第10話 明日はいよいよ出発だ。
記念すべき第10回です!
テストも終わりバイトの日々が続くかな?
それでも2日に1回のペースで上げる予定です!
トレースはパン屋に向かう途中によさそうな武器屋を見つけたのでそこに行く。道具屋ではそこまで時間がかからなかったのでまだ時間は大分ある。武器屋で色々な武器を見て暇つぶしでもする予定だ。
歩いて数分目的地に到着。
中に入ると少しおしゃれな音楽が聞こえてくる。
「いらっしゃ。買うのもあり、売るのもあり、何でもありだよ」
奥から聞こえたのは40ぐらいの女の人の声だった。とりあえず自分で探す気もないし聞きに行く。
「すいません。武器が見たいんですが」
「ほお!これは可愛らしいお嬢ちゃんだね。その片腕どうしたんだい?!」
「あー、ちょっと戦ってたら切られてしまいまして......」
「まぁここはそういう世界だから仕方ないよね。早く治しなよ。そんで何が見たいんだい?職業は何だい?値段はいくらぐらいがいいんだい?」
そういえばさっきの道具屋では片腕について何も聞かれなかったな。あの少年結構おびえてたから聞きづらかったのかな。
それにしてもこの人質問が多い。まるで久しぶりに会った親戚の人のような感じだ。
「職業は冒険者です。武器は......」
「ほお!冒険者とはこれまた難しい職業を選んだね。もしかして新規プレイヤーさんかい?ならおばさんサービスしちゃおうかな」
話してる途中で割り込んできた。しかも良く喋る人だ。
「新規プレイヤーじゃないんですよ。それでもまだ3日目ですど」
「3日目ならまだ初心者だね。サービスしてあげるよ!武器はナイフだったよね?」
「そうですね。冒険者はナイフ一択ですね」
「予算はどれぐらいあるんだい?」
「予算は気にしなくていいです。使いやすそうなのを何本か見せてもらってもいいですか?」
「はいよ。ちょっと待っててね」
ちょっとしんどい会話を終えおばあさんは店の奥へと向かう。今更だが店の奥に武器どれだけあるんだろう。入り口からカウンターまでの間は武器が飾られている。勿論購入できる武器だ。
「ほれ、とりあえず4本」
出てきたのはナイフ4本、どれも同じような感じで刃の形や大きさ、軽さなどが違った。
「右から3万2000、3万8000、6万1000、4万だよ」
やっぱりいい値段するな。まぁ手持ち的にそんなに困る額ではない。100万越えになると流石に辛いが今回は出てこなかった。
「うーん。一番安い3万2000のと6万1000のください」
「まいどあり!2点で合計9万3000だよ。まだ3日目なのに大きい買い物したんじゃない?」
おばさんはタブレットを出してきたので携帯を乗せる
1億9994万6000→1億9985万3000
おばさんは携帯の画面を見て驚く。
(あ、やば)
隠すつもりが画面を見られてしまった。どうやって言い訳しようか。
「まさかお嬢ちゃんNPCを倒したのかい?それでなきゃこんな額どうやって手に入るだい?」
「えーっと、その、まぁそうなんですよ。2人ほど......」
興味津々のおばあさんを見てたら嘘をつく気が失せた。
「そりゃすごい!なるほど、だから片腕がね。そりゃ仕方ないよ。てことは賞金首だったりするのかい?異名は!?」
どんどん聞いてくるおばあさん。流石に噂が広がりたくないのでここは嘘をついておく。
「まだ異名はないんですよ。賞金首は3000万ですよ」
「もっと倒して異名がついたら『片腕の冒険者』みたいな異名がつくかもね」
「はは、それはいいですね」
もしかしてこの人NPCなんじゃないかと思うぐらい的確に当ててきた。
「あ、そうだ!ちょっと待ってて!」
そう言うとおばあさんはまた店の奥へといった。すぐに帰ってきて持ってきたのは1本のナイフ
「このナイフ、お嬢ちゃんにあげるよ。ナイフ自体欲しがる人はそうそういないし店の奥で眠ってた宝物さ。受け取ってくれ、お金はいらんよ」
そのナイフは雪道と互角、いや、それ以上の強さを誇るようなナイフだった。
「いやいや。流石にそれをタダでもらうことはできません。因みにいくらなんですか?」
「普通に売ったら1億1000だよ」
「そんなすごい高価なものいただけませんよ!」
雪道でさえ2500万だったのに比べて1億越えをタダでもらうのは気が引ける。
「なら少し安くする。それならいいかい?そうだな。9000万でどうだい?」
「それなら買います。でも本当にいいんですか?」
「いいよいいよ。気にしないで」
トレースはタブレットの上に携帯を置く。
1億9985万3000→1億0985万3000
少し痛いが1億越えを9000万で買ったのは正直少し得......なのか?
