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カノジョに恋した理由  作者: 仲村 廣樹
4/15

第三話:親友と彼女

仲村廣樹(ナカムラヒロキ)の高校生時代の話です。

 ――日曜日の昼下がり――

 廣樹と純也は、二人がよく使う喫茶店でランチをしていた。

「――で、そのお姉ちゃんが……テレカ買ってくれたって?」

 純也は廣樹の話を注文したステーキランチを食べながら聞いていた。

「だから……俺に……ごちそうして……くれるって?」

 肉を頬張り、口の中の肉を噛み切りながら、反対の席に座る廣樹を見ながら話を続けた。

「……でもさ……俺から買った普通のテレカを……そんな金額で売るなんて……ダフ屋も裸足で逃げ出すな? プレミア付いてるテレカなら別だけどさ、普通のテレカなんて金券ショップに行けば九百五十円くらいで買える代物だからな……それを一枚二千円って……」

 純也は手に持ったフォークを廣樹に向け、笑いながら話しかけてきた。

「――それはそうだけどさ……いや、だってさ、相手が自分からその金額で買うって言うんだから……別に良いじゃんか!」

 廣樹は自分の幸運を誰かに自慢したくて仕方なかったのだろう。時折、笑みを浮かべては同じ話を何度もしていた。純也はナプキンで口を拭いながら廣樹を見ると言った。

「――まったく、廣樹はどうかしてるぞ? 貰った金額は二万円だっけ? 彼女の菅原じゃなくて、普通……真っ先に俺とのランチに使うか? ……普通はさ、彼女に一番最初に使うべきだろう? 何かを買ってあげるとかさ……」

 そう呆れ気味に話しながら、ポケットからマイルドセブンを取り出し火をつけると、通路の床に向かって紫煙を吐いた。

 センター街や駅ビルの喫茶店で、日曜の昼下がりに私服とはいえ、高校生の二人が煙草を吸っていたら普通は好奇の視線が集まる。だが、此処は常連しか来ないような個人の喫茶店だから目立たない。

「――純也さぁ、真っ先に奢ってやったんだぞ? 少しは俺に感謝しろよな? ……それにさ、なんて説明して京子に臨時収入の話をするんだよ?」

「――確かに! 京子の性格を考えたら修羅場しかないか……そもそも、どんな女子でも同じ反応すか……」

「――ったく、そうだよ。他人事だと思って彼女を甘く見てんなよ? 怒らすと怖いんだからな!」

 廣樹は何処か不満げに話し、ポケットから煙草とライターを出し火を点けた。純也は廣樹が持つその見慣れないライターにすぐに気づいた。

「あれ? ……そのライターどうしたの?」

 廣樹はテーブルに置かれた、自分の煙草の上に乗せたZIPPOを見ると答えた。 

「――あ、これ? あぁ、その姉ちゃんが中古だけど……ってくれたんだよ」

 純也が煙草の上に置かれたZIPPOに手を伸ばした。

「ふぅん。――ってこれ! スターリングシルバーじゃん! 純銀製で高いんだぞコレ!」

 それを聞いた廣樹がそっけない態度で答えた。

「……そうなんだ。飲み屋の客にでも貰ったんじゃないの?」

 今の廣樹には本当に金額なんてどうでも良かった。廣樹にとっては香菜と話した内容や経験に比べれば、ZIPPOの価値なんて全く無いに等しかったからだ。

「――いやいや! 普通、客が飲み屋の姉ちゃんにライターなんかあげるか? 普通はプレゼントと言ったら、バッグとか財布なんじゃねえの?」と、言って純也はイマイチ納得がしていなかった。「……なんかさぁ……今の廣樹にはモノの価値なんて関係ないって感じだな?」と煙草を吹かしながら目を細めて訊いてきた。

 そう言われた廣樹は、思わず顔を上げて純也の顔を見ると言った。

「――ん? そんな事無い、ラッキーだと思ってるよ?」

 親友からの鋭いツッコミに少し焦ったのだ。

「……まさか、とは思うんだけどさ……廣樹には、菅原ってちゃんとした彼女がいるよな? それなのに……その姉ちゃんとラブホで一晩を共にした……とかは無いよな?」

 純也はチベット砂狐のような冷たい視線で廣樹を見ていた。廣樹はその質問に対し吸っていた煙草を周囲が振り返るほどにせた。

「――はぁ! そ、そんな事あるわけねぇだろ! ったく、ふざけたことばっか言うなよ!」平静を装いながらも心の中で思った。『……少なくとも……ラブホではないし……』

 だが、純也は頷きながら『ふぅん、そう』と言って疑いの眼でずっと廣樹を見ていた。

「……昨日は、全然連絡が来ないしさ、なんか……怪しいんだよな? あと、夏休みに竜飛岬だっけ?」

 吸っていた煙草で廣樹のことを指しながら続けた。「オマエが『菅原と二人で竜飛岬に行ってくる』って、言ってた頃からなんだけどさ、お前らってガラッと二人の距離が変わったよな? 周りを気にしないで普通に間接キスとかするし、頼んだ物をシェアして食べてるしさ、たまにブラ透けてるよとか菅原に言うよな?」煙草を大きく吸ってゆっくりと吐く「――そりゃさ、お前ら二人の事だからさ、俺には関係が無い話なんだけどさ……」と煙草を吹かしながら、延々と愚痴るように話を続けた。

