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ゲノム  作者: 劉・小狼
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 壮一が警視庁の屋上へと行くとすでに向井はいて、

煙草を吹かし、立っていた。

 壮一の足音に気付いた向井は振り返ると

 「来たか……」

 淋しげな表情で壮一に声を掛けた。

 壮一は怒り気味に

 「なんで蒼太の調書記録が観れないのだ?……」

 向井に食って掛かると向井は哀しげな表情のまま、

壮一のことを見詰めながら、

 「調書を取りたくても取れなかったのだ……」

 と言った。


 『はぁ?……』

 壮一は眉間にシワを寄せながら、

 「ど、どういうことだ!…… 調書が取れないとは?……」

 向井に聞き返すと向井は少し言いづらそうに

 「お前を撃った後、お前達がいた建物内に俺は踏み込んだ!……

一緒に踏み込んだ刑事らと俺を見た蒼太はもう逃げ切れないと

察したのか、持っていた拳銃で自殺した……」

 蒼太が自殺したことを壮一に告げた。


 『う、嘘だ!……』


 壮一は向井が言ったことをすぐに信じることができなかった。


 あの蒼太が自ら、自殺をしたなんて……


 「一応、事件に関わった者らから話を聞き、調書を作成し、

犯人死亡のまま、起訴をした…… 当然、直接、関わった者らも

処分をした……」

 壮一が何も言えず、黙り込んでいると向井は壮一の横を

通り過ぎる時に壮一の肩を軽く叩くと

 「調書は一応は存在するが…… 警察の不祥事に関わるから

厳重に封印されているのだ…… 事件は終わったのだ……

もう忘れろ!……」

 というと壮一のもとから立ち去った。

 哀しげな顔で壮一がその場に立ち尽くしていると

壮一の携帯電話の着信音が突然、鳴り響いた。

 「はい。もしもし……」

 慌てて、壮一が電話に出たがそれは電話の着信音じゃなかった。

 それはメールが着たことを知らせる着信音だった。

 『なんだ? メールかぁ……』

 壮一が携帯電話を操作をし、メールを確認すると着たメールには


 『事件はまだ終わっていない!……』


 と書かれていた。


 『事件はまだ終わっていない?……』


 壮一は意味がわからず、すぐに発信者などを調べたが

一切、書かれていなかった。


 『どういうことだ?……』


 壮一は香坂に頼み、着たメールのアドレスの持ち主を

捜してもらったがフリーメールのために持ち主を

特定することができなかった。


 『困ったなぁ?……』


 とりあえず、イタズラかと思ったが壮一が事件に

関わった者らのことを調べた。

 だが、別に何ら、変わったことはなかった。


 『やっぱり、イタズラだったか?……』


 無駄足だったことに少しがっかりしながら、

壮一が警視庁に戻ろうとしたその時……


 「誰か、助けてぇ!……」

 何処からか、若い女性の声が聴こえて来た。

 壮一が慌てて、声がした方へと駆けつけると

そこにいたのは壮一の妹の海那だった。

 「海那。 こんな所で何をしているんだ?……」

 目の前にいる、妹の海那に壮一が驚いていると

 「お、お兄ちゃんこそ、こんな所で何をしているの?……」

 海那も自分の目の前に突然、現れた兄の壮一に驚いた。

 「捜査だ!…… そんなことよりさっき、助けを呼んだのは

お前か?…… どうした?」

 壮一が海那に何があったのかを尋ねると

 「そ、そうよ…… ひったくりにあったの!……」

 海那はひったくにあったことを壮一に話した。

 壮一は辺りを見回しながら、

 「ひ、ひったくりか……」

 少し呆れたようにいうと

 「そんな言い方をすることないでしょう……」

 海那は頬を膨らませ、怒った。

 「すまん、すまん…… で、犯人はどっちに行った?」

 壮一は海那に謝るとひったくりの犯人が逃げた方向を

海那に訊いた。

 「あっちよ!……」

 海那は壮一の後ろの道を指差した。


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