みゅあという人
遅くなりすみません。
先ほどはハイテンションで失礼しました。
いや〜、早速スウィーツをいただこうとか思ったんだけどね?
主催者のご挨拶とやらがあるらしくてねぇ。それが終わったらお爺ちゃんがある程度力のある人達に私の顔見せするんだって〜。
なんでもウザいナンパ防止と馬鹿な奴らにマナーがどうこう言わせない為のものらしいから、それまでは我慢我慢。うぅぅぅぅ、早く食べた〜い!
ザッハトルテ、キャラメルブランシュ、アップルパイ、ブラウニー、シフォンケーキ、ショコラータ、ショートグラッセ、モンブラン、紅芋タルト、安納羊羹にそれから〜
「みゅあ、おいで。うちの会社の者達を紹介しよう。」
思考にハマってたらお爺ちゃんに呼ばれた。近くにいるのに考え事にハマったからいるの忘れるところだったよ。
「まさ君ご挨拶はいいけど早く甘いもの食べた〜い。だから手短にして?」
お爺ちゃんことまさ君、本名は堂本贒臣さん。今年で67歳とは思えない見た目をしてるカッコいいお爺ちゃんだよ。だから敢えて『まさ君』呼びしてみたりww
見た目は30代後半から40代前半、白髪なんてないふさふさで艶やかなちょっと長めの黒髪、焦げ茶の瞳にバランス良く配置されてる目や鼻や唇。唇は大きめかなぁ?鼻も形がいいけど高すぎるってことはないし、その口元に携えたちょび髭がダンディでエロいです。
これで孫がいるってんだから驚きだよね。。。息子さんは今日は忙しいらしく此処には来れないんだって。
代わりにお孫さんがくるみたい。因みに息子さんが45歳でお孫さんは23歳だそうです。
うーん、まさ君もだけどさぁ、みなさん若くして子供つくんなよ。
とか思ったけどまさ君も息子さんも奥さんが年上なんだってさー。だから早いなんてことはなかったらしい。なんだか嘘くさい…………
えっとまさ君の奥さんが7歳上で息子さんの奥さんが8歳上なんだってさ。どうやら年上好きの家系っぽい?
さてお孫さんはどんな人なんかねぇ?
「おりょ?まさ君まさ君、なんかまさ君とこの人達にすっげぇ見られてんだけど。なんで〜?ちょっとこの人数に見られてんの怖いんだけど?」
「うん?それはみゅあが可愛いのとスタイルがいいからじゃないか?俺も出来るならこいつらに見せたくないが、みゅあがゆっくり食べられるようにしたいからね。なんなら部屋取ってあげたいくらいだな♪」
「まさ君さぁ、誤解招くよ?まぁこっちに被害こなければどうでもいいけど〜。あ、まさ君の愛しのダーリンは?今日来てないの?」
「あぁ、ルイさん?もう少ししたら到着するみたいだね。到着したらすぐに紹介してあげるよ。」
「うん、よろしく〜。というか本当にこの顔合わせって必要なの?こんな平均より少し上な容姿の僕に?要らなくない?」
「みゅあ、自分の容姿を客観的に見たことないのかい?みゅあはとても整ってる目鼻立ちをしているし、髪や目の色も自前でその色だろう?とても綺麗だよ。それなのに仕草は可愛らしいからずっと見ていたい感じだね。」
「まさ君目ぇ腐ってんじゃない?まぁどうでもいいけど〜。早く面倒臭いこと終わらせて〜。甘いの食べたいぃぃ。」
「はいはい、この間のお礼もあるしたくさん食べてくれ。 さて、この子は名前は『みゅあ』だ。この子に口出し無用だ。もちろん外野も。わかったね?」
「まさ君それだと脅迫〜。いけない社長さんだね〜。」
「気のせいだよみゅあ。そうだろう?諸君。」
「は、はいっ!」
「ね?こう言ってるだろ?」
「はいはい、充分パワハラだねぇ。みゅあだよ〜、僕のことは気にしないでほっといてくれていいよ〜。むしろほっといて〜。じゃ、挨拶したから甘いの食べに行ってくる〜。」
そう言って僕はスウィーツを食べに行っちゃったからこの後の会話を全ッ然聞いてなかったんだけど、なんかもうメンドクサイって感じだよ。
みゅあと楽しく喋っていたがみゅあが我慢の限界が来たみたいでスウィーツの山が置いてあるスペースに言ってしまった
「あぁ、行ってしまった。スウィーツコーナーだから変な奴は少ないとは思うが大丈夫かな?・・・・・そうだ、鷹秋はもう来ているか?」
今更だが孫の姿が見えない
何処にいるんだろうか?
