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「私は数名の信頼の置ける教え子と共に河野の研究施設で
共同研究を行った。河野の研究施設は大学の私の研究室とは
比べものにならないほどの最新鋭の設備などが整っていた。」
「河野との共同研究は順調に進んだ……
だが、娘を蘇らせるのは失敗の連続で一向に進まなかった……
後で気が付いたのだが…… 河野が興味があったのは
私との共同研究の方ではなく、私がやろうとしていた娘を
蘇らせようとしていた方だった……」
「娘を蘇らせることが全然、進まないことに初めを
穏やかに私のことを見守って、我らのことを優遇していた
河野の態度も徐々に変化していった。」
怒りがこみ上げてきたのか、峰岸教授は語尾を少し強めたが
すぐに冷静さを取り戻し、
「それにも負けずに我らは私の娘を蘇らせるために
研究と実験を繰り返した。 その時だった……
実験の手違いで遺伝子情報から我らは人の臓器を
作り出すことが出来た…… ごく小さなモノだったが……
私にとっては大きな進歩だった……」
峰岸教授は再び、哀しげな表情をした。
「だが、そんな時だった…… 実験データを管理していた
教え子の初音琴美くんが謎の自殺をした……」
『じ、自殺?……』
壮一は顔を曇らせた。
「私は琴美くんがそんな自殺なんてするはずがないと
すぐにわかった…… 現に前日まで我らと楽しく、
研究や実験などを行い、データを纏めていたのだから……」
「そしたら、なぜ?……」
壮一は峰岸教授に訊いた。
峰岸教授は哀しげな顔をし、
「琴美くんが自殺をしたと同時に我らの実験素材と
研究データが全て、無くなった。それを知った瞬間、
私は我らの実験素材と研究データを奪うために
自殺に見せ掛けて、河野が琴美くんを殺したと思った……
だが、わたしには何一つ、それを証明する
モノがなかった!……」
「琴美くんが亡くなったことで私らの仲も
段々と遠退いていった。
そして、私らはバラバラになった……」
「これがその時のメンバーだ!……」
峰岸教授はそう言い、服の内ポケットから聡子や
綾野らが一緒に写っている写真を取り出した。
「こ、これは……」
その写真を見た壮一は驚いた。
その写真には峰岸教授を含め、今回の事件の第一の
変死死体の綾野薫、壮一の幼馴染みの聡子が写っていた。
そして、一番、端に物静かで大人しそうな女の子が
写っていた。
『この子が初音琴美だろうか?……』
壮一が写真を見詰めながら、そう思っていると
察したのか、峰岸教授は小さく頷いた。
河野との関係などを大体、訊いた壮一は峰岸教授を
病院へと運んだ。
峰岸教授の屋敷から逃げ去った河野は人目を避け、
人気のない路地裏を走って逃げていた。
そんな逃げ回る河野の前に茜のことを追っていた
黒い服の怪しげな男らが行く手に突然現れ、立ち塞がった。




