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二話 ご都合主義の塊

まさか一日で4,500文字を書けるとは思わなかった。ということで二話目の投稿です。

目下の課題として気が付いたこと

三人称視点か一人称視点か少しわかりにくい→二話目で多少緩和されたかもしれない。頑張って改善する所存。

主人公がやけに冷静→理由の一つとして、体に精神が引っ張られているということ。作品内でもやたら強調しているため、くどいとは思いますが、一応理由の一つはそんな感じです。二つ目の理由としては、脳が処理しきれない程によくわからない状況になると、逆に冷静になってしまうという考えを持って書きました(後付のような言い訳)二話目で主人公が多少独り言が多いのは、隠し切れない動揺を表しているという体です。


 盗品を記憶の中にある使い方や、どういう効果があるかなど整合性を取りつつ漁っているが、手順が一つ増えている分時間がかかる。

 それにしても、火を起こす魔道具や風を起こす魔道具、それに鈍い黒色の石――記憶の中ではどうやらこれは魔石というものらしい――など、日常生活では便利そうではあるけれど、これではなにも解決しない。こういうものは商隊を襲った際に手に入れたものだったはずだが、こんなものまで眺めていたとは、この体の持ち主は戦利品ならなんでも良かったのだろうか……。記憶自体はあるが、そのときに感じていたものや思っていたことまではわからないようだ。これでは、記憶じゃなく記録を閲覧していると言ったほうが正しいのかもしれない。。

 盗品の中には盾や剣、弓などもあるが今探しているのは正面切って戦うためのものではない。いかに被害を出さずに収められるかが鍵になる魔道具だ。とは言ったものの、あとはなにに使うのかわからない草や多少頑丈そうな縄に、日持ちのする干し肉などが入った袋くらい。一つ食べてみると塩味が割と効いていてうまい。

 あと見ていないものは、あの少女たちが引いていた荷馬車に積まれていたものくらいか。正直言えばこちらにはあまり期待はできない。

 ここらは国の中でも端のほうであり、少女たちが態々ここに来た理由もこの付近の村に立ち寄ることだったはずだからだ。なにか役に立つものが入っている可能性は低いだろう。

「ん……? 確かこれは真実の水晶とかいうやつじゃなかったか? こんな高価なものを持ってきていたのか」

 真実の水晶とやらは貴重なものであるため、ギルドや金のある貴族くらいしか所有していなかったはずだ。真実の水晶の名のとおり、自身の魔力を通すと魔力を通した人物のステータスが浮かび上がってくるというもの。詳しい原理はわからないが、そういうものだと思うほかない。


 試しにと、水晶へと魔力を通す。魔力の扱いかたは体が覚えているようで、なんとも都合がいい。魔力を通しはじめてから少し経つと、水晶から光の帯が伸び、少しずつ文字をかたどり始める。淡い光が薄暗い部屋を染め上げていく様子は何処か幻想的で。魔力そのものがこれほどまでに綺麗なのか、それとも、この水晶が魔力に光を添えているのか。

 その光景に見とれていると、不意に淡い光が途絶え、その場には暗闇でもはっきりと読めるステータスが残されていた。

 そこに描かれているは俺の名前にレベル、HPやMPにSTRなどの能力値に果てはスキルまで。

「記憶の中でも何回か見たが、どう見てもRPGのステータス表だな……。レベルがあるのもそうだが、HPが数値化しているのが凄いな。戦闘をしているとき、随時HPを確認できたら困ることは少ないんじゃないか? お、スキルは残っているのか」

 スキルが残っているとなると、戦闘自体もできる可能性が出てきた。もしものときの保険として、戦えるに越したことはない。HPの確認は所詮夢物語であり、今回の件に使えるものではない。

 しかしこの水晶はほかのことに使えないだろうか。原理はわからないが、魔力を通したらその人物の情報が表示されるのだ。道具の詳細を知ることもできるのではないかと、そう思ってしまうのも間違いではないだろう。そもそも、そういう試みをした人物を俺は知らない。もしかしたら同じようなことを考えて実行した人物もいるかもしれないが、この水晶の絶対数は少ないのだ。そういう情報は秘匿されている可能性もある。


