第1話 始まりの日(前編)
春の暖かい日。
満開の桜の元、俺は新しい環境の中で、平和に過ごす・・・・。
う〜ん・・・。これぞ俺の望んだ日常だな・・・。
第1話 始まりの日(前編)<友一>
4月某日。
まだ肌寒さが残る中、真新しい制服に身を包み、俺は人を待っていた。
俺は霧島 友一。今年高校1年生。
そんで今日は入学式。だからこんな朝早くに人を待っていた。
高校は新しい人生の出発地点って訳だ。
中学の頃はある奴のせいで散々な日々だった。
そいつも今は居ない。やっと平和に過ごせる。
はぁ〜・・・。
吐く息はまだ白い。しかしゆっくりと昇って来た日の光は確実に暖かなものと変わっていた。
俺は電柱にもたれかかる。
ふと、人の気配がしたので右側を見た。すると、
「よう。早ぇーじゃねえか」
そういいながらこっちへとゆっくり歩いてくる奴がいた。
こいつは神藤 亮介。
真の天才。容姿もよくいい奴だ。
「おう。まあこれから新しい日々が始まるからな。」
「俺は中学の時も楽しかったが?」
「俺は楽しくねえよ。もっと平和に過ごしたいんでね。」
あの日々が楽しいだなんて亮介もどうかしちまったんだろうか?
俺にとっては本当に滅茶苦茶な日々だった。平和に寝てる暇もない。
「ははっ。お前らしいな。」
「そりゃどうも。」
褒め言葉はしっかりと受け取っておかなきゃな。
「さて。後は・・・・」
「友一ぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「っ!!!!」
ととつに大声が上がる。
後ろを見るとひとりこちらに走しって来る人影があった。
「くっ!!」
俺はぎりぎりのところで横に1歩動き、間一髪で奴の攻撃を避け、足をかける。
見事、俺の足は奴の足にかかり、奴はその勢いのまま亮介の元へ。
亮介は正面に向き直る。
前のめりになりながら突っ込んでくる奴の頭に・・・・なんとも見事なタイミングで膝を入れる。
「ぐぉあ・・・・。」
と、謎の呻き声を残し、どさりと奴は地にひれ伏した。
「ふぅ。今日も討伐成功だな。」
「ああ。見事な膝蹴りだった・・・・。」
ちなみに今突っ込んできたのは、三吉 勇真である。
奴は毎朝俺に挑戦し、見事亮介にやられている。
俺も最初のうちはやられたりはしたが、今ではもう慣れてしまった。
最近では避けるだけではなく奴を倒す方法も見出してしまった。
人の慣れとは怖いものよ・・・・。
「しっかし勇真の奴、学習しねぇな・・・。いつも突っ込んでくるだけとは。」
「勇真に学習という言葉を求めるな。こいつは今ここにいるだけでも凄いんだからな」
「はは。それもそうか。さてと。じゃあ行きますか。」
亮介はガシっと勇真の裏襟を掴み、ずるずると引きずりながら学校へ。
いい加減起きんか!!とか言いながら勇真を引きずる亮介。
これが俺達の日常である。
しばらく歩いていると丁度、曲がり角から見覚えのある顔が出てきた。
そいつはこちらに気付くと苦笑しながらこちらへとやってきた。
こいつは篠崎 光輝。俺の親友とも呼べる存在である。
「はは・・・。おはよう・・。今日も殺ったんだ・・・これ。」
光輝は亮介に引きずられている勇真を指差して言う。
すると引きずられていた勇真がゆっくりと顔を上げた。
「こ・・これってのは・・・ひどいん・・じゃないか・・」
「おっ。起きたか。お前にしちゃあずいぶんと遅いお目覚めだな。」
はははっなんて笑いながら手を離す。
するとまたどさりと地面に突っ伏する勇真。
最近、勇真に対する亮介の扱いが一段とひどくなった気がする・・・。
「ま・・・ったく・・。今日は妙に・・・綺麗に決めやがって・・。」
そういいながらゆっくりと立ち上がり、制服の砂を払う。
「自業自得だろ?ほら。さっさと行くぞ?」
