第4話 武器屋で初戦闘?
まぶしい日差しがカーテンの隙間から微かに入ってきた。朝か。布団に入った後すぐに眠っていたらしい。
タイマーをセットしてなかったせいで今何時かわからない。時計を見ると7:15。危ない。あと45分でまたご飯が食べれないところだった。
部屋を出て食堂へ向かう。てか食堂ってどこだ?
分からないからティグリスの所へ向かう。
「おはよ」
少し眠そうな声で言ってしまった。
「おはよ。随分と眠そうだな。ぐっすり眠れなかったか」
「そんなことはないけど、流石に疲れたみたい」
「そりゃそうだろうな。いきなり転生したあげく6時間ぐらい歩いたもんな。そりゃ疲れるよ」
確かに考えてみれば昨日はいろいろありすぎた。
「そういえば食堂はどこなの?すごいお腹がすいたんだけど」
「あー、それならこの道の奥だ」
部屋の通路と逆側のほうを指さして答えた。確かに奥のほうに椅子や机が見える。
ティグリスも同行し食堂に入る。食事は用意されてあった。
「いただきます」
「召し上がれ」
朝食は米や魚など本当に和風そのものだった。
「おいしい......!」
「そう言ってもらえて何よりだ」
「これティグリスが作ったの?」
「ああ、ここで働いてるのは俺しかいないからな」
普通の米や魚だと思っていたけど日本では食べたことのないおいしさだった。昨日食べてないせいで余計においしく感じてしまう。
「今日ここの宿って止まってるの一人だけ?」
「ああ、トレースのみだ。収入は減るがその分飯を作らなくて楽なんだけどな」
「NPCも収入とかあるんだ」
NPCも楽じゃないんだなと思いながら淡々とご飯を食べた。
「ごちそうさま。本当においしかった」
「そりゃどうも。そうだ。出かけるなら金払ってから行けよ。どうせ今日も泊まるんだろ?」
「そのぐらいわかってる」
「そんで?今日はどうすることにしたの?」
トレースは少し悩み答える
「昨日言ってた武器屋かな。金狙いじゃなくてどのような武器があるか見てみたい」
「なら場所教えてやるから地図出せ」
「いや、武器見に行くだけだしどこでもいいよ」
「もしかしたら倒せるかもしれないチャンスだぞ?先に誰かに取られる前に行っておけ」
うーん。武器屋でベテランプレイヤーに殺されるよりましか
「わかった。それでどこなの?」
携帯の地図を見せて聞く
「大体このあたりだ。まぁここら辺はそんなに入り組んでないし迷わねえだろ」
「わかった。準備したら行くね」
いったん部屋に戻り色々と準備をした。部屋を出て店を出ようとすると
「おい、金払っていけよ」
「あ、忘れてた」
昨日のようにタブレットを上に乗せる
6500→4000
これはまずい。
「だいぶ金減ってきたな。二日でこれじゃきつそうだ」
「本当にやばいかもしれない。行ってきます」
店を出るころには12時を過ぎていた。気温は27度と微妙に暑い。先ほどティグリスに言われたように進む。街を見ながら歩くと店だけでなく一軒家なども普通にある。金を貯めたら住めるようになるのかな
色々な想像をしながら歩いていると看板に武器屋とかいてある店を発見した。地図で見てもこの辺りで間違いないだろう。
「いらっしゃいませ。武器屋へようこそ」
明るく接してくれたのは若い男性の方だった。少し不気味だったのは目の色が青で吸い込まれそうになったことだ。新規プレイヤーってことは元は日本人だから青は珍しい。まぁでも多分カラコンとかだろう
「武器を見たいんですが」
「どのような武器をお探しでしょうか?」
「ナイフを探してるんですがいいのありますか?」
「ナイフですか。値段等はどうしますか?予算など決めておられますか?」
今回は見るだけにするつもりなので値段は問わない
「値段は問わないのでいいのを見せてもらえませんか?」
「それでは少々お待ちください」
店主は店の奥へと入っていった。しばらくすると一本のナイフを持って出てきた。
「この武器がこの店では一番良いものかと思われます。一応名刀で雪シリーズの一つであり『雪道』という名前を持っています」
剣は銀色で初心者が見てもわかる鋭い刃。本当に欲しくなる。ただ雪シリーズってなんだ?
「雪シリーズってなんですか?」
「雪シリーズとは雪の降る日に武器自体の性能がアップするというアビリティです。一つ一つにアビリティが違い。この武器ですと移動速度アップが付いていますね」
武器にもアビリティが付くのか。冒険者としては狙い目かな。
「ちなみに値段は?」
「2500万になります」
え。何その金額。プレイヤー数人倒しても手に入らない額じゃん
「ちょっと見せてもらえる?」
「どうぞ」
実際に持ってみる。ものすごく軽く動きやすそうだ。
「ナイフお似合いですね。それでプレイヤーを殺したらどれだけかっこよくなることか」
「やめてください。そんなことしません」
「なぜです?現実世界で人を殺してこの世界で殺さないのはどうかと思いますが」
この時点で察した。少し距離を置く。こいつは新規プレイヤーじゃない。NPCだ。完璧に店を間違えた。
「まぁ殺した方も最高だね。ただ......」
急にしゃべらなくなった。その理由は簡単。トレースが持っていた雪道で店主の首を落としたからだ。
「NPCなら。罪悪感は。多少薄れる」
だけどなにかがおかしい。首を落としたのに一切血が出てない。NPCだからか?でも何かがおかしい。
驚きしばらく見入ってしまった。すると段々と体が消えていく。
店の奥から拍手と店主の声がした。
「まさか本当に殺してしまうとは。武器を取りに行くついでに分身を作っておいてよかったよ。私の職業はね。闇魔導士なんだよ。残念だったね」
完璧に油断した。
「殺そうとしたんだよな?なら受けて立つよ」
そういうと男は手を前に出し言い放つ
『爆炎』
すると手のひらから火の玉が銃弾のようなスピードでこっちに向かってくる。
なぜか避けることはできない。動こうと思っても足が動かない。下を見てみると呪文が設置されてあった。
「ーーーーーー」
声にならない叫び声が響いた。
火の玉が思いっきり直撃し体を貫通する。火は服に燃え移り激しく燃え始める。
「なんだ。この程度だったのか。安らかに眠るといい」
段々と男の声が薄れていく。もうほとんどの感触が消えた。ああ。死ぬんだ。
トレースはゆっくりと目を閉じた。
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