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第2話 始まりの日(中編)

下駄箱を通り抜け、長い長い廊下を抜け、4階の教室へと向かう。

案内が貼ってあってよかった・・・。

しかし朝から走ることになろうとは・・・・。


第2話 始まりの日(中編)<友一>


何とか間に合った俺達は扉を開けて中に入る。

すると一斉にこちらに視線が集まる。

うお・・・・。なんか嫌な雰囲気・・・。

ただただ静かな教室。多分携帯の操作音でさえ響き渡るだろうな・・・・。

ただごくわずかな人数だけが喋っている。

多分俺達と同じで中学の奴と同じクラスになれたのだろう。

そうやって考えてみれば俺達なんかは幸せなのかも知れんな・・・。

とりあえず指定された席に座る

前は女だな・・。


「どうしたの?」


「うぉあ!!」


不意に話しかけられたもんだから大声だしちまったじゃねぇか!!

視線が集まってるし・・・・鋭いし・・・痛いし・・・・。


「何だよ。突然」


「いやいや・・・。突然話しかけるつもりはなかったんだけど・・・・。」


そこまで俺はぼけっとしていたのか・・・。


「まあいい。何だよ?」


「何だよって隣だから声掛けたんだけど・・・。」


よく見てみれば左側の席は光輝の席だった。


「そうだったのか・・・。」


「その後ろの後ろは俺だぞ?」


言わんでも見れば分かる!!