「へーい」
ぷぅ〜っと可愛げもなく膨れる勇真。
「キモイからやめろ。」
とじと目で亮介に見られ、
「お前のせいじゃ」
とすねる。
「あはは・・・・。」
相変わらず苦笑し続ける光輝。
これが俺らの日常。俺の平和そのものだと思う。
くだらない会話をしながら、学校へ向かう。
***
「うお・・・・。」
「これはこれは・・・・。」
「なんというか・・・・。」
「でっけぇー!!」
校門前に着いた俺達は驚きの余り立ち尽くした。
中学の時から考えて有り得ないほどに大きいのである。
ここ紫陽学園高等部は総生徒数1000人を超えるなかなか大きな学園である。
ゆえに今いる校門から昇降口にかけての場所にもかなりの人数がいる。
それなのに小さく見えないこの学校も凄いのだろうが。
ふむ・・・。受験できた時とは雰囲気がまったく違うな・・・。
俺達はゆっくりと中に入る。
そのまま、案内に「クラス編成発表場所」と書いてある場所を目指す。
といっても大きな人溜りができているのですぐにわかるのだが。
人を掻き分けて前に進みながら、
「さ〜て・・・。俺は誰と同じクラスかな〜・・・。」
「にへへ」とか「グフフ」という感じで笑いながら俺達を見回す勇真。
「うーん・・・。とりあえず誰かと一緒になれればいいかな」
「そうだな。」
俺は光輝の意見に同調する。
「「えっと・・・。どれどれ・・・。」」
俺達の視線は掲示板に集まる。
1ーA・・・ない・・。1−B・・・あった。
「俺は1−Bか・・・。お前らは?」
俺は隣に並んでる3人を見る。
全員驚愕!!といった顔をしていた。
ま、まさか!!と思い、俺は掲示板をもう一度見る。
「おいおい・・・。嘘だろ?」
「まさかとは思ったけど・・・。」
「またか・・・。」
「全員・・・同じクラス・・・。」
これももう慣れた光景のはずだったんだが・・・・。
まさかここまでそれが続くとは思わないだろ?
さて話は中学の頃だ。
俺達は入学当初、同じクラスになった。
そして1年間共に過ごし、仲良くなり2年生に。
「せっかく仲良くなったのに分かれちまうのか〜」
なんて言っていたら・・・・
また同じクラスに。
これぐらいならよくあることだろう?しかし3年になってもだった。
そして今・・・・・また・・同じクラスになった・・・。
「これぞ腐れ縁ってやつだなぁ〜」
と歩きながら勇真が一言。
「お前とだけはなりたくなかったんだがな」
と皮肉を言ってやる。すると
「んもぅ・・・。つれないわねぇ〜・・・。」
と気持ち悪い顔と口調で返してきた。
俺が一言言ってやろうとすると、
「失せろ!!気持ち悪い!!」
と後ろからはりせんが飛んできた。犯人は亮介である。
「なっ!!いってぇ〜・・・。」
といって頭を抱える勇真を無視して、
「何処からそんなもの取り出したんだよ・・・・。」
と今1番の疑問をぶつける。
「ふっ・・・。4次元ポケットから・・」
「んなアホな」
「はは。ばれたか」
いやいや。ばれない方がおかしいと思うんだが。
なんて話しながら歩いていると、何時の間にか前に進んでいた光輝が、
「ほらほら。急がないと遅刻になるよ〜。」
といった。
時計を見れば8時30分近く。SHRが始まるのは8時35分。
「「おっといけねぇ!!」」
と声を合わせ、俺と亮介は一斉に走り出す。
「のわぁ!!おいて行くなぁ〜!!」
はいはい。無視無視。
俺達は急いで教室に向かう・・・。
どうも。
始めまして。銀翼のクゥ♪です。
ここでは書いた小説です。使い方がいまいち理解できてないですがw
ブログでは他の小説を書いてました。過去形で、今は書いてませんw
そんなわけで第1話です。
4人の登校シーンです。
まあ何の変哲もありませんし・・・・。
楽しんで読んでくれたら幸いです。