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ゲノム  作者: 劉・小狼
6/31

 6

 数時間後。


 壮一は茜と共にあるマンションの部屋のドアの前に

立っていた。

 壮一は大きなため息を吐くと、その部屋の玄関の

インターホンを鳴らした。

 部屋の奥から

 「はーい!…… だーれ?……」

 女性の声が聴こえ、その後に部屋の玄関のドアが

開いた。

 ドアの向こうから現れたのはアイドル並みに可愛い

壮一の妹の海那かいなだった。

 海那は自分の前にいたのが兄である壮一だったので

がっかりした顔で

 「なんだ…… お兄ちゃんか…… なに?」

 と言った。

 壮一は申し訳なさそうに自分の後ろに隠れ、

怯えている茜を

 「申し訳ないがこの子をお前の所で匿【かくま】って

くれないか?……」

 妹の海那に預かってくれるように頼んだ。

 海那は壮一の後ろに隠れている茜を見ながら、

少し困った顔で

 「さっきのお兄ちゃんからの電話で大体のことは

わかったけど…… 大丈夫なの? 私なんかが預かって?……」

 不安そうに壮一に訊いた。

 「わからない!…… 何かあったら、昔、俺の同僚だった

警視庁捜査一課の向井に助けを求めろ!……」

 少し考え込んだ海那は

 「わ、わかった…… どうぞ、中に入って……」

 と頷くと茜を自分の部屋の中に招き入れた。

 「後は頼んだな!……」

 壮一は妹の海那に茜のことを任せると海那の部屋の前から

立ち去った。

 壮一が海那の部屋から立ち去ろうとすると、茜が慌てて、

海那の部屋から飛び出してきて、

 「これ!……」

 黒い手帳を壮一に手渡した。

 「なに?これ?……」

 壮一は茜に手帳のことを訊いたが

 「わかんない…… でも、お姉ちゃんから預かった!」

 茜はそう答えた。

 『お姉ちゃん?……』

 壮一が首を傾げると茜は哀しげな顔をしながら

 「そう。 美香お姉ちゃんから預かったの……」

 と答えた。


 壮一は茜と別れたあと、道を歩きながら、

その黒い手帳を開いてみるとそれは宮島美香が

日常的に使っていた手帳だった。

 だが、壮一にはそこに書き込まれている内容は

まるでわからなかった。

 『これはさっぱり、わからないぞ!……

困ったなぁ……』

 壮一が困った顔をしていると

 「こらぁ! お前は今、謹慎中だろうが……」

 壮一の後ろから壮一のことを叱る女性の声が突然、

聴こえてきた。

 『え?……』

 ドキッとして、壮一が持っていた黒い手帳を落とし、

後ろを振り返るとそこには壮一の幼馴染で新聞記者の

遠野聡子【とおのさとこ】が笑顔で立っていた。

 自分に声をかけたのが聡子だったことにホッとした

壮一は

 「なんだ! お前か…… 驚かすなよ!」

 と言いながら、落とした黒い手帳を拾った。

 「そんな言い方をしなくても良いじゃん!……」

 聡子は膨れ面をした。

 「ごめん。 お前に構っている暇はないんだ!」

 壮一は聡子をその場に残し、その場から立ち去ろうとしたが

聡子が理数に強いことを思い出し、立ち止まった。

 『そういえば、アイツ【聡子】、理数が強かったよなぁ……』

 壮一は振り返ると

 「お前、理数が強かったよな?……」

 聡子の所へと舞い戻った。

 「ええぇ…… まあ、得意だけど…… それがなに?」

 聡子は頷くと、壮一は茜から預かった黒い手帳を聡子に

見せるのを少し躊躇したが

 「これなんだが…… 俺では何が書かれているのか、

さっぱりわからなくて…… お前なら、わかるか?」

 聡子の前にその黒い手帳を差し出した。

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