一話 異世界の始まりはイチモツから
初投稿です。小説を書くこと自体は一応初めてではないです。
投稿する前からどんな批判が来るのかと胃に穴が開きそうでした。
途中からもしかしたら書き方が変わっているかもしれませんが、初めてプロットを作っての小説作成ですので、そこら辺は探り探りです。ご了承下さい。
一応見直しをしたりしていますが、どうしてもくどい部分、話の展開がおかしい部分があると思います。そういう場合は言ってもらえれば頑張って直します。頑張ります。
もしかしたら読みにくいかもしれません。その時は直します。
一応、五千文字を目安に投稿していきます。でも不定期です。一日五千文字投稿してる人凄い。私には無理です。
あたりは薄暗く、申し訳程度に掛けられた松明の火が岩の壁を、俺を、目の前にいる少女をゆらゆらと照らしている。
俺はなぜ、こんなにも薄暗く、不可解な状況に陥っているのか。
これは夢ではないのかと心のなかで思いたくも、地に足を付ける感覚が、松明の燃える音が。全てが現実であると脳に知覚させるようで、あまりにも気分が悪くなる。
俺の名前は飯山雄治、名前はちゃんと思い出せる。
ここに来る前は大学で講義を受けるために椅子に座ったはずだ。これも大丈夫。
(だったら、何でこんな状況になってんだよ……)
だからこそ解せない。
現実逃避したい気持ちを押さえつけ、自分の状態をそのままに表すのであれば、まさに強姦をする一歩手前。そう表現する他ないだろう。
暗闇の中でさえ輝く、ホワイトブロンドの長髪をした少女の頭を両手で抑え、股間でそそり勃つイチモツをその少女の頬に押し付けているのだから。
こんな状況でなければ俺も男だ。据え膳食わぬはなんとやらと、飛んで喜ぶであろう。
だが、こんな状況では夢だと思わなければやっていられない。
しかし混乱している中でさえ、そそり勃つイチモツは萎える様子を見せない。
押さえつけられて膝立ちになっているこの少女は、硬い床のなかで少しでも痛みを感じないようにと、身動ぎする。
その際に陶器のように綺麗な頬がイチモツを刺激し、反射的にビクリと震えてしまう。
その様子に少女もまた、同じく体を震わせる。
「へっへっへ、震えちゃってんじゃねえか! 首領、早くヤっちまってくださいよ!」
初な恋人みたく、全く違う意味で震える二人に汚い言葉が投げかけられる。
それに同調するかのように、何人かの野次が聞こえてくる。
(首領? 何を言っているんだ……?)
しかしこの汚い野次のお陰で周りを見る余裕ができた。
どうやら、この少女の奥には更に九人もの少女や女性たちがいるようで、みな一様に首に黒い首輪を着け、両手を縛られ質の良さそうな薄めのものを着ている。それは目の前にいる少女も変わらない。
なぜ気が付かなかったのか、自分の来ている服もここに来る前と全くと言っていいほど変わっていて、麻の布の服と皮鎧のようなものを身に着けていた。
それに服だけではなく、体格まで変わってしまっているみたいだ。俺の手や腕はこんなにごつごつとした感じではなく、それなりに筋肉が付いているといった程度だった。
後ろの野次で聞こえてきた首領というのも、俺に対して言っていると思って間違いないみたいだ。
(だとしたら、俺はこいつらの首領に憑依したってことか……?)