「……純也はストーカーかよっ! どんだけ俺達の事を日頃から観察してるんだよ?」と純也に対して抗議した。

「……だって、そう思ったんだもん。で、結局……その姉ちゃんとはヤったの?」再び冷たい視線で廣樹を見て訊いてきた。

「……あの、純也さん? もうちょっと、オブラートに訊いてもらえないですかね?」

 あまりにもハッキリと言うので、廣樹は低姿勢で純也に頼んだ。

「――なんてね! もう良いよ。下手なこと訊いてさ、俺が廣樹と菅原の間に挟まれたら、それはもっと嫌だしさ!」

 純也は急に笑顔になると話していた話題に終わりを告げるような口調でいった。

「……そっか、そうだよな」

 廣樹は内心ホッとしていた。香菜との事は自分の中だけにしまっておくつもりでいた。まさか純也が食い付いたせいで、根掘り葉掘り話す羽目になるとは予想さえしてなかったのだ。

「――でさ、菅原とはヤることヤったんでしょ?」純也は口元をニヤリとさせた。

「……あのさ、話が全然終わってないじゃん……」廣樹が飽きれた口調で言った。


 喫茶店を後にした二人は、センター街を目的地に向かって歩いていた。目的地はクラスメイトの加藤の住む家だった。

「――でさ、加藤にいくらくらい貸したの?」

 センター街を歩く歩行者を避けながら純也に訊いてみた。純也はチラリと廣樹を見ると直ぐに視線を進行方向に戻した。

「エロゲを買うからって五千円ほどな」とさらりと答えた。

 廣樹は気になって、反対からこちらに向かい歩いてくる人を避けて歩きながら純也に更に訊く。衛星都市のセンター街というだけあって人は数えきれない程に多い。

「――そうなんだ。で、いくらくらい金は回収したの?」

「……六千円」純也は慣れた動作で人を避けながら再びさらりと答えた。

 廣樹はそれを聞いて立ち止まると驚いたように純也を見た。

「……もう、全額回収は済んだってこと?」

「――そう、だからコレを買ってもらう為に向かってるの」

 純也はそういうと、手に持った鞄を軽く持ち上げて見せた。廣樹は純也の鞄を見ながら首を捻って訊いた。

「……で、何それ? その鞄を買ってもらうってことか?」

「いや……違うから……廣樹は本当に天然だよな?」純也は呆れて肩を落とした。「……違うヤツから借金の担保に預かったギャルゲ。なんでもレアらしんだわ……コレが」

 廣樹はギャルゲって単語に一瞬だけ固まると口を開いた。

「……ギャ、ギャルゲっすか……俺には未知の領域だな……」

 純也が持っているゲームは、本人が言うには販売元のミスで無修正画像のデータが誤って入れられていて、販売元から市場に出回る殆どが回収になってしまった物らしく、マニアの間では高値で取引されているそうだ。廣樹に全くの無価値、つまり無料(タダ)でも要らないモノだが、他の誰かにはとても価値があるプレミア品ってことになる。入手困難な分が闇で取引される際に相場に割増金として加えられているというわけだ。


 ――加藤の部屋――

 廣樹が生まれて初めて来た、オタクという人種が生活している部屋だった。

「――あ、委員長も一緒だったんだ。葉山君、これは市場では大体二、三万くらいの相場で取引がされていると思うよ?」

 加藤はゲームソフトの状態をじっくりと確認し終えると雑誌などを見ながら答えた。

「それさ、加藤が俺から一万五千円で買わない? 支払いは一週間後でも良いからさ、なんなら売れてからだって構わないからさ」

 純也は加藤に自分が希望する金額を笑顔で提示した。簡単に言えば、加藤が自分のルートで捌き、その売れた金額から純也に代金を払う。どちらもWIN・WINの取引が成立するという訳である。

 二人の会話に全く興味が無かった廣樹は、加藤の部屋を物珍しそうに見渡していた。無数にあるゲームソフトや美少女フィギュアは、休みにコンビニなどでアルバイトしたり、今回みたいな事で得た金で買っているそうだ。

