18
壮一が病院からいなくなった峰岸教授を必死で
探し回っていると突然、壮一の携帯電話の着信音が鳴った。
「はい。もしもし……」
壮一が電話に出るとそれは峰岸教授が入院していた
病院から遠く離れた駅からだった。
その電話の内容は電車に一人で乗っていた茜を駅で
保護をしているというものだった。
壮一は慌てて、その駅に向かうと駅員室には
茜の姿はなかった。
壮一が駅員室の中を見回しながら、
「あれ? 電話で話していた女の子は?……」
駅員室にいる駅員に茜のことを訊くと駅員は驚いた顔をし、
「あれ? さっき、お仲間さん達が連れて 行きましたよ……」
誰かが茜を連れて行ったことを告げた。
『はぁ?……』
壮一は険しい顔をしながらも慌てて、駅員室から飛び出し、
茜のことを捜すと
「いやぁ!…… やめてぇ!……」
嫌がる茜を黒い服の男らは自分らの車に強引に押し込み、
連れ去ろうとしていた。
茜のことを見つけた壮一は
「お前ら、何をやっている!……」
黒い服の男らに声を掛けた。
黒い服の男らは壮一の声に驚き、慌てて、車に茜を
押し込むとその場から走り去った。
『なんだ?…… あいつら?……』
壮一はそう思いながらも一刻も早く、茜を取り戻さないと
いけないと思い、携帯電話を取り出すと菅野に電話を掛けた。
「すまないがすぐに今から言う番号の車を
捜してくれないか! 女の子が浚われたんだ!」
壮一は憶えたての黒い服の男らの車の番号を菅野に伝えた。
「わかったわ! すぐに指名手配するわ!……」
警視庁に夏海を連れて戻った菅野は電話を切ると
目の前をちょうど、通りかかった沢村に
「この子を頼むわ!……」
夏海の保護をするように頼み、その場から立ち去ろうとしたが
沢村が夏海に言った言葉に菅野は耳を疑った。
「お嬢様もしくじったのですか?……」
沢村は馴れ馴れしく、夏海に話しかけた。
「ええぇ…… 案外とあのジジィ、ガードが固くて……」
夏海は今まで怯えていたのとは違い、沢村と親しげに
話し始めた。
沢村は驚いている顔をしている菅野を見ながら
「こいつをどうしますか?……」
夏海に訊いた。
夏海も菅野のことを見ながら、
「そうね…… 計画の邪魔になるからアイツと同じように
静かにしておいてもらいましょうかね?……」
「そうですね!……」
沢村は拳銃で菅野を殴り、気絶させた。
暫くして、菅野が気が付くと何処かの一室の中にいた。
『こんな所から早く、逃げ出さないと……』
菅野が部屋から逃げ出そうともがき暴れたが手足などを
縛られていて、逃げ出すことが出来なかった。
それでも必死で逃げ出そうともがいていると
「そんなことをしても無駄だ……」
部屋の奥から聴き慣れた声が聴こえて来た。
『え?……』
菅野が恐る恐る、後ろを振り返るとそこには菅野と
同じように縛られている向井の姿があった。
「え? どうして、貴方がここにいるの?……
撃たれて、病院で入院しているのでは?……」
菅野が向井にそう尋ねると向井はがっかりした顔で
「ああぁ…… 運ばれる途中にアイツらに浚われ、
ここに閉じ込められた…… お前もか?……」
菅野に言った。
菅野は驚いた顔で向井のことを見詰めたまま、
「一体、何が起こっているの?」
向井に訊いた。




