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部屋の中に通された壮一は緊張をしていた。
女の子とこんな所に入るのは初めだった。
それも10代の女の子と入るのは……
緊張し、入り口のドアを開けたまま、壮一が
立ち尽くしていると
「ねぇ。おじさん! そんな所に立っていないで
ドアを閉めて、中に入ってよ!」
さっきまでとは違って、夏海は慣れたようにベットに
腰掛けながら、壮一に声を掛けた。
あまりの夏海の変わりように壮一は驚きながらも
「ああぁ…… すまん!……」
緊張したまま、慌てて、ドアを閉めた。
ブレザーの制服の上着を脱ぎながら、
「ねぇ。これから私、どうなるの?……
本当に守ってくれるの?」
夏海は壮一に訊いた。
「ああぁ…… だが、俺一人だけでは無理だから
やっぱり、仲間に保護してもらわないと……」
壮一がそう言うと
「いや!それは……」
夏海は再び怯え、躯を振るわせた。
困った顔をした壮一だったが突然、部屋から出て、
携帯電話を取り出すと何処かへと電話を掛けた。
電話を終え、部屋に戻ると夏海はベットに仰向けで
スヤスヤと寝息を立てて、眠っていた。
「しょうがないなぁ……」
壮一は寝ている夏海に毛布を掛けると
「疲れた!……」
壮一もソファで横になった。
疲れていたのか、壮一も深い眠りに落ちた。
何時間、寝ただろう?……
壮一はふと、すぐ目の前に人気を感じ、目を覚ました。
すると、今にもキスをしそうな距離まで顔を近付けている
夏海の顔があった。
「うわぁ!……」
突然、自分の目の前にいた夏海にびっくりした壮一は
ソファから飛び起きた。
「おじさん。 寝顔、可愛いね!……」
夏海は小悪魔の微笑みで壮一のことを見た。
壮一はまだ寝ぼけたままで辺りを見ながら、
「今、何時だ?……」
夏海に聞くと
「え~っとね……」
夏海は腕時計を見ながら、
「8時半かな?」
と答えた。
「そうか!…… 行こうか!……」
壮一はまだ寝ぼけたまま、部屋を出た。
「ちょ、ちょっと待ってよ!……」
夏海も壮一の後を追いかけ、慌てて、部屋を後にした。
他の客はまだ寝ているのか、いないのか、ラブホテルの
廊下はとても静かだった。
それは異様過ぎるほどだった。
『おかしいなぁ……』
壮一は周囲の異様さに気味悪さを感じながらも
鮫島を見つけると
「た、助かったよ!……」
というと夏海と共にラブホテルを後にした。
壮一は辺りを気にしながら、
「いくぞ!……」
後から出てきた夏海にいうと歩き出した。
「もぉ! お腹、空いた! 何か、喰わせろ!」
夏海は壮一に文句を言いながら、壮一の後を追いかけた。
暫く、夏海の声を無視し、無言で歩き続けた壮一は
”ラ・ポート”と書かれている喫茶店の前で立ち止まり、
中へと入った。
店の一番奥の席には髪の長い女性が座っていた。
そこに座っていたのは壮一が警視庁で働いていた時の
同僚だった菅野悠子だった。
菅野は壮一が警視庁時代から最も信頼している人物だった。
「遅い!……」
菅野は後からやって来た壮一に苛立っていた。
「すまん! 色々とあって……」
壮一は菅野と向かい合うように菅野の前の席に座った。
その横に夏海もちょこんと腰掛けた。
菅野は一瞬、夏海に目をやると
「その子?……」
壮一に訊いた。
壮一も一瞬、夏海のことを見ると
「ああぁ……」
と頷いた。
「……で、その子を私が保護しろと……」
菅野は苛立ったように壮一に訊くと
「ああぁ……」
壮一は頷いた。
「それはそうと…… 一体、何があったの?……
私には貴方が向井を撃ったとはどうしても
思えないのだけど……」
菅野は壮一に尋ねた。