「ってことは勇真の奴は孤立してるって事か」


勇真を見れば暇そうにしている。


「アイツはアイツで可哀想だな・・・」


「まあね・・・。」


なんて話していると静寂の中、チャイムが鳴り響く。見計らったように教師が入ってきて、


「おーい。出席番号順に廊下に並べー」


と告げる。

全員がぞろぞろと動き出し1分足らずで廊下に並びきる。

そして、入学式が始まった・・・・。


***


小1時間程度で終わった入学式。

校長の話は思っていたより短かったが、


「よ〜くぞ来てくれた!!君達を歓迎しよう!!」


というような妙なテンションで語っていたことだけは覚えている。

おかげで余り退屈せずに終わった気がする。

これで今日の学校はLHR(ロングホームルーム)を終えれば帰ることができる。

といってもLHR(ロングホームルーム)には1つ問題がある。

ま、俗に言う自己紹介って奴だ。

俺はあれが苦手で今の俺を憂鬱にしている要因でもある。


「はぁ・・・・。」


露骨に溜息をつく・・・。ほんとにあれは苦手なのだ。


「なんかあった?ずいぶんと疲れてるように見えるけど?」


「ちょいと自己紹介がな・・・。」


「苦手なんだっけ?自己紹介」


こいつはそれを知ってるんだったっけか・・・。


「噛んじゃう位いいんじゃない?」


それが嫌なんだ・・・。


「ま、がんばりなよ・・・。」


「ああ・・・。」


何をがんばればいいんだか・・・・。

そしてまたチャイムが鳴る。

するとそれを待っていたかのようなナイスなタイミングで教師が入ってくる。


「よし・・・。じゃあホームルーム始めるぞ。まずはやっぱ自己紹介だよな?」


やっぱそのパターンですか・・・・。というか何故生徒にそれを聞く・・・。

先生はすらすらと黒板に名前を書いてゆく。


「俺の名前は”浜田翔也(ハマダショウヤ)”だ。まあ毎年”浜ちゃん”と呼ばれるんだがな」


苦笑しながら浜田翔也こと浜ちゃんは語る。


「さて1番の奴から自己紹介をしてもらおうか。」


うお!!他の奴のなんて聞いている暇はない!!自分の紹介を考えねば・・・。

うーん・・・。なるべく短めに・・短めに・・・。

・・・・・よし。

必死に考え、何とか2人前くらいのとき考えついた。

ふぅ・・・。これで安心できる。

するとガタリと音を立て前の奴が立つ。


「私は北大路美月(キタオオジミツキ)。趣味や特技は特にありませんわ。これからよろしく。」


うお!?ものすごいお嬢様口調。それになんか金持ちそうな名前。これは本物のお嬢様っぽいな・・・。

前の・・・えっと・・北大路が紹介を終え座るのを見計らい立ち上がる。


「俺は霧島友一。趣味は寝ること、特技はない。まあこれから1年間よろしく。」


自分の中で練りに練ったもっとも短い紹介をし、座った。

ミッションコンプリート。今回は噛まずにすんだ。

もう自分さえ終えれば他の奴に興味はない。

特に変わった名前の奴もいなかったし・・・まあ北大路以外だけどな。

そして全員が終わり、浜ちゃんが明日の連絡をし終えたところでチャイムが鳴った。


「よし。今日はこれで終わりだ。帰っていいぞ。」


その言葉を聞いた途端、全員が一気に立ち上がり帰宅してゆく。


「さて、俺らも帰ろうか。」


人の波に押されながら、教室を後にした。


***


疲れる1日が終わり、無事帰宅。特に何もなくてよかった・・・。

玄関を通り抜け2階の自分の部屋に入る。

自分の部屋といっても机とパソコン、それにベット位のものしかない質素な部屋だが。

早く帰ってきたんだし寝ようかな・・・・。

とは言いつつ部屋においてあるデスクトップ型のパソコンを起動する。

これでも高校の入学祝いに買って貰った結構新しいやつだ。

適当にカタカタといじる。特にやりたいこともないし・・・。

すると・・控えめにコンコンと部屋のドアが叩かれる。


「どうぞ〜。」


と返事をすると、これまた控えめにドアが開く。


「た、ただいま・・・・。」


「おう。風音じゃねーか。おかえり」


今部屋に入ってきたのは我が妹、霧島風音(キリシマカザネ)

引っ込み思案の恥ずかしがり屋だが根はいい奴だ。


「昼食・・・何にする?」


ドアの影から覗くような形で声をかけてきた。

そういえばもう昼飯の時間か・・・。


「何でもいいからおいしいのを作ってくれ。」


無茶な注文だが「うん・・・。」とだけいいさっさと降りてゆく。

家には叔父さんと叔母さんが居るから作らなくてもいいのだが、自分達の洗濯と朝、昼飯だけは作っている。

これは俺達が作ったルールだ。

ちなみに俺も料理はする。これでも結構出来る方だと思っている。

ま、兄弟二人で交互に作ることにしているからな。


「さて・・と。じゃあ俺も行きますかね・・・。」


俺もリビングに降りる事にした。

階段を降りきると、制服姿のままエプロンをつけ料理をしていた。

お、いい匂いがしてきたな・・・・。


「あ、降りてきてたんだ。もうすぐだからもうちょっと待ってて?」


「ああ。」


俺はテーブルにつく。

それにしてもおいしそうだな。

すると調理が終わったのか、お皿を持ってきたて、テーブルへと置く。

今日はチャーハンか・・・。


「お待たせ。どうぞ?」


「「いただきます」」


といい、チャーハンを口へと運ぶ。

焼けた醤油の香りがなんともいえない


「ん、うまい」


俺は正直に感想を述べる。

すると風音はにかみながら、


「よかった。」


と笑う。

ものの数分で食べ終え、部屋へと戻った俺はベットにねっころがる。

そして俺の意識はゆっくりと眠りへ落ちていった。

はてさて、この更新速度がいつまで保てるか・・・。

どうもクゥです。

まったく何でかは分かりませんが書いていると長くなってしまうこの始末。

中編なんて作るつもりはなかったのですが・・・・ホントに書いていたら長くなってしまいまして・・(汗

長いですがまあ読んでやってくださいな。

読んでくれる人がいるだけ幸せですしw

誤字脱字がございましたらご報告くださいませ。

それではまた次回に。

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