「――委員長も興味があるなら……そうだな……ゲーム一個を五百円で貸すけど……どう?」

 加藤は廣樹が部屋をきょろきょろと見ていたので、エロゲに興味があると思ったのだろう笑顔で提案してきた。

「――あ、俺? いや……大丈夫。同じ五百円を使うならガソリン入れるよ。それにそういうのは充分、間に合ってるからさ……」

 首を左右に振りながら微かに笑いを浮かべて断った。男だから勿論、エロに興味が無い訳では無かった。別に京子がいるからという訳ではないが、美少女ゲームという二次元少女には全く興味を持てなかっただけだった。

「――廣樹には菅原がいるからさ、アッチのほうは間に合ってるってさ!」純也が廣樹の気持ちを見抜き、ニヤけながら代弁した。

「……純也おまえさぁ、人の彼女をまるで性の捌け口みたいに言うの止めてくれない?」

 京子との関係は一切否定はしないが、こんなゲームと一緒の扱いをされるが許せなかった。

「――え! 菅原さんと委員長って……もう、何回もエッチするような関係まで進んでいたの? ってl事は……菅原さんはもう……」と加藤は薄ら笑いを浮かべながら純也のいった台詞に食いついた。

「……菅原さんと委員長って仲が良いとは思っていたけど……もう、そんな事を何回も、何回もしてる関係なんだ。……菅原さん、イイ身体してそうだもんね? どんな反応するんだろう……どんな声で……」

 加藤は何を想像してるか理解できる程、口に締まりが無かった。それを見た廣樹の強く握った拳はポキポキと音を鳴らせた。加藤と純也は廣樹の怒りをとっさに感じ取り反省した様子で謝った。

「……委員長、ごめなさい。かなり……調子に乗りました」今の加藤には先ほどのにやけた顔の面影すら感じられなかった。

「……すみません。かなりハメ外し過ぎました!」純也は親友の怒りを感じたようで深々と頭を下げた。

「――ったく、お前らさ……調子に乗り過ぎなんだよ!」と廣樹はあきれた口調で二人に対してブツブツと文句を言った。

 そんな時、部屋の中で廣樹のポケットから無機質な携帯電話の着信音が鳴り響いた。廣樹は京子からの電話だった場合、二人に自分達の会話を聞かれるのが気まずいので、最初から電話には出ないと決めていた。

「――あれ? 廣樹、電話に出ないのか?」純也が気になって訊いてきた。

「いや、別に……良いよ。もし、急用なら留守電に入れるだろうしさ……」

 廣樹はそっけない態度で答えた。不在着信を確認すると、電話帳に登録されていない知らない番号からだった。簡易留守電も入っているが、まるで心当たりが無い。よくあるサラリーマンが入れた間違い電話だろうと思い、廣樹は此処で直ぐに留守電を聞いてみる事にした。数週間前、間違いで留守電に入れられた内容が脳裏に蘇ったのだ。その留守電の内容は、電車が遅れてしまい、待ち合わせた時間に見積もりに伺えないと必死で謝る三十秒間の謝罪内容だった。そんなことを思い出したせいもあり、無性に気になった廣樹は留守電の内容を聞く為、携帯電話を操作する。留守電の声が携帯電話のスピーカーから漏れるように静かな部屋に流れはじめた。 

『――もしもし? 香菜ですけどぉ、暇だったら……電話下さい。……じゃあね!』

 廣樹は留守電の内容を聞いて、まるで魔法をかけられたように固まった。香菜に自分の番号を教えた記憶はないのだから当たり前だ。なんで自分の番号を知っているか記憶をなぞると答えが出た。香菜のマンションの部屋番号が解らずかけた時に違いない。なんであの時に非通知でかけなかったのだろうと自分の危機管理能力の低さを呪った。

「……ま、間違い電話……かなぁ?」とは言ったが、知り合いからだと廣樹の表情にハッキリと出ていた。

 少しの間を空けて加藤が、廣樹の肩にそっと手を置いてきた。

「……委員長、ダメだって! 菅原さんが怒ったら……すっごく怖いんだから。前に菅原さんにコスプレが似合いそうって言った時……僕は彼女に本気で殺されかけたんだよ?」

 その時を思い出したのか、加藤の顔は少し引き攣っていた。

「……アハハ……そうなんだ。キミ……意外と勇気があるね? あの京子に……まさか、コスプレが似合いそうなんて命知らずな話をするなんてさ……」

 あのツンデレの典型とも言える京子に、そんな大それた事を言うなんて、加藤は見かけによらず勇気があるな、と加藤の事を少しだけ見直した。アニメキャラのコスプレをして欲しいなんて、加藤でなく、彼氏の自分が言ったとしても無事とは思えなかったからだ。

