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壮一は部屋の中を見廻しながら、
「妹は?……」
聡子に訊いた。
聡子も部屋の中を見廻しながら、
「さあ…… 私も襲われ、すぐにこの部屋に
押し込まれたから……」
と言った。
嫌な予感がした壮一は
「蒼太! お前、すぐに(警察)署に戻り、
情報を集めて来い!……」
近くにいた蒼太に言った。
「僕ですか?……」
蒼太は突然のことに驚いた顔をし、
「まずくないですか?…… 先輩を助けたのですよ!」
壮一に言い返した。
「ああぁ…… だが、こいつ【聡子】と一緒に行けば、
大丈夫だろう?…… 署の中で自由に動け、使えるのは
お前だけのだから……」
壮一がそう言うと
「そうですか…… なら……」
蒼太は早速、聡子と共に署に向かった。
蒼太達が去った後、壮一は何か、手掛かりがないか、
妹の海那の部屋の中を探った。
すると、ベットの下からクチャクチャに丸められた
メモ用紙が出てきた。
壮一が恐る恐る、メモ用紙を広げてみると
それは妹の海那が書いたモノだった。
急いで書いたのか、字は汚かったが何とか書いている
内容は読み取れた。
その紙には
『お兄ちゃん! あの子、何か変だよ!……』
と書かれていた。
『あの子?……』
壮一にはすぐにその意味がわからなかったが……
『もしや……』
壮一の頭の中に自分が助けた茜の顔が浮かんだ。
『まさかなぁ……』
壮一がそんな事を思っている頃……
蒼太と聡子は壮一が勤めている警察署に到着していた。
その時、突然、蒼太の携帯電話が鳴った。
蒼太は携帯電話のディスプレイ画面を見ると
「ごめん。 先に行っていて……」
と聡子にいうと携帯電話を持ったまま、
何処かへと姿を消した。
聡子は立ち去っていく蒼太の後ろ姿を見ながら
「しょうがないわね……」
というと少し浮かれ気分で一人で警察署の中へと
入って行った。
そんな聡子の姿を物陰から怪しげに見詰める者がいるとも
知らずに……
警察署は大怪我を負った向井の代わりに警視庁から
来た濱田が指揮を執っていた。
「何をしている! まだ、見付からないのか!……」
同じ部屋の中にいる刑事らを怒鳴り散らしている。
『何か、ネタはないかしら?……』
聡子は濱田の怒鳴り声を横目に記事のネタを探し、
その場を後にしたが中々、良い記事のネタはなかった。
『ちぇ! 良いネタがないわ……』
聡子が舌打ちをしながら、署内を歩き回っていると
薄暗い廊下を奥の部屋から光りが洩れていた。
『なに? あの部屋?……』
聡子がそう思いながら、その光りが洩れている
部屋の中を覗くとその部屋の中には海那の部屋から
いなくなったはずの海那がいた。
「海那ちゃん! 何でここにいるの?……」
聡子が部屋のドアを開け、部屋の中に入ると
突然、後ろから強い衝撃を受け、その場に倒れ、
そのまま、気を失った。