「この武器は名刀で『魅桜』といって春になると強く光り切ったものを一定時間動かなくさせるという優れものです。春じゃなくてもアビリティで移動速度上昇はついてるよ」
「まぁ1億もするのに名刀じゃなかったら悲しいよね。今回の名刀は春が強いのか」
雪道は冬、魅桜は春。これで二季は手に入れたのか。
「この四季のシリーズってちゃんと全部あるんですか?今ナイフでこの魅桜合わせて春と冬あるんですが」
「まぁ!冬も持っていたのね。ちゃんと全種類あるよ。夏は5億とか結構高かったよ。秋は5000万程度だったかな。全部集めたら武器屋で合成が可能で合成すると『春夏秋冬の掟』になるよ。強さはアビリティが全部使用可能で特殊アビリティで絶対に折れない。そして必ず切れる」
わぁ......最強か。冒険者でアビリティも無いし作るのもありだな。
「ただ夏は売れてないと思うけど秋は5000万だしもう売れてるんじゃないかな。持ってるやつがいたら奪うなり交渉なりしないとね」
そっか。買われてることもあるのか。
「ありがとう。おかげで強い武器が買えたよ」
「いいんだよ。どうせ売れずに残ってる品物だったしね。使ってくれる人がいるなら名刀も本望だろうよ」
おばあさんは笑顔で対応してくれた。気づくと時間は16:40になりかけていた。
「あ!ごめんなさい!もう時間だ。本当にありがとね」
「あいよ。いつでもいらっしゃい。もっと強いナイフを仕入れて待ってるよ」
「期待しておくね!それじゃ」
「まいどあり~」
絶対に今後訪れることはないとわかっていても来たいと思ってしまう。
少し駆け足でパン屋へ向かう。時間はもう17時になる。
17時丁度にパン屋の前についた。だがティグリスの姿がない。もしかしてまだ買い物中とか?NPCは時間にルーズだったの?
「誰が時間にルーズだ。15分前からここにいるわ」
心の声が出ていたのかティグリスが突っ込みを入れる。しかも15分前からここにいるとの事
「随分早いんだね。もう用は済んだの?」
「トレースが遅いだけだ。俺の方は買い出しと武器の調整終わったぞ」
「こっちも道具屋と武器屋行ってきた。武器屋で名刀魅桜買っちゃったわ」
歩きながら魅桜のことを話す。一度宿屋に戻る感じだ。
「ほー、魅桜か。結構珍しいな。高かったろ」
「うん。最初はタダでくれるとか言ってきた。1億越えの商品をタダは流石にね......」
「そんなお人好しもこの世界にはいるのか。結局いくらで買ったんだ?」
「1億1000を6000万で」
ティグリスは驚いた顔でこちらを見た。
「そりゃいい買い物したな」
「うん。ちょっと嬉しかったか」
トレースが少し微笑む。ティグリスはそれに気づかずしゃべり続ける。
「いよいよ明日だな」
「そうだね。長旅だね」
「途中でやめるとかいうなよ」
「ティグリスが弱音を吐かなきゃ大丈夫だよ」
「先に弱音を吐くのはトレースの方だと思うけどな」
そんなくだらない会話をしながら二人は宿へ戻った。
見ていただきありがとうございます。
10話までこれたのも皆様が見て下さるおかげです!これからも連載していくのでよろしくお願いします!
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前書きにも言ったように投稿ペースは2日に1回の予定です!