 純也が加藤と反対側の廣樹の肩に、ポンっと手を置いてきた。

「……今の女……多分だが、テレカの姉ちゃんだな? あとで喫茶店の続きをじっくりと話そうな?」

 純也は満面の笑みで話しかけてきて、憎たらしい程にニヤニヤしていた。

「……後で……純也()()と二人きりになったらね……」

 留守電をここで再生した自責に心が耐えられなかった。ふと、前に純也に教えてもらった諺が思い出された。……そう言えば、前に純也が言ってたっけ『覆水盆ふくすいぼんに返らず』それは一度起きてしまったことは、もう二度と元には戻らないって意味だって。……本当に諺って勉強になるな。社会人が電話をする時に席を離れる意味を身をもって学べた気がした。そして、溜息をつきながら、表現のしようがない後悔をしていた。

『人はきっと、間違い探しの間違いの方を歩んで、そこから色々と学んで生きていく生き物』

 廣樹はそんなくだらない心の名言が思いついた。



 ――センター街――

 廣樹は肩を落としながら、純也と並んでセンター街を来る時とは違い、とぼとぼと人とぶつかりそうになりながら歩いていた。

『加藤が京子にそんなことを言ったら……間違いなくぶっ飛ばされるだろうから、まず言わないと思われるから加藤は大丈夫だとして……今は京子と仲も良いし、絶対に純也は言うだろうなぁ。……やっぱり……香菜さんに電話するしか無いのかな……』そんな事を考えながら、先ほどから数えきれない程の溜息を吐き出していた。さっきから純也が、何度も香菜にリダイアルしろと催促してくるのだ。

「――廣樹くん、いつリダイヤルするの? 僕、すっごく楽しみなんだけど!」楽しくて溜まらない気持ちが顔から滲み出ていた。「電話しないなら……僕……京子ちゃんにチクっちゃうんだからね? 恋人がいるのに……浮気はいけないんだからね!」

「……おまえさ、親友をそんなに破局させたいのか?」思ったことをそのまま口に出した。

「俺さ……菅原にさ、親友の廣樹を寝取られたんだよね……」ぼそりと口にした。

「――はいっ? オマエは俺の元カノか! 寝取られたって……京子は女で彼女だし、お前は男で親友なんだから、取ったとか取られたとか元々無いだろ?」と反射的に思ったことを言ってしまった。

「――だってさぁ! 菅原と付き合う前はさ、俺と四六時中いろんな話したり、一緒に学食を食ってたのに……最近はさ……付き合いだって悪いだろ?」とブツブツと廣樹に対し愚痴るように話してきた。

 廣樹は心の中で『コイツ、こう見えて意外と女々しいな』と思った。

「俺には純也としか話せない事とか、二人だけの秘密とか。色々とあるだろう?」廣樹はどれだけ二人の友情が深いのかを語った。

「……えっと……それは……香菜さんの事を言ってるのかな?」純也は笑いを堪えられず、唇をひくひくさせながら言ってきた。それを聞いた廣樹は肩を落として、全く次の言葉が出てこなかった。


 結局、観念して渋々ながら香菜に電話をした。携帯電話とは反対側の耳から、とても小さな声で聞こえてくる純也の呪文のような脅迫染みた言葉。その為、何処かで会おうという話の流れになった。


「――はじめまして。僕は廣樹くんと同じクラスの葉山純也と言います」

 香菜に会うといつもとは違い、純也は真面目な言葉遣い、明るい表情といきなり猫を被って、優等生面ゆうとうせいづらしてきた。

 そのせいもあり、廣樹の中で怒りの声が連呼する。『こ、こいつ! 何、猫被ってやがるんだよ! 化けの皮剥いで中にいる虎を引っ張り出してやる! 虎じゃ猫の皮を着れねぇんだよ! 自分だけノーダメージとか絶対に許さないからな!』今に見てろと言わんばかりに、純也が校内でどれだけの悪行をやってきたかを事細かに香菜に対して暴露した。


