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京香の定期健診を行った峰岸は京香の様子が
違うことに気付いた。
詳しい検査をすると京香は妊娠をしていた。
だが、それは明らかに妹・加奈と藤堂との
子供じゃなかった。
「どういうことだ!……」
峰岸は京香を強く問いただした。
『……』
京香は口を噤【つぐ】んだまま、何も答えなかった。
そんな時、峰岸の頭の中にふと、いつも親しげに
過ごしている藤堂と京香の姿が浮かんだ。
『ま、まさか?……』
峰岸は藤堂のもとに向かい、
「お前、どういうことだ?……」
藤堂のことを怒鳴り付けた。
「はぁ?……」
藤堂が訳がわからないでいると
「お前なぁ……」
峰岸は藤堂に京香が妊娠したことを告げた。
「はぁ? それはどういうことだ?……」
始めは驚いていた藤堂だったが峰岸が京香が
妊娠した子供が加奈との子供ではないことを告げると
「そうか……」
「そうだよ…… で、どうするんだよ?これから……」
峰岸がそう言うと藤堂は一瞬、困った顔をしたものの、
「もうやめよう!……」
峰岸にそう告げた。
「はぁ?……」
峰岸は眉間にしわを寄せた。
「もう良いよ……」
「もう良いって…… じゃあ。京香が妊娠した
子供を認知し、京香と結婚をするつもりか?
親父さんが許すのか?……」
峰岸は京香のお腹の中にいる子供をどうするのかを
藤堂に問いただしたが藤堂は押し黙ったまま、
何も答えなかった。
日が経つにつれて、京香のお腹が段々と大きくなっても
藤堂は京香との関係を続けた。
そんな時だった……
藤堂と京香の関係が藤堂の父親にバレてしまったのは……
当然、身分が宜しくない京香を藤堂の父親が
認める訳はなかった。
藤堂は懸命に京香を認めてもらおうと父親を
説得し続けた。
だが、結局、藤堂は父親を説得を出来なかった。
それどころか、藤堂の知らない所で藤堂の父親は
京香に多額のお金と引き換えに藤堂と別れさせた。
それを知った藤堂はすぐに京香のもとに向かったが、
京香はすでに住まいを引き払い、姿を消した後だった。
私も藤堂もすぐにいなくなった京香を捜した。
だが、京香は何処にもいなかった。
私らが諦めかけたその時……
突然、京香は峰岸の前に現れた。
その腕の中にはスヤスヤと寝息を立てて、眠る
産まれたての赤ちゃんがいた。
「その子は?……」
峰岸は京香の腕の中に抱かれている赤ちゃんの事を
京香に訊いたが京香は何も答えず、いとおしそうに
自分の腕の中で眠る赤ちゃんを見詰めていた。
峰岸はすぐに京香が抱いている赤ちゃんが藤堂との
子供だと気付き、
「藤堂との子供か?」
と訊くと京香は小さく頷いた。
峰岸は京香が現れたことを藤堂に知らせようとしたが
「彼【藤堂】には知らせないで!……」
京香は藤堂に知らせることを強く拒んだ。
「どうして?……」
峰岸が京香に聞き返すと
「彼【藤堂】に迷惑が掛かるから……」
京香はそう言うだけだった。
でも、京香のことが気になった峰岸は藤堂に内緒で
京香に金銭など、色々と支援しようとした。
だが、京香は峰岸の支援を強く拒んだ。
そして、京香は再び、峰岸の前からも姿を消した。
峰岸はすぐに京香の行方を捜したが完全に姿を消し、
探し出すことができなかった。
「う、嘘だ!…… 母はそいつに捨てられ、
殺されたんだ!……」
峰岸教授の話を聞いた蒼太は激しく取り乱し、
再び、藤堂に拳銃を向けた。
藤堂は冷静な顔で蒼太のことを見詰めたまま、
「峰岸が言ったことは事実だ! しかし、お前が
言ったことも本当だ!…… 私は結果的に父親の
力に負け、お前の母親の京香を捨てた!……」
と言った。
「おい。蒼太、待て!…… 落ち着け!」
壮一は蒼太を制止しようとしたが壮一自身も
本当は冷静ではいられなかった。
自分の母親も一連ののことの原因に関わっていたことに……




