだから仕方無いだろう。

委員長だか何だか知らないが俺が簡単にあんなのの言うこと聞くかよ。始業式なんて俺が行ったら体育館がパニックになるぞ。屋上でサボらせてもらいますよ。

体育館に向かう人の波に逆らって二階から四階までは西棟の階段を使い屋上へは中央階段を使った。華恋学園の屋上は至る所に花壇がありたくさんの花が賑わいを見せている。またベンチの数も豊富でありお昼時はお弁当を広げてますます盛んになる。青い空、晴れた日の貸し切りの屋上、こんなに心休まる場所と時間はここ以外に無いだろう。本来の春の匂いを感じながらベンチに寝転がりいつのまにか目を閉じてしまう。


『ずいぶんと幸せそうですね。それもあなたばかり。その幸せを誰かに分けようとは思いませんか?』


どこからか声が聞こえる。なんだよ気持ち良くなってる所なのに邪魔しやがって、幸せ?分ける?何言ってるんだよ。まぁでもこれはきっとなにかの夢だな。俺は軽い気持ちで返答してみた。

『こんな幸せを分けれるなら分けてやりたいものだね。どれとこのモテモテの毎日も少しは他の人にも味わって欲しいね。』


『そうですか。好都合です!それでは契約完了です!』


契約?好都合?なんの話だよ、変な夢だなぁ。そう思っていると

(ゔぅ!!)

無防備な仰向けのお腹にとてつもない衝撃を感じた。驚いて目が覚めた。するとそこには一見普通の年下の女の子だが頭の上には輪っかがあり極め付けに服装はガウン。それはまるで天使を想像させる容姿だ。


『痛たぁ。着地失敗しちゃいましたよぉ。あ!この度は契約ありがとうございます。まさかこんなに簡単に承諾してくれるとは思いませんでしたよ。私は天界の幸福平等会より派遣されましたリィーファと申します。よろしくお願いしますね主人(あるじ)様!』


寝起きでイマイチ思考が回らない。天界?俺が主人?わからないことだらけの俺は質問をぶつける。

『おい契約って何だよ。詳しく教えろよ。それに何で俺がこんなことにまきこまれてんだよ。』

間髪入れずにリィーファとかいう天使は答える。


『何って、幸せを分けるって主人様が言ったんじゃないですか。あなたの異常とも思えるモテモテの生活の原因はあなた自身が他人の幸せエネルギーを知らない内に吸収してしまっていることにあります。このままではこの世界の平等な幸せのバランスが近いうちに崩壊します。そこで天界の幸福平等会はあなたから幸せエネルギーを吸収して分配することで幸せのバランスを元に戻そうと考え私が派遣されたのです。あと拒否権は認められませんし拒否したその時はペナルティーの魔法を私も含めてかけられていて首が飛ぶようになってますのでどうか拒むことのないようにお願いしますね。』


首が飛ぶ、それって死ぬって事?!それは困る。それだけは絶対に阻止しなければ。

『納得はしてないが事情はわかった。それで俺のモテモテの幸せを分けるって具体的にどうすればいいんだよ?』

リィーファは待ってましたと笑顔で答える。

『幸せエネルギーの著しく減少している人には私の持っているこの幸福感知センサーが反応するようになっています。主人様にはモテモテの力を使ってエネルギーの減少している対象者を恋に落として欲しいのです。そうする事で主人様の中にあるエネルギーが対象者へと分配されるようになっています。』


俺が対象者の相手を恋に落とすだと、何だ簡単じゃないか。俺はこの学園一番のモテ男だぞ。楽勝だな。俺は恋遊びくらいの気持ちでいた。

(ガシャ!)


誰か来たのか。とりあえずリィーファを近くの花壇の裏に隠す。


『一人足りないと思えばやはりお前か。私の事を舐めているのか。始業式に出席しないとは学生としての自覚がないにも程があるぞ。それとも私が女だから…いや!なんでもない、次はないと思いたまえ。』


全くまた説教かよ。あんなにこわい顔してさ。黙ってれば可愛いのによ。おっと花壇の裏にリィーファを隠してたの忘れてた。


『主人様!あの女の子にセンサーが強い反応を感知しました。対象者です!こんなに早く見つかるなんて驚きです。さぁ主人様!主人様のモテ男ぶりであの子を落としちゃってください!』


おいおい、嘘だろ。いきなりの無理ゲーじゃないか。金井可奈を俺が落とすなんて事できるのか。

この日から命を懸けた対象者との恋の駆け引きが始まる。


次回 第二話 「Target1 金井 可奈」





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