第3話 宿屋で雑談を
宿屋に入るとカウンターにいる男が声をかけてきた。
「いらっしゃい。営業時間なら終わっているぞ......ってお前か、お疲れさん」
「ただいま。営業時間終わってるんだ」
「ああ。店の外の看板に書いてあるはずなんだけどな。たまに入ってくる客がいるんだよ。まったく迷惑な話だ」
そうだったんだ。気づかなかった。後で見に行こう。それよりも、
「営業時間のことはわかったけどそのおまえって呼び方やめてくれる?」
少し怒った感じで言った。
「じゃあなんて読んだらいいんだ?名無しさんよ。」
え?まだ名前がわからないこと言ってないのに。
「なに驚いてんだよ。あーもしかして、名無しってわかったことに驚いてるのか。最初にもいったろ。俺はNPCだ。情報が入りやすいようになっている」
NPCだと言うことを忘れた。
「あーそういうことね。まぁ今名前がないから好きに呼んでいいよ。だたおまえはやめてね」
「好きに読んでいいのにお前はだめなのか。理不尽だな。うーん。そうだな。誕生日覚えてるか?」
誕生日?あー、それなら何とか覚えてるかも
「えーっと、8月3日だったきがする」
「じゃあ名前はトレースだな」
「トレース?なんで?」
どこかで聞いたことあるな。どこだったっけ?
「教えねえよ。知りたきゃ頑張って調べてこい」
「なにそれ。すごい卑怯」
なんか、名前つけてもらったしそれでしばらくはそれでいこうかな。そうだ。まだ名前聞いてないや。
「貴方の名前は?」
「唐突だな。まぁお互い名前で呼び合ったほうがいいもんな。俺はティグリスだ」
「分かった。しばらくの間よろしくね。ティグリス」
ティグリスは少し笑い答えた。
「しばらくって言ってもあと数時間だけどな」
トレースは首を傾げた
「何言ってるの?しばらくはここに住ませてもらうつもりだけど」
「住むのは構わねえが金が必要だぞ?」
「クエストとかやったら溜まるんじゃないの?」
クエストをやれば一泊分ぐらいなら稼げると思っていた。
「甘いな。この世界のクエストは相当強いところじゃなきゃいい金銭は入ってこない。雑魚などを倒すクエストもあるが、そんなんじゃお小遣い稼ぎにもなりゃしねぞ」
「え?そうだったの?」
相当なめていたみたいだ。だけでやらないほかない。
「だからこの世界特有のルールがあるんだろ。プレイヤーを殺すだけで10万も手に入るんだぞ」
「あーそんなルールもあったね。NPCは1億だっけ?なんでそんなに高いの?やっぱり強いから?」
あのルールを聞いた時から疑問だった。NPCが尋常じゃなく高いことに。
「強いっていうのもあるが学習機能がついてるから一度殺されても同じように殺せないようにすることが可能なんだ」
学習機能って聞くとすごく弱そうに聞こえるけど実際相当強いのか
「ちなみに倒した人はいるの?」
「ああ。現在では12人ぐらいかな。そのうちの2人はNPCを二回殺している。相当な強者だ」
12人......これだけのプレイヤーがいて倒せないものなのか。
「まぁNPCを狙うぐらいだったらいい方法があるぞ。ちょっと待ってな」
ティグリスがそういうとパソコンで何かをしている。
「あった。ここから徒歩15分のところに新規プレイヤーが店を建てている。新規プレイヤーは初期装備が弱いから殺しやすいぞ」
「なるほどね。外道の考え方だね」
「でも、そうでもしないとこの世界では通用しない。なんだ?人を殺すのが怖いのか?」
そりゃ、ここで殺すと現実世界でも死ぬんだから殺すのには抵抗がある。
「まぁ、そりゃ怖いよね」
「よく言うよ。実際に現実世界で殺してるくせに」
ティグリスのその一言でトレースは目の色を変えた。
その瞬間ティグリスの首元にはトレースがナイフを当てていた。
「なぜ避けなかったの?」
「なぜ切らなかった?」
二人が同時に発言する。お互いの目は相手の目をずっと見つめている。
「もう一度言う。なんで切らなかった?今のスピードだったら切れたのでは?」
次に口にしたのはティグリスのほうだった。
「だって、殺したらここの宿誰が営業するのさ。今夜の寝る場所なくなっちゃうしょ」
少しばかり微笑んで答える。
「それじゃこっちの番ね。なんで避けなかったの?」
どちらも真剣なまなざしで問い詰めあう。
「あと少しナイフが首元に近かったら避けてたかもな。少し遠すぎだ。だが、最初でこの幅なら余裕だろ」
問いの答えを聞いた後、トレースは少しずつ落ち着いた。
「私は......殺していない。まだ、死んでいない」
「ああ。まだ殺してなかったな。だが、お前はこの世界で人を殺す。たとえ現実で人を殺してなくてもだ」
トレースは少しウルっと来た。ティグリスが優しく言葉をかけたせいで。
「どこの世界でも残酷だね。こっちに来たらスローライフを送れると思ったのに」
「送れると思ったのなら最初から営業を選べばよかったのに。なぜ戦闘を?」
「最初にこの世界のことを知って多分戦わないと生きていけないんだなって思った。ただそれだけ」
嘘は言っていない。だた営業だってしてみたかったが多分営業していても殺されるだろうと思っただけ。なら殺す側に......ああ、やっぱりどこかで殺したいって思ってたんだ。
「まぁ落ち着いた。ごめん。急にナイフ出して」
「別にいいよ。急に異世界にきて混乱するやつも少なくない」
「今回に関してはティグリスがすべて悪いんだけどね。てかなんで現世の情報を持っているわけ?」
今更だと思いながらも聞いてみた。
「そりゃNPCだからな。新規プレイヤーを見た瞬間そいつのここでの情報と現世での情報が入ってくる。調べようと思えばそれ以外のことも可能だ」
「NPCって本当に怖い」
正直引くレベルでやばい。こんな奴と関わらないほうが身のためかも
「まぁ今日のところは部屋に戻って寝な。明日の朝食には起きて来いよ」
「安心して朝は強いほうだから。その前に明日って何したらいいかな?」
まだ明日の予定を決めてない。NPCならいい案がでるかも
「だからさっき言ったようにプレイヤー狩りだよ。それが一番手っ取り早い。まぁそれがどうしても嫌ならクエストでも行きな。まぁ三日後には野宿だろうけど」
そんなようなことも言ってたな。徒歩15分だっけ?近いし行くだけ行ってみようかな。
「ちなみに何屋なの?」
「武器屋だよ。殺す前に欲しい武器とかあったら買っておけ、どうせ殺すんだ」
「まだ殺すなんて一言も言ってないんだけど」
まぁ明日は行くだけ行ってみようかな。クエストは強くなってから上位のほうに行こう。
「じゃあ部屋に戻るね。おやすみ」
「おう。おやすみ」
そういい部屋に戻った。そういえば部屋に入るの初めてだ。
中は洋風な感じでベットかと思えば予想外の和風だった。椅子はなく座布団でベットではなく布団が敷かれていた。ホテルって感じがあったけど、どちらかというと旅館のほうがあっている。
風呂も沸いていたので風呂に入りベットに入る。
疲れていたのか。すぐに寝ることができた。
見ていただきありがとうございます!
自分でも展開が早いかなと思ったりもしていますがこんな感じで行こうかなと思っています!
次回は今週中には上げます




