出会い(後編)
フワフワ浮いているだけじゃつまらん。
せっかく死んだんだ。周辺を探索してみよう。
そう思った僕は、適当に探索をしようとその場を離れる事にした。
(ドン)
「あれ?あれ?ど、どうしたんだ?先に進まない。」
問題が発生した。
探索しようと思い動き出したのはいいが、途中で見えない壁に当たってそれ以上進めない。
適当に動いたがやっぱりある一定距離動いたらそれ以上進めない。
「一体どうなってんだ?せっかくのチャンスなのに・・・。」
僕は一人嘆いていた。
だんだん下に集まっていた人達が散らばってきた。
僕の身体はもう運ばれちゃったし・・・。
ただ呆然に立ち尽くした状態で浮いている僕・・・何だか寂しくなってきた。
「あの~。」
誰かに声をかけられた?そんなはずはない。なんせ僕は死んでるしそれに今空に浮いている状態だ。ありえない。
「あの~!」
え・・・。やっぱり聞こえる・・・。死んだ僕が言うのも変だが何だか怖い。
「あの~って呼んでるでしょ?!こっち向きなさいよ!」
「え?!」
怒鳴り声となった声…。確実に後ろにやっぱりいるんだ。
僕は勢いで振り向いてしまった。
「もう!何で無視するの?!さっきから何度も呼んでるのに。」
後ろを振り向くとそれはそれは綺麗な女性が目の前に立っていた。
ちょっと小柄な感じだが、見た目は十分に可愛い。ただ手に持っている鎌が気になるけど。
「葛城将太君よね?」
「え…。そうですけど。どっかで会いましたっけ?ってそれよりも浮いていますよね?僕と同じで死んだ人?死んだ人に知り合いはいないんですけど。」
僕はそう言うと女性はニコニコ笑ってきて言ってきた。
「フフフ。おもしろい子ね。まぁ、自分が死んだっていう自覚があるのはすごいわね。」
「はぁ…どうも。いやいや、っていうか誰ですか?そんな鎌とかどこにあったんですか?」
そう言うとまた女性は笑い出した。
「フフフ。本当におもしろい子ね。そう言ってくるとは思わなかったわ。やはり神様の力を持っている子は違うわね。」
「はい?」
僕は女性が何を言っているのか訳が分からなかった。
「隠しても仕方ないわね。私の名前はミルネ。死神よ♡葛城将太君、貴方が死んだからここへやってきたのよ。」
僕はそれを聞いて悟った。
「あ~、なるほど。あの世に連れて行く為にか。可愛い女の人が来たから何事かと思ったんですけど…納得です。」
「あら?私の事聞いても驚かないのね。」
「まぁ…もう死んでますし。どうやらここ周辺から他の場所に移動したりもできないみたいなんで退屈だった所です。早くあの世に行きましょう。」
「さすが神様の力を持っているだけあって普通の人間達とは考え方から違うようね。じゃ、さっそくだけど行きましょうか。」
「はい。」
そして僕は死神ミルネについて行くことになった。