第7話 早くも2度目の戦闘?!
2度目の戦闘シーンです!
トレースは携帯を見ながら移動する。目的地は結構近い。
やっぱり動いていると実感する。左腕がないことに。左腕がないだけでこんなにも軽く感じるとは思ってもいなかった。
2億......正直無理がある気がする。NPCを倒すのは簡単なことじゃない。「倒してくるわ~」って簡単に言えるような相手じゃない。けれどプレイヤーを殺すよりよっぽどましだ。
片腕を気にしつつ目的地へ向かう。距離的にあと5分ぐらいだ。
別に急がなくてもいいがなぜか動いてしまう。
異世界だから左腕って戻るもんなのかな?多分不可能ではないだろう。
考えているうちに目的地についた。目的地は道具屋だった。早速中に入る
「・・・・・・」
あれ?「いらっしゃいませ」とかないわけ?まぁいいけどさ。
会計の所にも誰もいない。奥に部屋があるんで行ってみたが誰もいない。でもティグリスが送ってきたのはNPCの位置情報。おかしい。辺りを見渡す。
しばらく店にいたが誰も出てこないので店を出ようとした瞬間
『針刺し』
後ろから声がし振り向くと鋭い針が飛んできていた。誰もいないと油断していた。狙い目を見て一瞬で判断する。
右手!
素早く右手を上にあげる。間一髪で針避ける。
「そんなに姿を見られるのが怖いの?NPCは強いんだから姿を見せてもいいんじゃない?」
すると女の人の声がする。
「殺気があるプレイヤーに姿を見せる気はない。しかも賞金首ならなおさらだ」
流石NPCだ。情報が早い。姿は見せてないがある程度の位置はわかった。声の聞こえる方。自分の右側だ。多分不意を突いて右手に針を投げる気だ。
トレースはナイフを下に置く
「何の真似だ?戦う気がないのか?」
「さ~、それはどうでしょう。ただあなたの姿は見えていない。取るならチャンスでは?」
正直危ない賭けに出てみた。
すると急にナイフが消えた。その瞬間右を向き思いっきり蹴る。感触あり。
相手は蹴られた反動で飛んでいく。壁に当たるとようやく姿が見える。
ここまでは順調に進んでいる。案外NPCは強くないのかもしれない。
「姿が見えればこっちのもんだけどどうする?」
「あなたこそナイフがなきゃどうやって戦うの?さすがに足技じゃ弱くて痛くないよ?
ナイフは女性の手元にあった。
「第二の刃は見つかる前に使う」
トレースは雪道を装備欄から出す。すると女性の持っていたナイフは消えていた。
「やっぱり二つ同時には出せないのか。冒険者だからナイフの二刀流も無理ってわけだ。NPCもそれは知らなかったのかな?」
最初に床に置いたのは異世界に来た時からあったナイフ。それを囮に使って正解だった。そしてこの方法を防げなかったNPCはこのことを知らなかったのかな。
「さぁ、武器は手に入った。どうする?」
女性は無言で針を投げまくる。その針は一体どこから出てきているのか。そんな無駄なことを考えていると針にあたってしまった。
その瞬間うごけなくなる。またこれか......
「やっと当たったね。だけどこの針の麻痺は2分しか持たない。まぁ目的はナイフと携帯を取るだけだから問題はないんだけどね」
まずい。ナイフと携帯を取られれば本当に何もできなくなる。そんな方法もあったのか。
麻痺時間は2分......なら。
「ねぇ、あなた名前はなんていうの?知り合いのNPCには名前があったけど」
「そんなの知ってどうするの?あとは殺されて死ぬだけなのに」
「呪い殺してやろうかなと思って」
「闇魔導士じゃなきゃそんなの無理だよ。ましてやあんたは冒険者だろ」
すこしばかり時間稼ぎをする。これでうまくいくのか。
「一応これでもNPCを倒している身なんでね」
「だからどうした。引きがよかっただけだよ」
トレースはニヤッとして答える。
「じゃあ今回も運がよかったんだね」
女性はイラっとしたのか針を出し両足に刺す。麻痺が解除されても動けない。痛みが感じなかったのは麻痺を打たれているからだろうか?
