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第3話 始まりの日(後編)

すぅ・・・。と目の前が開けてゆく。

目の前は炎に包まれていて・・・・懐かしい背中が・・そこにあった。


第3話 始まりの日(後編)<友一>


重たい瞼がゆっくりと開く。

そこにはいつもと変わらない風景。

ん・・・ここは・・・俺の部屋か・・・。

俺は重たい頭をゆっくりと持ち上げる。

質素な部屋にパソコンの起動音だけが響き渡る。

ああ・・・。パソコン付けっ放しだったっけか・・・。

俺の寝起きが悪い理由。それは夢だ。

嫌な夢を見た・・・

目の前は炎に包まれていた。そして懐かしいような背中があった。

そしてその背中から・・・黒いなにか(・・・)が生えていた。

それが抜けると同時にぱたりと倒れる人。赤に染まる地面。

隣で叫ぶ声が聞こえて・・・影がこっちに来て・・・・

そこで目が覚めた。

後味の悪い夢。

おかげで喉が渇いて張り付くようだしずいぶんと汗もかいたようだし・・・。

最悪な気分のままリビングへと向かう。


「おお、起きたか友一。・・・・顔色が悪いようだが大丈夫か?」


下におりると椅子に座って新聞を読んでいた叔父さんが心配そうにこっちを見る。

あまり心配をかけるわけにはいかないし、そもそも体調が悪いわけではないので、


「大丈夫。ちょっと嫌な夢を見ただけだから。」


と言う。

すると叔父さんは安心して微笑みながらまた新聞を読み始めた。


「はーい。ご飯よ。風音ちゃん呼んでちゃっちゃと食べちゃってね。」


鼻歌交じりに言い、洗面所に洗濯をしに行く叔母さん。

ホントは叔母さんなんて言ったら怒られるんだけどな。

俺は言われたとおり風音を呼び、夕飯を食べることにした。


***


夕飯を食べ終え俺は外を歩いていた。

夢で気分を害され何となく外の空気を吸いたくなったのが理由。

しかしただただ外を歩くだけというのも効率が悪いので風音にお土産でアイスかなんかでもかって帰ろうとコンビニに行ったのだが・・・・


「あ〜・・・。寒い・・・。」


もう春も本番だというのに夜はまだ肌寒く、爛々と星が輝いていた。

アイスは失敗だったかな〜なんて考えながらさっさとこの寒さから抜け出すために早足で家路を急いでいた。

それにしても・・・

俺は一抹の不安に駆られ辺りを見回す。

いくら夜で寒いからといってあまりにも静か過ぎないか?

人っ子一人いないのだ。

それに家に向かうにつれて静かになってゆくような気がした。

何か嫌な予感がし、俺はさらに足を速める。

そしてある一線を越えたように突然空気が変わった。

まるでここだけ隔離された空間のように。

そして俺はそこに異様なものを見つけた。

ゆらゆらと歩くもの。それは人形だった。

それも人間大の大きさ。

肌色に塗りたくられた肌は人ではない光沢を放ち、その手には1本の血塗られた包丁が握られていた。

そう、まさにデパートの洋服コーナーによく立っているマネキン人形だった。

カコン・・・カコン・・・

とプラスチック特有の音を鳴らしながらゆらゆらと、確実にこちらに近づいてくる。

マネキンが歩いている。ということだけでも非現実なのにそのマネキンは笑っていた。

そして目は赤くぼんやりと光っていた。

俺は固まった。というより足が動かなかった。

目の前で起こっている非現実に俺の頭はついていけなくなったからかもしれない。


「クケケケケ!!!」


俺が逃げられなくなっているのを知ってか知らずかマネキンが駆けた。

逃げたくても足が動かなかった。

俺に血塗られた包丁が近づく。

俺はとっさにその衝撃に備えて目を閉じた。


・・・・しかし一向に衝撃が届く様子はない。

その代わり怒声が俺の耳に届いた。


「何をやっていますの?!早く逃げなさい!!」


俺はゆっくりと目を開けた。

そこにはドレスの様な清楚な服装をした少女が立っていた。

その少女の手には不釣合いなほど鈍く光る日本刀が収まっていた。


「ぼうっとしてないで早く逃げなさい!」


もう一度少女が声を上げる。

逃げろって何処にだよ!!