「社長、鷹秋様はまだ来られてません。近くまでは来ているようなんですが道が混んでいるようです。間も無くこられると思います。」
俺の呟きに俺専属の第一秘書が答える
「そうか。宮島、アレが来たらすぐ俺のところに来るように伝えてくれ。俺はルリさんがそろそろ着くから迎えに行って来る。」
「畏まりました、それと社長。奥様をお迎えに上がるのであればこちらのショールをお持ち下さい。外の空気が冷えて参りましたのでお風邪を召されてしまいます。」
慣れたもので呼吸するように話が進む
やはりこの第一秘書は優秀だ
手渡されたショールもルリさんのお気に入りのメーカーの物だったし、此方が何か言う前に意向を汲み取ってくれるからやり易い
「あぁ、ありがとう。ルリさんが風邪を引いたら大変だからね、助かるよ。あ、それと宮島。」
「いえ、此れぐらいは当然です。なんでしょうか?何か不備がございましたでしょうか?」
此処までピクリとも動かなかったポーカーフェイスが崩れ、僅かに焦りの表情を見せるが贒臣以外は気が付いていない
「ははっ、違うよ。くれぐれもみゅあに近づく時は後ろ以外で近づけよ?殺られるぞ?」
笑顔で言っていい事ではないのに朗らかに笑いながら言ってきた贒臣に宮島は固まる
「えーと、どう言う意味なんでしょうか?まさかそのままとかはないですよね?」
恐る恐るといった感じに聞いてくる宮島
「いや?そのままだよ?お前も聞いたことあるだろう、幹嶌グループの話」
「幹嶌グループってあの?確か10年程前に社長が変わったんでしたね。なんでも先代が急な事故で亡くなったとかで先代のお子さんが後を継いだんでしたね。」
「正解。その子供ってのがみゅあだよ。あれは私なんか足元に及ばない力を持っているんだよ。確かIQを図ろうとしたら計測不能になった上に身体能力も人間離れしてるし、ここ何年かは裏でも活躍してるみたいだね。そんな人相手に後ろから近づいて怪我で済んだら奇跡だよねぇ。」
「えっ?!確かIQって今の技術で210まで測れましたよね?!それが測定不能って・・・。身体能力はどうやって・・・・」
「どうって俺を助けてくれた時のこと思えば納得すると思うよ?なんせスピードの出てる12tトラックを片手で止めた上に大の大人、それも男を片手で抱え上げて運ぶとか漫画の世界かと思ったよ。なんでも生まれて今までほとんど努力せず今まで来てるらしいからね。人間離れどころか化け物の域だけどね、化け物には理性なんてものはないから超人でいいんじゃないかぁ。それに五感も凄く良いらしいからここでの会話もきっと聞こえてるよー。ねぇ?みゅあ?」
「えっ?!いや、いくらなんでもこの煩い中で声を聴き分けるとか無理なんじゃ?そもそも社長!なんて危ない目にあってたんですか?!あんたはもっと気をつけろよ?!」
「宮島さん、まさ君には何言っても暖簾に腕押しだよ?諦めなって。それにこの位なら普通に聴き分けられるし。でも酷くない?人の事化け物とか超人とか。いじめられたいのかねぇ?」
「えっ?!・・・・っうっ、っわぁーーーーっ?!?!吃驚したぁっ!!」
くすくすくすくす
「宮島さん面白いね〜。まさ君なんか捨てて僕の所においでよ〜。歓迎するよ〜♪」
宮島の驚き具合に気を良くしたのか笑いながら抱きついてきた
「ちょっ、みゅ、みゅあさん?!離して下さいっ!お願いですから!!」
慌てふためく宮島にみゅあは笑って応えない
「宮島さんさぁ〜、お子さんいたでしょ〜ぅ?僕の所にちょ〜だい?使える人材は自分で捕ってくることにしてるんだぁ。ね?だからお子さん、僕にちょ〜だい?」
腕にしな垂れかかり上目遣いで色気を振り撒き、おねだりする
おねだりされた宮島は顔を真っ赤にして慌てる
「ちょっ、みゅあさん?!何の冗談ですか?!てかなんでおれに子供がいること知って?!はっ!さては社長あんただろ?!」
「おいおい、口調が崩れてきてんぞ〜?ついでの子供のことは言ってない。みゅあ、なんで知ってるんだい?」
「ふふ、まさ君あま〜い。自己紹介した時点で相手の事は調べ上げなきゃダメだよ〜?それに馬鹿正直に本名を名乗っちゃダメだよ?最初は僕だって名乗らなかったでしょ〜?今のご時世調べようと思ったらすぐ分かるんだから気をつけないと〜」
「む、そう言われるとなにも言い返せん。」
「ふふ〜。あなたもそう思うでしょ?まさ君のお孫さんである鷹秋くん?」
「「え?」」
いきなりまだ着いていないはずの男の名前を出されて、贒臣と宮島は同時にみゅあの視線の先に顔を向ける
そこにはなんとも言えない顔をした鷹秋が立っていた
「ジジ様、ババ様を迎えに来いよ。入口で困ってたから連れてきたけどさぁ〜。あんな寒いとこで待たせて。」
「あ、もうそんなに経ってたのか?!しまった!!ルリさんは何処に?!」
「ババ様ならあそこのテーブル席で温かい物食べてもらってるよ。全く、ババ様が体調壊したらジジ様のせいだから。」
「あぁっ?!ルリさん今行くよーっ!!みゅあまた後でっ。」
ばたばたばたっ
「まさ君騒々しい〜。ね、そう思うでしょ?鷹秋くん?宮島さん」
「あ、えぇそうですね。もうそこし落ち着きが欲しいですね。」
「ねぇ〜?」
腕に抱きついたまま顔を見合わせニコニコと笑い合う
「あー、宮島さん?そちらはどなたですか?」
「初めまして?鷹秋くん。僕はみゅあだよ。」
やっとヒーロー登場です。