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ゲノム  作者: 劉・小狼
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 壮一の横に立ち、壮一に拳銃を向けたままの蒼太を

藤堂は見詰めながら

 「鳥瀬くんって言ったかな?……」

 壮一に話しかけてきた。

 突然、現れた総理大臣の藤堂に壮一は緊張しながら、

 「は、はい…… でも、何でも私の名を?……」

 聞き返すと

 「うん…… 秘書の者に調べさせた……」

 藤堂は丁寧の口調で壮一に言った。

 「さて、息子のこいつが大変なことをしたようで……」

 藤堂は深々と頭を下げ、壮一に謝った。

 『息子?……』

 不思議そうな顔で藤堂と蒼太のことを壮一は交互に見た。

 「そう! こいつは私が愛人に産ませた世間には

知られてはまずい子なのだ……」

 「そんなにきれいなことを言うな!……

散々、母を玩【もてあそ】び、捨てたくせに……」

 怒り交じりにそう言うと蒼太は藤堂に拳銃を向けた。

 もがき、やっと口を塞いでいた布を外した峰岸教授は

 「三山くん! そ、それは違うんだ!……」

 慌てて、叫んだ。

 峰岸教授の声に藤堂は取り乱し、慌てて、

 「峰岸! それは言うのではない!……」

 峰岸教授の発言を制止しようとした。

 「実は……」

 藤堂が止めるのも関わらず、峰岸教授は真実を

語り始めた。

 「三山くん。 キミが産まれるずっと前……

私がまだ大学の大学院に通う学生だった頃。


 藤堂と私の妹で三山くんの母親の加奈は出逢い、

すぐに二人は恋に落ちた。

 健全な交際を続け、将来的に二人は

結婚するものだと私は信じていた。 


 あの事件が起こるまでは……」

 峰岸教授も藤堂も悲しげな顔をし、顔を背けた。


 ある日。 妹の加奈は藤堂とのデートの帰り道……


 妹は襲われ、乱暴された。


 峰岸教授は話を続けた。

 蒼太は驚き、峰岸教授の話を聞き入った。


 犯人はすぐに捕まったのだが…… 妹の心の傷は

思った以上に深く、あれだけ愛していた藤堂を遠ざけ、

自分の部屋へと閉じこもるようになった。


 その時だった…… 更なる事件が起こったのは……



 「それ以上はやめろ!……」

 藤堂は怖い顔で峰岸教授のことを睨み付けた。

 だが、峰岸教授は話を続けた。



 襲われ、乱暴されたショックから妹は自ら、

手首を切って、自分の部屋で自殺をした。



 一番、思い出したくないことを峰岸教授の口から聞いた

藤堂は力なく、うな垂れた。



 私はいつも元気で明るかった妹の加奈を

突然失い、落ち込んだ。

 その時だった……

 藤堂から思いがけないことを持ちかけられたのは……


 当時、大学院で遺伝子研究を行っていた

そんな私に藤堂は……


 「加奈を蘇らしてくれ!……」

 藤堂は峰岸にそう言った。

 「バカを言え! 死んだ者を生き返らせるなんて

出来るはずがないだろう……」

 峰岸は藤堂を叱り付けた。

 「そ、そんなことはわかっている……

だが、耐えられないのだ…… 彼女【加奈】が

いないなんて……」

 藤堂は峰岸の前に崩れ落ち、泣き崩れた。

 峰岸はそんな藤堂の姿を見るのを堪えられなかった。

 何より、私自身も妹の加奈を蘇らせたかった。

 だが、当時の技術ではそれは到底、不可能だった。

 だけど、唯一、一つだけ望みがあった。

 それは妹の加奈の卵子と藤堂の精子を体外で受精させ、

妹の加奈との子供を作ることだった。

 だが、それにはいくつかの問題があった。

 当時は今に比べ、まだ体外受精には理解が少なく、

倫理的にも問題にされていた。

 極秘で体外受精を行ってもそれを胎内に宿し、

産んでくれる者がいなかった。

 「諦めよう! 無理だ!」

 あまりにもリスクが高さに峰岸は諦めようとしたが

藤堂の意思は固かった。

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