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事件が終わり、一段落した壮一は峰岸教授に会うために
峰岸教授が勤めている大学へと向かった。
「峰岸教授なら、辞めましたよ!……」
大学の事務員は峰岸教授が大学を辞めたことを
壮一に教えてくれた。
『えっ?……』
壮一は驚いたものの、峰岸教授に会うために
峰岸の屋敷へと向かった。
『いるだろうか?……』
壮一がドキドキしながら、峰岸教授の屋敷の
インターホンを押すと
「はーい!……」
庭から元気な少女の声と共に茜が壮一の前に現れた。
茜はくりっとした目で壮一のことを見詰めながら、
「あっ!お兄ちゃん。 いらっしゃい!……」
と言い、壮一に抱きついてきた。
茜から少し遅れて、
「やはり、来たね! まあ、中に入りなさい!……」
壮一の前に現れた峰岸教授は壮一を屋敷の中へと
招き入れた。
庭で元気よく、遊んでいる茜を見ながら、
「どうして、大学を辞めたのですか?……」
壮一は隣にいる峰岸教授に訊いた。
「うん…… 責任かなぁ……」
「責任?……」
「そう! 藤堂だけに責任を取らせる訳には
いかないと思って…… まあ。私なりのケジメだ!
藤堂はそんなことをする必要はないと言ってくれたが……
私にも責任があるからなぁ……」
峰岸教授は茜を見詰めたまま、壮一にそう告げた。
「でも、これからどうするのですか? あの子を
抱えて?……」
壮一は庭で元気よく、楽しげに遊んでいる茜を横目で
見ながら、
「まあ、何とかなるさ……」
峰岸教授は優しい眼差しで茜のことを見詰め、答えた。
「そうですか?……」
壮一は少し不安だったが以前より明るい峰岸教授の
表情に安心し、峰岸教授の屋敷を後にした。
『自分も責任を取るべきだろうか?……』
壮一は悩んだが藤堂や峰岸教授のように責任を
取ることが出来ず、不満はあったが自分なりに
前に進むために警視庁で働くことにした。
警視庁で働くことにした壮一だったが一つ、
気になっていることがあった。
自分が蒼太に撃たれた後、蒼太がどうなったのかが……
壮一は蒼太の調書記録などを調べてみたが何処にも
残っていなかった。
『おかしいなぁ?……』
壮一は携帯電話を取り出し、香坂に電話を掛けた。
香坂が電話に出ると壮一は
「すまないが蒼太の調書記録などが見たいのだが……
どうにかならないか?……」
と言うと
「ちょっと待っててね!……」
香坂は自分のパソコンを操作し、蒼太の調書記録などを
調べ始めた。
数分後。
「ごめん! データがないわ…… データが消されているのか、
データがブロックされているのか、閲覧できないわ……」
香坂は蒼太の調書記録などが無いことを壮一に告げた。
『データが無い?…… どういうことだ?……』
壮一は頭を傾げながら、
「あ、ありがとう!…… 今度、食事でもおごるよ!」
香坂にそう言うと電話を切った。
『どうなっている?……』
訳がわからない壮一は向井に蒼太のことを訊こうと
電話を掛けた。
「もしもし…… 向井! ちょっと、訊きたいことが
あるのだが……」
壮一が向井にそう言うと向井はすでに話の内容が
わかっているかのように
「訊きたいこととは蒼太のことだろう?」
と壮一に言った。
自分が言う前に聞きたいことを向井が言ったことに
壮一は驚きながらも
「ああぁ…… 一体、どうなっているのだ?
蒼太の調書記録などが観れないというのは?……」
向井に尋ねると少し押し黙っていた向井だったが
「……わ、わかった! 蒼太のことを教えてやる……
だが、電話ではまずい! 誰かに聴かれているかも
しれないから屋上へ来い!」
そう言うと壮一を警視庁の屋上へと呼んだ。