――それならばだ。自分の記憶が鮮明に残っているのは不思議だが、この人物の記憶もあるのではないか。
こんな状況を作り出したであろう元凶の記憶だと思うと、少し躊躇してしまいそうになるが、今の状況をどうにかするのに悪くない手なのは確かであろう。
「――っ!」
思い出そうと意識を集中した瞬間に、記憶の奔流が流れこんでくる。この体の持ち主の記憶であるはずなのに、まるで他人の記憶であるかのような感覚。
そんな記憶の奔流が激痛を呼び、堪らず額を抑えながら片膝をつく。
目の前にいる少女は手が離れた瞬間に、そのままの体勢で数歩後ずさり座り込むのが見えた。
しかし、そんなことに気が向けられるほどの余裕はない。元からある記憶のはずなのに、何故こんなにも激痛を伴うのか。
後ろで野次を浴びせていた奴らも、首領が膝をついたのを見て狼狽えているのだろう、何かを喋っているのが聞こえてくる。
「おいグリード、膝なんかついてどうしたってんだ」
そんな中で、一際はっきりとした声が聞こえてくる。
膝を着いた体勢のまま、頭だけを動かしその声の発生源を見やると、まるで熊のような体格をした男が鉄格子の入り口であろうところに立っていた。
「あぁ……心配すんな、少し頭が痛くなってな。特に何かあったわけじゃねぇ」
なんとなく、思い出せる。こいつはこの盗賊団で、俺の右腕をやっていたガリルだったはずだ。
あの記憶の奔流のなか、まさか自分の精神が消えてしまうのではないかと不安になったが、それはどうやら杞憂だったらしく、精神的には自分のまま変わっていないようで内心ほっとしている。
しかしこの頭痛は僥倖かもしれない。このまま体調が悪くなったと茶を濁せるはずだ。
もしも何かを言われたとして、首領として命令でもすればなんとかなるであろう。盗賊であるこいつらの自制心がいつ切れるかはわからないが、最悪この場だけでも凌げばその後のことはその後に考えればいい。
それなら、あとはそれを口にするだけだ。
頭を掻きながら立ち上がり、後ろで未だにがやがやと喧しく何かを喋っている奴らに向け言葉を発する。
「ちっ、興をそがれた……おいてめぇら、今日は解散だ」
「首領!? ちょっ、そりゃぁねえっすよ! 俺たちゃ久しぶりの女なんですぜ、こんなの生殺しじゃねえっすか!」
「うるせえぞ、久しぶりってんならあと数日変わろうが、なんの問題もねえだろうが。つべこべ言わず出て行け」
「わ、わかりやしたっすよ! だからそんな怖え目で睨まんでくださいよ!」
案の定文句を言ってきた奴らを、強制的に出ていかせる。首領っていうのはやはり盗賊団のなかで一番強い人物がなるのだろう。他に渋い顔をしていた奴らも含め、全員怯えの色を浮かばせながらも出ていく。
「ガリル、おめえもそれでいいな?」
「んあ? 俺はおめえの好きなようにすりゃあいいと思うぜ。俺はあいつらほど女に飢えちゃいねえからな」
「そうか、そりゃあ良かったぜ。そんな気分じゃなくなっちまったもんでな」
俺の後ろで捕まっている少女たちを眺め、何やら考え事をしていたようだが、間の抜けたような声を出しながらも了承してくれたようで、一先ずは安心した。
「んじゃ俺は先に行くぞ。ほら、鍵は渡しとく。流石に逃げられたらたまんねえしな」
「あぁ、それくらいわかってる。そこまで馬鹿じゃねえさ」
俺の返事を聞いたガリルは鍵を俺に投げ渡し、『そりゃあそうだな』と言い残して通路の奥へと消えていく。
「あれ、えっ? なんで……?」
「あん? なに素っ頓狂な声出してやがんだ」
これからのことを考えるために牢から出ようと歩き出した途端、後ろにいた少女が突然驚きの声を上げる。
驚きの声を上げる理由はあったかと、疑問に思いながらも後ろを向くと声を上げたのはあのイチモツを押し付けられていた少女だった。
こちらを見上げる少女は顔を驚愕の色に染め、こちらを呆然と見つめている。
「っ……なんでも、ありません」
しかし俺に見つめられていることに気が付くと、ハッとしたように取り繕う。
明らかになんでもないようには見えないが、ここで新しい問題が出てきたところで俺が困る。それなら、ここは流しておくほうが妥当な判断だろう。
「はっ、助かったと思っているようだが、数日後にはてめえらは竿姉妹だ。それまで綺麗な体を満喫しておくんだな」
そう言い残し牢から出て鍵を閉め、歩き出す。
最後に見た少女たちの顔は悔しさや絶望に染まりきっていた。
最終的に全員助ける気ではいるが、流石にあそこまで言う必要はなかったかもしれない。だが、変に期待を持たせるのも駄目だろう。
失敗したときに、どちらかというと俺の心がやられそうだ。
「ん? そういや牢は一つじゃなかったか」
洞窟内を歩いていると、どうやら牢はあそこだけでは無かったらしい。
記憶が入ってきたとは言え、思い出そうとしなければそこまではっきりと覚えてるわけではないらしい。