俺は半ば自棄になって後ろへと走り出す。

しかしそこには10体以上のマネキンが。


「か、囲まれちゃった。ど、どうする。美月(みつき)〜・・・。」


突然横の路地から出てきた少女がいう。


「面倒なことになったわ・・・。とりあえず手伝いなさい。明菜(あきな)


「りょ〜か〜い」


少女二人は俺を囲うようにして立ち、美月と呼ばれた少女は鈍く光る日本刀を。

明菜と呼ばれた少女は短刀をそれぞれ構えた。

やがて取り囲むように現われた50体はいるであろうマネキン達はそれぞれ思い思いの刃物を手に持ち攻撃を仕掛けてくる。

少女達は舞う様にマネキンを切りつけ倒してゆく。


「さ、流石に多くない!?」


しかしまったく減る様子がないマネキン軍団に泣き言を吐く明菜と呼ばれた少女。


「妙ですわね・・・。これでは町中の悪霊が集まっているみたいですわ・・・。」


涼しい顔をしながら斬り続けていた美月と呼ばれた少女が不吉なことを口にする。

悪霊?どういうことだよ。

ああ!!大体何なんだよ!!この状況は!!

何故俺がその悪霊に襲われてんだよ!!俺は食ってもうまくねぇよ!!

やっと頭が回るようになった俺はマネキン軍団に怒りをぶつける。

しかし突然聞こえた犬の遠吠えのような声にすべてのものが固まり、美月の涼しい顔を険しいものへと変えてゆく。

どうやら悠長にマネキン軍団に怒りをぶつけていられるような状況ではなくなった様だった。


「ウォォォォォ〜・・・・」


そしてマネキンがばたばたと倒され・・・目の前に真っ黒な犬が現われた。

そして犬は俺めがけて跳びかかってくる。

俺はとっさに横に避ける。

攻撃をすかした犬はそのまま反対に走り抜け、こっちを睨み付ける。


「どうやらもう囲まれてしまったようですわ・・・。」


ぼそりと言う美月。

みればマネキンは何時の間にか居なくなりそこには犬がうなりをあげながらこちらを見ていた。

よくよくみればこの犬の目もまたぼんやりと赤かった。

そして犬達は一斉に動き出した。

奇妙なほどに規則正しい連携プレーでこちらへと襲い掛かってくる。


「うぉ!?のわぁ!!」


情けない声を上げながらも何とか避けることができる様だった。

みれば少女二人も苦戦しているようで当分助けも来そうになかった。


「これを避けきってろってか?」


正直無理だろう。

多分スタミナが切れておしまいだろう。


「くそ・・・どうすりゃいいんだよ・・・。」


”タタカエバイイダロウ?”


突然何処からともなく声が聞こえた。


「戦う?無理だろ・・・。どう見ても・・・。」


”タタカエルハズダガ?”


「武器がねぇよ。」


そうだな・・。武器さえれば少しは何とかなりそうなものだが・・・。


”ブキハモッテイルハズダ”


「いやいや。どうみたって持ってないだろ・・・・。て言うかお前だれだよ・・・。」



”デハナマエヲヨベ、ワガナヲ。”


無視ですか・・・。


”ワガナハ・・・”


『『飛炎(ひえん)』』


頭に突然浮かんできた名前を口ずさんだ途端、俺の右手は炎に包まれた。

どうも。この挨拶も3回目ですね。クゥです。

今回はどうでしたでしょうか。

3話にしてやっと話が進みました・・・・が、私の1番苦手な戦闘シーンです。

グダグダでなければ良いんですが・・・。

話の進展が早すぎる気もするし・・・。

この話をアップすることに不安がたっぷりですよ・・・。

何かおかしな所、誤字脱字がございましたらご報告くださいませ。

感想とかいただけたら光栄です・・・ってまだ3話しかないのに感想なんてないですよねw

でわw

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