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ゲノム  作者: 劉・小狼
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 今にも崩れ落ちそうな建物内に乾いた銃声が鳴り響いた。

 その後に初老のよれよれのコートを着た男がその場に倒れ込んだ。

 倒れ込んだ初老の男の事を見ながら、銃を撃った人影は微笑む。


 一体、どうなっているんだ?


 建物内に倒れ込み、薄れ行く意識の中、初老の男・鳥瀬壮一【とりせそういち】は

自分を撃った若き男・三山蒼太【みやまそうた】を見詰めている。


 全ての始まりはあの事件からだった……


 それは数ヶ月前のことだった。


 一人の若き女性の変死死体が街外れの全く人気のない河川敷で

発見されたことだった。

 朝早くから現場に呼び出された壮一は不機嫌だ。

 「殺し?…… それとも自殺?」

 壮一は懸命に鑑識活動を行っている鑑識官に訊いた。

 「首を絞められた痕はありますが…… 今のところは殺しとも

自殺とも何とも言えませんね……」

 鑑識官は壮一にそう答えると再び、鑑識作業に戻った。

 「そうか……」

 そう言った壮一だったが女性の遺体を見た壮一は違和感を感じた。

 すぐに遺体で発見された女性は都内に住む、綾野薫【あやのかおる】とわかった。

 だが、それ以上のことはまるでわからず、謎で捜査はすぐに行き詰った。

 そんな時……

 綾野を知る者が突然、現れた。

 遺体を見た男は平然とした顔のまま、

 「確かに綾野薫くんに間違いありません!」

 と答えた。

 その男・河野康隆【こうのやすたか】は自分のことを

 『ヒトゲノムを研究している所の者だ!』

 と名乗った。


 ヒトゲノム?……


 壮一は何を言っているのか、まるでわからなかった。

 とりあえず、河野に話を訊くために春から新人刑事として

壮一のいる警察署に配属になり、壮一とコンビを組んでいる

蒼太と共に河野が言った、ヒトゲノムを研究している施設へと向かった。

 研究施設で出迎えた若い女性・宮島美香【みやじまみか】を見て、

壮一らは驚いた。

 それは遺体で発見された綾野と瓜二つの若い女性だった。

 「き、きみは?……」

 壮一が驚いた顔のまま、宮島に話しかけると宮島はにっこりと

壮一らに微笑みながら、

 「綾乃さんとはここでもよく間違われるのですよ!」

 と答えた。

 「そ、そうなんですか?……」

 そう言ったものの、見れば見るほど、瓜二つだった。

 間違われるのもうなずける。

 「施設内を案内しつつ、河野部長の所にご案内しますね!……

 こちらにどうぞ!」

 宮島は壮一らを施設内を案内した。

 そこは白衣を着た研究員らがパソコンや色々な器具などを使い、

研究を行っていた。

 黙々と自分の研究に打ち込んでいる研究員らを目の当たりした

壮一は違和感を感じていた。

 壮一は彼らのことが気になり、宮島が説明する施設内のことが

まるで頭の中に入ってこなかった。

 「こんな話をしてもわかりませんよね!」

 優しく微笑む宮島の声に我に返った壮一は

 「いや…… 大変、ためになる話で……」

 と言ったが壮一の隣で蒼太は呆れた顔で壮一のことを横目で見ていた。

 「うるさいよ!……」

 そんな蒼太の態度にムカついた壮一が蒼太のことを小突いているのを見て、

可笑しくなった宮島はくすっと思わず、笑った。

 そんな少女のような笑顔の宮島に壮一は年甲斐もなく、

 『かわいい!……』

 心をときめかせた。

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