  香菜は暴露された純也の話を、ケラケラと笑いながら楽しそうに聞いていた。

「――へぇ、純也くんって高校生なのにそんな事やってるんだ。なんか……ヤクザやフィクサーみたいだね?」

「――そ、そうですかぁ? そんな大それたモノじゃないと思うんですけど……」

 香奈に言われた事が余程嬉しかったらしく、稀に見る程に喜んでいた。

「――おいっ純也! なんでそこで喜んでるんだよ! 誰も褒めてないだろ!」

 廣樹は自分の目論見が裏目に出た為、全く面白くなかった。

「……ウフフ、やっぱり廣樹は可愛いなぁ。本当にいつも自分に素直だよね?」

 香菜はどこか好意が籠った顔だが、まるで弟に対する姉のような優しい口調だった。流石は水商売と思える程に切り替えた表情で純也に話しかけてきた。

「――純也くん、私が金主、つまりスポンサーになってあげようか? ……もう、カネゴンな彼氏もいない訳だしさ……」

「――マ、マジっすか! ちゃんと利息を付けて返すので、是非お願いします!」

 いきなり立ち上がると香奈の手をぎっちりと握り懇願してきた。

 廣樹はそれを見て面白く無さそうに口を開くと言った。

「……へぇ、そう。香菜さん今はフリーだしさ、いっそ純也(オマエ)の彼女になって貰ったら?」

「――廣樹! 私は遊びだったの? 飽きた女はさっさと捨てるのね? って冗談は置いといて……只ね、高校生が友達から利息を取るのは……ちょっと感心出来ないな。だから、こうゆうのはどう?」

 香菜は廣樹の提案を綺麗に躱すとテーブルから乗り出し、純也達の耳元でゴニョゴニョと何かを話し始めた。

「――それ、それ良いです! 絶対にそっちの方が儲かりますって!」

 純也は目をキラキラさせながら、ガッツリと香奈の提案に食い付いた。

「――でしょ! この前、電気店に行った時、ふと思ったのよ!」

 香菜は自分の考えが正しいことが嬉しかったらしく、意気揚々と笑った。

 ――香菜の考えはこうだった。香菜の同僚にパソコンを覚えたい人が沢山いるが、パソコン教室に通ったり、自己流で覚えるのは正直メンドクサイ。そこで純也から金を借りたオタク達がアルバイトという形で、パソコンを教えに行ったり、機器等の設定をして、純也が報酬を香菜の同僚から貰うというのだ。純也は香菜に闇金のスポンサーになってもらい、オタクが行ったパソコン講習の代金から利息をつけて返済してもらう。香菜、香菜の同僚、純也、オタクの全員がWINになるという話だ。

「……香菜さん。よくそんな事を思いつきましたね?」

 廣樹は自分には関係が無いと思った為か、全く興味無さげに呟いた。

「――なによ! 廣樹もちょっとは褒めなさいよ!」

 頬を膨らませて怒ってはいるが、その表情には何処か可愛げがあった。

「……俺も香菜さんを褒めろって? いやいや、香菜さんは俺と歳は近くてもさ……一応は社会人だし、俺らとは違って、もう学生ガキじゃないんだからさ……」呆れた口調で香菜に言った。

「……廣樹さ、お前……もしかして、自分には全く関係の無い話とか思ってないよな?」

 純也が横から廣樹に話かけてきた。

「……いや、俺には全然関係が無い話だろ? 俺はパソコンなんてかじったくらいで、全然詳しくなんてないしさ……教えたり、細かい設定なんて出来る訳ないし……そもそも俺はバイトするほど金に困ってないしな……」

「――あのな……誰が超ど素人の廣樹にパソコンの設定とか使い方を教えろって言った? お前の仕事は買ったモノを現地に届ける事だけに決まってるだろ、バカか?」

 純也はポケットからマイルドセブンを取り出し、火をつけると廣樹に向かって紫煙を吐いた。

「――はいっ? なんだそれ! なんで、わざわざ俺が届けるんだよ! そんなのは加藤とかオタクらでも別に良いだろ? なんで俺がわざわざ……」と純也に向かって抗議した。

「……廣樹くん? パソコンって一台幾らすると思ってるの? 加藤みたいな非力な奴に運ばせて……ヤンキーに狩られたらどうするの? 何かあったら責任が取れないでしょ?」

「……お、俺だって……もしかしたら、絡まれるかも……しれないだろう?」

「――は? 何を寝ぼけた事を言ってるんだ? じゃあ、聞くけどさ……廣樹って不良に絡まれて恐喝されたことあるの?」

 廣樹は首を左右に揺らした。

「――そ、そんなの普通に店とかの宅配サービスを使えば良いだろ!」

「……却下。それは余計な金と時間が掛かるだろ? お姉様方はみんな忙しいんだ。もし、家に居なかったら再配達が必要だし、お姉様方は夜は寝る間も惜しんで働き、昼に寝てるんだ。それなのに起こしてまで昼間に配達したり、時間を束縛されてもお姉様達に迷惑でしょ?」

「――お、俺の人権はどうなるんだよ!」

「捕虜と浮気者に人権なんてモノは最初から無いんだよ坊や。それに廣樹みたいなボンボンで世の中を舐めてる奴が、汗を流して一生懸命に働く楽しみを知れる訳だし、廣樹にとっても良い社会勉強の機会じゃないか? アルバイト代だって入る訳だしさ……」