 とりあえず物は試しだと、水晶を傷つけないような革袋を押し付けてみる。……しかし、反応はない。

「まぁ、そう上手くいくもんでもないか……」

 落胆の声を上げつつも、泣きの一手といったように革袋越しに魔力を通してみる。こんなことをしても自分のステータスが表示されるだけだとは思うが、これが駄目ならばほかの手を考えよう。

 とりあえずは先程と同じように光の帯が水晶から伸び始めたので一安心した。それにしても一度見たからかこの光景にそこまでの感慨を覚えることはない。

「おいおいおい、マジかよ……上手くいったのはいいが、こりゃちょっとご都合主義が過ぎるんじゃないか……」

 落胆とは逆の、喜色を含んだ声が思わず漏れる。確かに、こうなればいいとは思ったがこんなにもすぐいい方向へ進むものなのか。いや、そもそもがおかしい。こんな状況に陥っている時点でご都合主義もなにもないではないか。一つ物事が上手くいったところで、その考えは少々早計すぎるかもしれない。だが、この事態が好転する発見であったのは確かだ。一先ずこの革袋の詳細を見てみると、どうやら内部の空間が拡張されたもののようだ。見た目よりも多くのものが入り、袋の口よりも大きいものも入れられるといった説明が書いてある。

 まさかの掘り出し物であったが、ほかの盗品も同じように良いものであるとは限らない。とりあえずここにあるものを全て調べてから判断しよう。


 少女たちが荷馬車に積んでいたものはこれ以外に食料やビンに入った液体に衣服ていどか。このビンに入っているものはどうやら体力を回復させる薬、所謂ポーションという類のものらしい。これはある程度貰っておこう。助けるのだからこの程度なら許されるだろうと、ダブルスタンダード的な考えを持ちつつ革袋に入れる。

 一応少女たちが身に着けていた装備もあるが、防具は急所を守る程度のものだし、そもそも女性用に作られているため着けられない。大型の盾や槍はこの洞窟内ではもしも戦闘があったとして、逆に不利に陥る可能性もありそうだ。俺の持っていたスキルには剣術があったので剣を拝借しようと持ち上げてみるが、どうにも手に馴染まない。軽く振ってみるが動き自体に問題はなさそうである。となると、この剣そのものに特殊な効果でも付いているのだろう。そんなものを使っての戦闘は不安が残るし、やめておくべきだ。


 そうなると少女たちの持っていたもので現状使えそうなのは、この水晶だけということになる。となると、次はそのほかの盗品を調べてみよう。使い道のわからない草や縄にも、もしかしたら特殊な効果が付いているかもしれない。

 よくあるゲームのように、食べ物に特殊効果が付与されているかもしれないと、水晶に干し肉を押し付けて調べてみたが、結果はただの干し肉。水晶の一部に脂が付いたという結果しか残らなかった。一口食べたときになにも感じなかった自分を信じておけばよかったかもしれない。最終的にこの水晶はここに置いていくつもりだ。そのときにこの貴重な水晶に脂が付いていたらブチ切れてしまうのではないかとも思ったが、できれば少女たちに気が付かれないように事を済ませたいところだ。

 次いで縄を調べてみる。結果的にいうと、ただ頑丈になるような効果が付与されているだけの縄だった。しかし、頑丈な縄も使い道がないわけでもない……ということで一応革袋に入れておく。

「は? ……くっ、はっはっは! これこそまさにご都合主義って話だ。今まで悩んでいたのはなんだったのかって思っちまうなこりゃ」

 水晶の上に表示されている草の名前はパジー草。とある草の球根と一緒に調薬すると、麻酔薬になる草らしい。

 だが、今はそんな些細な情報はどうでもいい。一番目を引いたのはたった一度しか効果はないが、その効果を受けたものは強制的に二時間の睡眠状態に陥ること。これをご都合主義と言わずになんと言えばいいのか。手順はとても簡単であり、口腔からの摂取ではなく呼吸での摂取なので、そこまで広くない洞窟ではここにある草でも充分に効果範囲内であろう。

