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ゲノム  作者: 劉・小狼
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 「な、何でお前がここに?……」

 壮一が驚いた顔をして、河野のことを見詰めていると

自分の正体がバレたことに焦った河野は壮一の前から

慌てて、逃げ去った。

 「待て!……」

 逃げ去った河野を壮一は追いかけようとしたが

茜は体を震わせ、壮一にしがみ付いた。

 そのせいで壮一は河野を取り逃がした。

 「お前なぁ……」

 だが、壮一は茜を強く叱ることが出来なかった。

 壮一は茜を落ち着かせると、床に倒れている

峰岸教授の手当てをした。

 幸い、峰岸教授は命に関わる怪我などをしていなかった。

 だが、専門なところですぐにでも見てもらう必要があった。

 壮一の手当てが終わると

 「ありがとう!…… 君が来てくれて、とても助かったよ!」

 峰岸教授は壮一にお礼を言った。

 「いいえ……」

 壮一はそう言いながら、峰岸教授にぴったりと寄り添っている

茜に目をやった。

 峰岸教授も壮一の視線に気付き、

 「何か、私に話があって、ここに来たのでは?……」

 壮一に言った。

 「ええぇ…… さっき、ここから逃げていった男【河野】

との関係と…… その横にいる女の子【茜】のことを

教えてもらえませんか?……」

 壮一は峰岸教授に河野と茜のことを訊いた。

 峰岸教授は顔色を曇らせたが、

 「ちょっと、私はこの人と話があるから向こうに

行ってなさい!」

 というと茜を遠ざけた。

 始めは嫌がり、駄々を捏ねた茜だったが

渋々、峰岸教授から離れた。

 峰岸教授は遠くの方で一人遊んでいる茜を

自分の子供を見るような眼差しで見詰めながら、

 「さっき、ここから逃げ去った男【河野】のことを

話す前にあの子のことを話そう!……」

 と意を決したように口を開き始めた。

 「あの子は私の実の子ではない!……

いや、私の子と言っても良いかもしれない!」

 「それはどういうことですか?……」

 壮一が峰岸教授にすぐに聞き返すと

 「あの子は亡くなった私の実の子の遺伝子情報から

作り出したクローンなのだ!」

 峰岸教授は壮一にそう答えた。

 『クローン?……』

 壮一が首を傾げ、一人で遊んでいる茜を見詰めると

峰岸教授も愛しげに茜のことを見ながら、

 「……私の本当の娘は突然、亡くなった。

我ら、夫婦はそんな突然、亡くなった娘のことを

酷く哀しんだ!」

 「あまりの哀しみに狂いそうになる妻を見て、

私は何とかして亡くなった娘を蘇らせようとし、

大学で研究していた遺伝子を利用とした……」

 と自分の娘のことを語り始めた。

 壮一はさらに顔を曇らせた。

 「だが、すぐにはうまくはいかなかった。

そんな時だった…… 何処から聞きつけたのか、

同じように民間で遺伝子研究を行っている

河野康隆と名乗る者が私の前に現れた。」

 峰岸教授は河野とのことを壮一に語り始めた。

 「河野のところも遺伝子の研究でうまくいっていなく、

行き詰っていた。そんな河野は私に共同研究を持ち掛けた!」

 「私にとっては願ってもない提案だったが……

いかにも怪しげな河野のことを信じることが出来ず、

断った!……」

 「だが、河野はしつこく、私のもとにやって来ては

共同研究のことを持ちかけた。」

 「始めは断っていた私だったが…… 娘を一刻も

早く蘇らせたかった私は河野の悪魔の囁きに

首を縦に振ってしまった……」

 峰岸教授は哀しげな表情を浮かべた。

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