「……う、浮気者ってなんか証拠でも……」

 そこまで言って廣樹はチラリと香菜の顔を見た。あの顔は事実無根の無かった事まで冤罪で有った事にする顔だ。間違いなく自分が今よりもっと不利な立場になるのと悟った。

「……わかりました。……喜んでやらせて頂きます……」

「そう、わかれば良いんだよ……マイフレンド。勤労なき富は罪悪なりって名言があるんだぜ?」と廣樹に向かって紫煙を吐いた。

 それを聞いて肩を落として落ち込む廣樹がいた。


 

 ――廣樹の部屋――

 廣樹と京子は部屋のテレビで放映されている映画を何気なく見ていた。

「――ねぇ廣樹、純也もよくここに泊まりに来たりするの?」と京子が訊いた。

「――ん? なんで?」廣樹はベッドに寝そべりながら京子に訊き返した。

「いや、男同士だしさ、そういう事って、沢山あるのかなぁって思ったから……」

「……どっちかといえば、俺が泊まりに行く方が多いかな? 純也んちゲームとか沢山あるし、純也は俺の親に気を使って俺の家で煙草を吸うのを嫌がるしさ。アイツ、あんな風に見えて意外と優等生なんだぜ? 俺が吸うからウチの両親は純也の煙草を全く気にしていないけどさ……」

「……へぇ、そうなんだ……純也がねぇ……なんか意外だね?」

「……そうだな、意外だよな。ところでさ、京子の親って娘が彼氏の部屋に泊まりに来ることを、なんで容認してるの? 普通は彼氏の家って……一番駄目なパターンじゃない? 彼氏と何かあっても困る訳だしさ……」

「――え? だって、廣樹の部屋だよ? ウチの両親が文句なんか言うわけ無いじゃん! それにもう廣樹はとっくに私と何回も何か起こしちゃってるじゃん!」と笑いながら言った。

「……いや、それは……そうなんだけどさ……でも、俺の部屋だからってどういう意味だよ?」

「パパがね、私が普通に廣樹の部屋に泊まるくらいじゃないと、廣樹がウチには普通に泊まりに来てくれないってさ!」

 その瞬間、京子を見て廣樹が凄い勢いでツッコんだ。

「――いやいや! それは絶対にオカシイでしょ! 俺達ってまだ高校生だよ? なんで彼女の親が彼氏に泊まりに来いっていう訳? ……ま、ウチの両親は……ちょっと特別だけどさ……」

 廣樹の両親は息子が知らぬ間に京子の両親と仲が良くなっていて、今日もお互いの父親が国分町に繰り出している。母親も京子の事を娘のように可愛がってる為、京子が泊まりに来ても何も言わない。むしろ、たまに美容品でも買ってとお小遣いまであげたりしている。よく聞いた一人くらい娘が欲しかったという会話も京子と付き合ってからはピタリと止まった。

「――やっぱりさ、パパって廣樹と一緒で車が大好きじゃん? エンドレスで車の話が出来る息子が欲しいんじゃないかな? 前にウチでご飯食べていった時、廣樹君は良い子だな、京子の彼氏って言うからどんなダメ男かと思って心配したが、あんな良い子だとは夢にも思わなかった。俺もあんな息子が欲しいってすごく褒めてたよ?」

「……俺さ、京子の親父さんとは、車の話くらいしかしていないような気がするんだけど……」

「きっと、それが嬉しかったんじゃないかな? うちの家族はパパの車好きはちゃんと理解はしてるけどさ、だからって車の話を聞いたり、誘われても一緒にドライブに行ったりはしないから……」

「――えぇ! 京子の親父さんが乗ってる車って日本が世界に誇れる名車じゃん! それを断るなんて勿体ない。うちの親父なんて母さん以外はまず助手席に乗せないし……」

「アハハ……そうなんだね。それに……うちはパパしか男いないしさ」

 廣樹は微妙な心境だった。彼女の親に気に入られるのは嬉しい。だが、車好きだから良い彼氏として理解されている気がしてならなかった。

「あ……私、この映画の台詞好きなんだよね。『二人が例え別れても、運命の赤い糸は決して切れない。見えない糸でずっと結ばれていて、必ず引き寄せ合うから運命の時に再び逢える』って台詞。なんか、ロマンチックじゃない?」

 廣樹は京子の話した台詞を聞いて思った。

『……そう言えば……京子と初めて会ったのって、俺が中学生の時なんだよな。バスケ部の練習試合で京子の中学校に行って、試合に負けて帰る時に俺の自転車の籠から落ちて転がったバスケットボールを、京子が拾ってくれたんだよな。そして、あの時に投げ返してくれて笑顔でこう言ってくれたんだ『惜しかったな、次は頑張れよ少年』あの時はまだ名前も知らない自転車で走り去る京子を見て、名前くらい聞いておけば良かったなって思ったっけ……きっと、京子はそんな話をしても信じないんだろうな。二人が例え別れても、運命の赤い糸は決して切れないから、京子と再会が出来たし、ちゃんと付き合えたのかな? ま、俺が最初は気づかなかったくらいだし、京子もあのダサい中学生が俺だって事には気づかなかったんだろうな……』