 とりあえずこのパジー草のお陰で、一先ずの問題は解決したと思ってもいい。となるとこれをいつ実行に移すかだが、これは二日後にしよう。明日は準備や少女たちの状態の確認をして、宴でも開いてやろう。ああいう輩は騒いでいればほかのことに目がいかなくなるはずだ。次の日は酔いつぶれているところにパジー草で強制的に眠らせ、殺す。

 こんなにも簡単に殺すなんて考えが思い浮かぶあたり、この体にだいぶ精神が引っ張られているらしい。覚悟を決めたところで、人を殺すということに忌避感はそこまで浮かんでこない。これも言ってしまえばご都合主義だ。俺をこの世界に送り込んだのが神であるならば、そいつは酷くハッピーエンドが好きらしい。


 そんな益体もない話しは横に置いておき、今日は色々と疲れたから寝てしまおう。あぁ、そういえば強制的に眠れるパジー草というものがあった。あれの効果を確かめるために、パジー草の葉を一つちぎり取り、火を起こせる魔道具とやらも一緒に持ちベッドへと向かう。このパジー草とやらは魔力を一定量送り続けながら火に当てると、緑色の煙を出すらしくそれを吸ったものは一度きりの強制睡眠に陥るらしい。

 魔力の扱いは苦手なようで、一定量の魔力を送り続けるのは中々に骨が折れる。しかし一定量とはいえそこまで気にするほどではないらしく、同時に火にあて炙っていると少しずつ緑色の煙が出てくるのが見える。

「あ、これはやべぇ。強制睡眠ってのはこ……こま……で」 

 パジー草の効果というのは思いの外強く、煙を少し吸っただけで非常に強烈な眠気が襲ってきた。火の魔道具だけはそのままにしておくと流石に危ないため、眠る瞬間に最後の力を振り絞って火を消したところで意識が途切れた。



「あぁ……そういや、パジー草の効果は二時間なんだっけか。全く寝た気がしねえ……」

 目を覚まして早々に呟く。強制睡眠なら、起きるのも強制らしい。便利なものであるとは思うが、寝た気がしないというのは戴けない。それに加え効果は一度きり。一応起き上がり体を動かして違和感があるかを確かめてみるが、後遺症的なものはないようだ。調べた際にそういうことは書いていなかったが、やはりこういうものは確かめてみるまで不安である。

 二時間しか寝られなかった体はまだまだ睡眠を欲しているようだが、せっかく起きたのだ。盗賊たちの様子を見てから再び寝ることにしようと思いたち、部屋から居住区へと向かう。居住区へ着いてみると、盗賊たちの半数ほどはすでに寝ているようで、そこら辺にぼろ布を被って寝ている。

「よぉ、グリードじゃねえか。どうしたんだこんな時間に?」

「ん? あぁガリルか。いやなに、今日は美味しいところでお預けにしちまったからな。明日は宴にでもしてやろうとでも思ってな。まぁ、半分は寝ちまってるようだが、とりあえずこいつらが起きたら教えておけよ」

「はぁー、珍しいこともあるもんだな。普段のおめえならそんなこと言わなそうだけどな」

「はっ、俺だってたまにゃ部下を労うくらいするさ。んじゃ、伝えるべきことは言ったぞ。俺は部屋に戻って寝かせてもらうぜ」

「おう。あいつらにゃ俺からちゃんと言っておく。ゆっくり休んどけ」

 踵を返し部屋に戻っていると、ガリルが宴のことを起きている奴らに伝えたのか、多少後ろが騒がしくなったような雰囲気を感じる。

 ベッドに体を預け、一息つき思う。実質的にはこの世界にきて初めてのちゃんとした睡眠だと。

 まぁ、明日はまだ計画を実行に移すわけではない。とりあえずはゆっくりと休み、英気を養っておこう。

話の展開が遅いかもしれない。

そしてくどいかもしれない。

試行錯誤を繰り返して書いてるので意図せずくどい説明をしていたりする可能性は高いです。その時は直します。


追記

ステータスの値は一応設定として作っていますが、小説内で書いてしまうとどうしても話のテンポや見た目の悪さが目立つと思い、詳しい説明は省きました。

現在出ている主人公やガリル、汚いものを押し付けられていた不憫な少女はちゃんとレベル、能力値、スキルなど全て設定してあるのでご安心下さい。

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