あの痛みを思い出して、その代償にしては杜撰な記憶だと心の中で悪態をつく。
とりあえず記憶のことは外に置いておき、牢の中を覗いてみる。
「あぁ、あの村の娘たちか……」
そこにいたのはボロ布のようなもの一つしか着ていない少女たちで、この薄ら寒い洞窟の中で体を寄せあっていた。
こちらの少女たちはあちらとは違い、両手を縛られているわけではないらしい。
こちらの発した声に気が付いたのか、小さい悲鳴を出しながらこちらを怯えた表情で見つめてくる。
この少女たちに手を出したか思い出してみるが、どうやらまだ手は出されていないようだ。
このままここで立っていたところで、この村娘たちが怯え続けるだけでどちらにも益がない。それなら早々にここから立ち去るべきだろう。
松明の光が薄暗く照らす洞窟内を記憶の中で確認しながら進むが、どうやらこの洞窟はそれほど大きくはないようだ。
洞窟は入口からほどほどに進んだ辺りからY字に分岐しているようで、片方は牢に、もう片方は盗賊団の居住区になっている。
村の少女たちが捕まっていた牢を過ぎてほどなく、分岐点に着く。
そして分岐路に立って分かったが、洞窟の入口と居住区から風が吹いてきている。
居住区からの風はそこまで強い風というわけではないが、肌で感じられる程度には風が吹いているみたいだ。
不思議なこともあるもんだと思いつつも、居住区へと足を向ける。
「おめえは誰からヤリてえんだ? 俺はやっぱりあの聖女だなぁ。ボロッボロに犯してやりてえ」
「おいおい、そりゃ首領のお気に入りだろ? 俺だってあの聖女とやりてえけど、流石に首領が許しちゃくれねえだろ……」
「ちげえねぇ。それならあの髪の毛を上で結んだ女かね。あのキツそうな女を堕としたらさぞかし――っ!」
居住区に着くと、盗賊たちが誰を最初に犯すかという下卑た話で盛り上がっていたらしいが、俺が来たことを知ると一様におとなしくなる。
「し、首領大丈夫ですかい? あ、あぁ……それと、あの女たちとはいつ頃ヤラせてもらえるか知りたいんっすけども……」
「てめえらに心配されるほど、俺が弱く見えんのかてめえは。どうでもいいから装備の補修でもしとけや。……あぁ、それと女はあと数日待て。そんくらい何もできねえてめえらでも我慢できんだろ」
「も、勿論っすよ! そ、それじゃあ俺たちゃ装備直してくるんで! こ、これで失礼しやす!」
やってしまった。俺もあの少女たちに似たようなことを言ってしまったのに、こいつらがこんな話をしていただけで頭に血が上ってしまった。あの少女たちからしたら、俺のほうが怒られてしかるべきなんだろう。
多少なりともこの体に精神が引っ張られてしまっているのだろうか、あの時も演技とは言え、やたらと不遜な話し方を違和感を抱くことなく普通に使えていた。
現状それで困っていないからいいが、これがもしも悪い方へと転んでしまったときが怖い。
そんな考え事をしながら歩いていると、どうやら自分の部屋に着いたようだ。盗賊たちの居住区を進むと少し細めの通路が始まり、その奥が首領のみが入れる部屋となる。
一応扉のようなものも取り付けられていて、通路側から中は見えないようだ。
「はぁ、やっと落ち着ける……今まで生きてきてこんなに精神すり減らすことなんてなかったんだけどなぁ、なにか罰が当たることでも無意識にやっちまったんかねぇ」
部屋に置いてある長椅子にどかりと座り背もたれに体を預け、思わず出たため息とともに悪態をつく。
このまま目を瞑って今日は休んでしまいたい気になるが、そういうわけにもいかない。
落ち着くのはあの少女たちをどうやって助けるかを決めてからだ。
まず、ここが夢ではないことは確かだ。根拠はないが何故か、はっきりとそう認識している。
次に少女たちを見捨てるという選択肢。少女たちを助けるために考えているのに、見捨てるなんて言語道断。
しかし少女たちを助けるとなると、あの盗賊たちを全員なんとかしなければならないのは明確だろう。
記憶の中にある情報では、三十人近くいたはずだ。そんな数をいくら俺が盗賊たちより強かろうが、正面から全員を倒すのは現実的ではない。
そもそも、争い事をしたことがない俺が剣を持って戦うなんてできるかどうかも怪しい。
記憶の中に戦闘時のものもあったが、一朝一夕で身につけられるものではないだろう。
ふと思い出す。この部屋の隅には今まで奪ってきたものを置いていたのを。
この体の持ち主であるグリードは盗品を自分の部屋に置き、それを眺めるのが趣味だった。
もしかしたら、そんな悪趣味なそれが助けになるかもしれない。
善は急げと、早速立ち上がり使えそうなものを探し始める。
話の展開が遅かったかもしれない。でもプロットを見るとこの程度の速度じゃないと1章が相当早く終わってしまう可能性が……
とりあえず次の投稿は気が向いた時です。