 だから、廣樹はその事を黙っておくことにした。

「――ねぇ? 廣樹ってば! ちゃんと聞いてるの?」京子は不満そうに睨んだ。

「あぁ、ちゃんと聞いてるよ。運命の赤い糸は切れないって台詞……それ、俺も好きだぜ」

「……私達も、運命の赤い糸で結ばれてるの……かな?」と少し照れながら廣樹に訊いた。

「そうだな……きっと、結ばれているんじゃない? 少なくとも、俺はそう信じているし思っているよ」そう言って京子の頭を撫でてから優しく抱きしめた。

「……そうだよね……私もそう思う」誕生日に廣樹に貰った指輪を優しく撫でた。

「――今度さ、学校サボって映画でも見に行こうぜ! 京子がサボりたいと思った日で良いからさ」

「――えっ! 廣樹が学校をサボって映画? もしかして……私って廣樹を悪い方に引っ張ってる?」

「いいや、それは大丈夫。高校生って青春の内に一回くらい、大好きな京子と学校サボって映画でも見に行きたいなって思っただけだよ。だってさ、大学生とか社会人になってからサボっても意外にそれは普通なことだろ?」

「……確かに……そうだね」京子はクスッと笑いながら言った。

「――だろ?」

 二人はお互いを見ると声を上げて笑った。


 ――金曜の教室――

 いつもと同じくざわついたホームルーム前の時間、クラスの生徒は自分の席なんて関係無く、仲の良い者どうし固まって話をしていた。

「――廣樹、今日遊びに行っても良いか? アルバイトの話があるんだけどさ」と純也が話しかけてきた。

「……また、アルバイトの話してるの? 二人とも……本当にお金が大好きだね?」と京子が呆れ気味に話しかけてきた。

「あぁ、別に良いよ。直接来るのと一回家に帰ってからのどっちが良い?」

「そうだな……泊まっていくかもしれないから……帰ってからにしようかな……」

「――それは却下です!」京子が間髪入れずに口を挟んだ。

「……いや、廣樹には断れない理由があるからさ。ごめんな菅原」

 純也が笑顔で京子にウインクした。

「――断れない理由? 何よそれ!」

 廣樹は黙って俯いていた。それを見た京子がピンときた。こうゆう時にこそ一番冴える女の勘というヤツだ。

「……あ、そういう事ね……純也がバイトの相手にしてるのってさ、確か……お水のお姉ちゃんだったよね? どうせ、廣樹がそんなアルバイトしてるのは、純也に何か弱みでも握られてるからでしょ? 違う? そうでしょ?」

 それを聞いて廣樹は焦って変な汗が出てきた。

「……まあな、だからさ、廣樹は断れないんだ。ごめんな、菅原」と勝気に言った。

「――だから! さっきから、却下って言ってるでしょ! どうせ、廣樹の事だから飲み屋のお姉ちゃん相手にオイタでもしたんでしょ? まったく、高校生がオバサン相手に変な遊びなんてすんなっての!」と言うと廣樹の背中をおもいっきり叩いた。

