出会い(前編)
身体がフワフワと浮いている。
きっと夢の中だと思いながらも違和感のある感覚・・・。その理由はすぐに分かった。
目を開けた僕の目の前には同じ様に浮いている人達がいた。
下を見ると、ザワザワとたくさんの人達が集まっている。
それよりも大事なのは何故僕が浮いているのかと言う事だ。夢かもしれないと思い、頬をつねろうとしたけど、すり抜けてしまう。
意味が分からない・・・・・・。
どうすればいいのか分からないので、とりあえず下の様子をじっくりと見る事にした。
段々と人の数が増えてきた。全員が一つの視点だ。遠くから救急車のサイレン音が聞こえてきた。
「もしかして事故なんかで大怪我でもしたのかなぁ。可哀想に・・・・。」
なんて思いながらも涙一つ流す事になくじっくり見てた。
所詮は他人だ・・・・。涙なんて流す訳もない。
すぐに救急車が来て、大勢の人達の中へ入っていった。皆が見ている視点の中へだ。
人が多くてどういう風に事故ったのか分からない。やはり僕も人間だ・・・・。興味はある。
またサイレン音が遠くから聞こえてきた。次はパトカーだ。まぁ、当然だよね。
すぐに警察が現場に到着して大勢の人達の中へ割り込んでいった。そしてすぐにロープをみたいなのをして大勢の人達を遠ざけた。
「ありゃりゃ・・・・もしかして殺人か?っていうか死亡事故?」
どっちでもいいけど、大勢の人達を警察が遠ざけてくれたおかげで原因の本人が見える。どれどれ・・・・。
「え・・・・・。」
僕はやはり夢なんだと思った。
そこに血だらけで倒れていたのは、まぎれもない僕自身だったからだ。
「え?え?ど、どういう事・・・・・。」
救急隊員の人が首を横に振っている。ダメって事か?
意味が分からない。
すぐに救急車に乗せられ、搬送されていった。警察は何やら近場にいた人達に色々聞いて回っている。
全く意味が分からない。
「僕は死んだのか?それともこれは夢なのか?どういう事なんだ?」
僕はフワフワと浮いた状態でグルグル回っている状態の頭でしばらく考えて佇んだ。