向日葵と女性
花屋の男性店員と
近くの職場の女性のお話。
夏の花は、冬場でも
温暖な地域や温室で咲くことがある。
何故かこんな寒い時期に咲き誇る、
向日葵の花をみつめる。
調べたところ、温室や温暖な地域では
冬場でも稀に、向日葵が咲くらしい。
でも、ここは至って普通の地域。
冬は寒いし夏は暑い。
確かにここ最近夏の花だけ暖房のついた
部屋に移してから店を閉めたりしてた。
けどこんなに綺麗に咲くものなのだろうか。
疑問に思いつつも店を開ける。
今日は生憎の雨模様。
それでも店内に置かれた花は咲き誇る。
「すごい、向日葵咲いてる」
「本当だ!夏しか咲かないのかと思った」
「冬でも咲くんですね〜」
「そうだね」
この近くの職場の人だろうか。
向日葵を出したのは今日だし、
普段は夏の花を置いたりはしてない。
それだけ向日葵は目につくのだろうか。
立派は立派だけど……。
「すみません〜」
「はい?」
「冬でも向日葵って咲くんですか?」
「稀ですけど、暖かくなっていれば」
「へー……すごいですね」
「僕も今日はじめてみました」
「おお、店員さんもはじめて……!」
「そうですね」
「暖房とかで咲くんですかね?」
「咲きますよ。これ、暖房でですし」
「なるほど……」
「暖房の方向いて咲いてましたよ」
「ふふ、可愛いですね」
「そうですね」
この人見たことあるような、ないような。
そう思いながら開店の札を立てれば
女の人は店内に入ってきて。
花が好きな人なのかな……?
まぁ、常連さんの顔も覚えられないから
きっと人違いだろうけど。
結局あの人は、向日葵を買って行った。
その後も常連さんやら出勤途中の人やらが
続々とはいってきて。
他にも咲いた夏の花とかを買って行ったり、ちょうど今の時期の水仙を買って行ったり。
人それぞれだったけど、
珍しいものに目が行くのはみんな同じらしい。