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すぐに壮一の頭の中に河野の研究施設が浮かんだ。
嫌な予感がした壮一は
「先生! もしも、この情報を悪いことに使ったら?……」
峰岸教授に聞くと峰岸教授はお茶を飲むのをやめ、
驚いた顔で目の前の聡子のことを見詰めた。
「……ないことはないでしょうね…… こんなに詳しい
人のDNA情報なら……」
峰岸教授は壮一に言った。
「そうですか…… ご協力、ありがとうございました!」
何か嫌な予感がした壮一はそう言うと慌てて、席を立ち上がり、
峰岸教授の部屋を後にした。
聡子は峰岸教授と見詰め合うと
「ちょ、ちょっと待ってよ!……」
峰岸教授に一礼し、壮一の後を追いかけ、峰岸教授の
部屋を後にした。
壮一らが立ち去った後、峰岸教授は疲れ切ったように
椅子に深々と腰掛けながら、お茶を飲んでいると峰岸教授の
携帯電話の着信音が突然、部屋に鳴り響いた。
着信主を確認した峰岸教授は大きなため息を吐くと
「はい。もしもし……」
電話に出た。
「一体、どういうことだ?…… 私の所に刑事が来たぞ!」
電話の向こうの相手に峰岸教授は文句を言い、
暫く、電話の向こうの相手と話した峰岸教授は
「わ、わかった…… こんなことはもうごめんだぞ!……」
というと電話を切った。
電話を切った後、峰岸教授は自分の机に行き、
引き出しを開けると一枚の写真を取り出した。
その写真には峰岸教授と女子大生時代の聡子と綾野薫……
そして、もう一人、聡子らと同じ位の女の子が写っていた。
峰岸教授はその写真を見ながら、再び、大きなため息を付いた。
聡子は壮一の後を追いかけながら、
「一体、どうしたのよ?……」
壮一に話しかけると壮一は怖い顔で
「ここからは俺達の仕事だ!・・・」
そう言うと
「それはないでしょう! ここの教授を紹介して
あげたのに……」
聡子は立ち止まり、壮一に向かって、膨れ面をした。
「サンキューな!…… 今度、食事をおごるから!……」
壮一はその場に聡子を残し、立ち去った。
大学を出た、壮一は服の内ポケットから携帯電話を
取り出すと向井に電話をかけ、さっき、峰岸教授から
聞いたことを電話の向こうにいる、向井に説明をした。
「……今、説明した通りですから、すぐに河野の研究施設と
河野自身を確保してください!」
向井に壮一はそう言った。
壮一が何を言っているのか、全然、わからない向井は
「お前、何を言っているのだ?…… お前は
今、謹慎中の身だろうが…… なんで、お前がそんなことを
知っているのだ!……」
壮一を怒鳴ったが
「詳しい話は後で説明しますから…… 今は河野の研究施設と
河野自身を確保してください!」
壮一は再び、向井に言った。
向井は何が何だか、まるで状況が把握できなかったが
壮一のいつも以上の真剣さに
『ただ事じゃない!……』
と察し、
「わ、わかった!…… すぐに手配しよう!」
というと壮一との電話を切ると河野を確保すべく、
向井は捜査本部を出た瞬間、一発の銃弾に右肩を打ち抜かれた。
向井は撃ち抜かれた肩を抑え、自分を撃った男を見ながら
「お、お前は……」
と呟きながら、その場に倒れ込んだ。
壮一が河野の研究施設の前で向井らが来るのを待っていると
数台の覆面パトカーと共に壮一の前に数人の刑事らが現れた。
「鳥瀬刑事。 貴方を向井警視を狙撃した容疑で
逮捕します!」
壮一の前に現れた刑事らは一斉に壮一に向かって、
拳銃を構えた。
『はぁ?……』
壮一は目の前の刑事らが何を言っているのか、
まるでわからなかった。
「な、何を言っているんだ?…… 向井はどうした?」
壮一は詳しい話を聞こうと自分に拳銃を向けている
刑事らに近付こうとした。
「お前が向井警視の命を狙ったのは、警察署内の
防犯カメラに映っているんだ!…… 大人しく、投降をしろ!」
刑事らは一斉に引き金に手を掛けた。
『や、やばい!……』
刑事らの顔の真面目さに身の危険を感じた壮一は
慌てて、刑事らの前から立ち去った。