そのまま女性はトレースからナイフと携帯を取る。
「それじゃまたね」
女性は姿を消す。それと同時に麻痺が切れるが足に刺さった針で動けない。右手で針を抜いたが相当痛くて立ち上がれない。やっぱりPT組んで回復役を入れるべきか。
無理やり立ち上がり辺りを見渡す。気配が全くない。
ただ確信できるのはまだこの部屋にいるということだ。足音がしないということは止まっている。多分店を出ていくのを待っているんだ。
思い通りにはさせたくない。ただ何もできない。冒険者だから他と違って技もないことがNPCと戦い分かった。
じゃあどうするか。替えの武器でもあればまだ勝機はあったが。ここは引いた方がいいのか?引いたら本当に何もできなくなる。
考えているとどこかで聞いたような声がする。
「やっぱトレース1人じゃ強いNPCには勝てねえか」
「......ティグリス?どうして......?」
「トレースに送ったNPCの位置情報は弱いNPCじゃなくて戦いの経験があるNPCだ。案外勝てるんじゃないかと思ったがやっぱきついか」
言葉が出ない。ものすごく裏切られた感がある。実際裏切られたのか。
「だがNPCは弱くても強くても挑もうとするプレイヤーは少ない。いや。いないといってもいいほどだ。だがトレース、お前は違った。なぜそこまでして戦うんだ?」
「戦う理由ね。ただティグリスとPTを組みたかっただけなのかも。この世界にきて一番最初に話した人だから」
ティグリスは笑う。
「やっぱお前は面白いな。ついて行ったら面白そうだわ。2億はゆっくり渡してくれ。」
「金の請求はするんだね」
「当たり前だろ。一応俺の店なんだ。まぁまずはこのちょっと強いNPCさんを倒さなきゃな」
忘れてた。でもどうやって?
「んじゃトレースはそこで見てろ」
ティグリスは剣を取り出す。
「やっぱ見えねえのはつらいな。出てきたらどうだ?俺は騎士だ」
女性は驚いた声で喋った。
「ティグリスってまさか......」
「そこか」
ティグリスは速攻で声の方に近づき剣を振る。女性はそれを針で受け止める。
「ほう。受け止めるか。なら」
ティグリスは剣を右手で抑え左手に銃を持つ。速攻で引き金を引く。女性は避けれず悲鳴を上げると同時に床に倒れ込み姿を見せる。
その瞬間ティグリスは女性からトレースの携帯と雪道を奪う。
ティグリスの強さに驚きながら見ていたトレースに携帯と雪道を投げ渡す。渡した後女性の両足を撃ち動けなくする。
「NPCはNPCを殺せるが殺しても意味が無い。ほら、トドメを刺せ」
トレースは傷だらけの足で立ち上がりナイフを右手に女性に近づく
「ごめんね」
その一言を残しトレースは雪道で女性の心臓を貫く
「本当に躊躇ねえな。これで闇魔導師みたいな死んだ後に襲ってくるアビリティだったらどうする気だったんだよ」
「このNPCが言ってた。そのようなアビリティは闇魔導師じゃなきゃ無理って。だからそれに賭けただけ」
女性はみるみるうちに消えていった。所持金は2億6000になっていた。
一旦宿に戻る。
「ティグリス、店開けてきてよかったの?」
「別にいいよ。どうせ今日で最後だしな」
「誰も明日から移動開始なんて言ってないけど」
宿までは10分で着いた。もう辺りは真っ暗だった。
「この後の予定はどうする?トレースに付き合うって決めた限りトレースに従うよ」
「そうだな。それ明日決めるのは明日にしない?もう19:30だし」
時計は19:30を過ぎたところにあった。
「それもそうだな。飯準備するから先食堂にいてくれ」
「分かった。先行ってるね」
ティグリスは未だに左腕について触れなかった。
ティグリスには聞こえない声で呟く
「ありがとう」
見ていただきありがとうございます!
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意外と戦闘シーンって書くの大変だよね。まぁ楽しいから書いていくんだけどさ!
次投稿は明日か明後日です!