「――へぇ? 菅原ってさ……廣樹が……もしも……の話だけど……浮気とかしても……怒らないの?」

 純也は驚いて京子の顔をマジマジと見た。

「……なんでそこまで怒るのよ? 男なんて大人になれば黙って風俗に行くし、飲み屋のお姉ちゃんにだって会いに行くでしょうが!」

 それを聞いた純也は口を開いたままフリーズしたように固まっていたが、廣樹は水を得た魚のように急に明るい顔になると純也に言った。

「……という訳で、今日限りでバイトは辞めさせてもらいます。今までお世話になり、ありがとうございました!」

 ――バンっ! その時、勢いよく京子が机を叩いた。その行動に廣樹と純也はビクっと反応した。

「――廣樹はこれから私と早退するから! 純也はあとをよろしくね、わかった?」純也に対して笑顔だがとても強い口調で純也に言った。

「――は、はい、わかりました。上手くやっておきます!」と言って純也は自分の席へとそそくさと戻って行った。

「――廣樹、行くわよ! ちゃんと事細かに説明しなさいよ!」と、言った京子は久しく見ないほどに目が本気で怒っていた。

「……はい」


 二人は今から登校する生徒と逆方向に向かって、京子の背中を廣樹が追うように歩いていた。

「……あの京子ちゃん? いったいどこに向かってるのかな?」

「――私んち!」と振り返りもせずに怒りを露わにした語気で答えた。

「……いやいや、京子の家って、流石に京子の親がいるだろ? 学校サボって彼女の家って――」

 廣樹が喋っている途中で京子が言った。

「――今日、両親は結婚記念日で旅行に行ってるから! ウチには誰もいないから! そんな心配しなくても大丈夫だから!」

 あまりの気まずさから、廣樹は電車の中でも京子に一言も話かけられずにいた。


 ――京子の部屋――

 京子の部屋に着いたが、いつもと違い重い空気が漂っていた。廣樹は軽く深呼吸をし、覚悟を決めて京子に自分から話しかけた。

「……ごめんなさい。……僕が悪かったです」

「……そんな内容が無い言い訳なんて……私、要らないから。全部……話してよ」

 そう言った京子の声は背中を向けたまま震えていた。廣樹は香菜と出会ってからの事を包み隠さず、京子の背中に向かって全て正直にゆっくりと話した。それを京子は背中を向けたまま三十分程度の時間、何も語らずに黙って聞いていた。

「……廣樹の馬鹿、本当は……廣樹を失うんじゃないかって……誰かに廣樹の私への気持ちを取られちゃうんじゃないかって……すごく……心配だったんだから!」小声で言うと振り返り廣樹にギュッと抱き着いた。「――私だって女の子なんだから! いくら強がっていても、女の子なんだから! 私……そんなに強くないんだから! 廣樹がいないなんて絶対に嫌なんだから!」と言って大きな声を出して泣きながら叫んだ。

「……ごめんよ。俺が悪かったよ」元気なく言った。

 浮気はバレなければ大丈夫なんて言葉、それはきっと嘘だ。浮気には必ず傷つく誰かがいる事を廣樹は心から悟った。そして、心からあの時に京子の事を思い出し、理性で一線だけは越えなくて良かったと思った。

「……ねぇ、廣樹……仲直りのキスしてよ」

 廣樹は京子のうなじに手を回し、優しく抱き寄せた後、長く優しいキスをした。京子の唇の感触に、狂おしい懐かしさと愛しさの記憶がハッキリと蘇った。それは廣樹にとって、京子の悲しい涙を感じた二度と味わいたくはない味がするキスだった。

「……廣樹……私の事……ずっと離さないでね……」

 廣樹はきつく抱きしめた京子の肩に細さとか弱さを痛いほどに感じていた。

「……これ以上、京子を抱きしめていたら……こんな時に言うのもアレなんだけどさ……気持ちが止まらなくなりそうなんだけど……」

「……別に止まらなくたって良いじゃん? いっそ、今日はずっと一緒にいてさ、このままサボって映画を見に行こうよ?」

 京子は少しだけつま先で背伸びをすると、両手でギュッと廣樹の頭を抱きしめた。

 廣樹は思った。初めて出来た彼女の京子があまりにも刺激的過ぎて、自分はきっとこれから先、京子以上に大切に想える人に出逢う事は無いかもしれない。終わりのように思えて、そこから始まった強い恋心を京子に感じていた。

 本当の悪女というのは、実は純粋な女のことなのかもしれない。何処までも自分を信じてくれるから、良心を鷲掴みにされて絶対に裏切れないのだから。

「……きっと……俺が……何を犠牲にしても、手にしたいモノ、自分を犠牲にしても守るべきモノは……京子なんだね……大好きだよ……」

「……知ってる。だって……私もそうだから……廣樹……愛してる……」


 きっと本当に心から好きな人は嫌いになれない。一つ嫌いな部分を見つければ、二つ好きな部分を思い出し、二つ嫌いな部分を考えれば、四つ好きな部分を思い出す。そうして嫌いになるつもりが、忘れようとすればするほど……どんどん愛しくなっていくから。自分は何から伝えれば良いのか解らないけれど、廣樹を心から愛してる……これだけは自信を持って言える。京子は廣樹を優しく抱きしめながらそう思っていた。

「……廣樹……私はずっと何処か孤独だった。だけど、廣樹にめぐり会えたから……この手は離さないよ……私はずっと廣樹の一番傍にいたいな……この気持ちはずっと忘れたくない……私は廣樹には迷わず飛び込んでいけるから……」

 京子が廣樹の耳元で優しくそう呟くと、廣樹は京子の手を優しく解き、少し離れてから優しい声で言った。

「……おいで……京子」

 それを聞いた京子は、笑顔になると両手を開いておもきり廣樹に抱きつき、自分のベッドに廣樹と一緒に倒れこんだ。

「……私、純也になんて絶対に負けない! だって、私は女だし、廣樹は私だけのモノだから!」

 廣樹はそれを聞いて最初はきょとんとしてたが、軽く頷くと言った。

「……ありがとう、京子……俺は本当に……幸せ者だな……」

良かったら、感想や意見よろしくお願い致します。自分の小説は基本同じ時間軸の同じ登場人物になります。

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