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険しい道のり

 どうもシファニーです! 今年は何気にウィンタースポーツをまだしてないことに気付きました。というか、このままいくとしないで終わりそう。


 第97部、第3章第5話『険しい道のり』です。どうぞ!

「ああもうふたりともどこなのよ!」


 かれこれ雪山を歩き続けて1日が経ったはずだ。

 吹雪はまだ止まないし、どれだけ進んでも景色が一向に変わらない。正直、自分が真っすぐ進めているのかさえ分からない。


「いつになったら止むのよこの吹雪! この規模じゃ魔法で退かすのは無理だし……リネルがちゃんとヒセを助けられたのかさえ分からない! ……いい加減うざったいわねぇ、この雪!」 

 

 どれだけ掃っても顔にかかってくる雪がうざったい。


「というかなんでリネルは私を探さないのよ! どうせヒセは助けてるはずでしょう! だったら私も助けなさいよ! もうひとりでこんなところ歩くの嫌なのよ!」


 いつか行きたいと憧れていた雪山がこんなに退屈で大変な場所だと思わなかった。


「遠くから見たら白くて綺麗だったのに、これじゃ白くて綺麗じゃなくて白くて何も見えないじゃない! 話が違うわよ! あとでリネルに文句言ってやるわ! ……だから、早く私を見つけなさいよ」


 そう、そうだ。リネルが見つけないのが悪い。

 あっちはふたり、こっちはひとり。迷子なのは私の方なんだから、リネルが探すのが道理だわ。この前だって見つけてくれたんだもの、すぐに見つけてくれるはず……。


「今はきっと、ヒセが我が儘を言ってリネルを困らせているんだわ。そうに違いない。だから私は、いつも通りヒセの我が儘を我慢するつもりで、待っていたらいいんだわ! そう、私が歩き回る必要はないのよ!」


 重い雪を掻き分け、寒さに耐え、風も堪える。もうへとへとだ。一歩だって歩きたくない。足はぱんぱんだし、お腹も冷えてきた気がする。


「大体、どうして私がこんなところに……」


 紡ぐ言葉を、自然と止めていた。

 足を止め、その反動で体が跳ねる。これ以上はいけないと、本能的に止まっていた。

 別に強そうな魔物がいたわけでも、大きな崖があったわけでもない。ただ、これ以上言ってはいけないと、本能が無理やりとどめて来ただけ。


 ずっと戒めて来た。

 お母様は、私の我が儘のせいで危険な目にあい、今、苦しんでいる。リネルだって死にそうになった。リアサも戦ったし、他にも大勢……。

 結果として誰も死なずに死んだけど、それは運が良かっただけのこと。もしかすれば、お母様はあの時にだって死んでいたかもしれないんだ。

 そんな我が儘を止めようって思って、今日まで頑張ってきたはずだ。我が儘を言っても許されるくらい、強くなりたい。


「……リィナ、あなたは次期エルフの女王になる存在よ。強く、気高くなければならない。お母様のように」


 重い足を持ち上げ、新たな一歩を踏み出そうとしたその時、不意に、眩しい光が目に差し込んだ。

 思わず目を瞑ってしまった。何が起こったのか確認するためにゆっくりと瞼を上げる。

 

 そんな私の視界に飛び込んできたのは、天を割く光。


「なに、これ……」


 思わず足を止め、息を飲む。

 真っ白に染まった景色を破り、粟田い光が差し込んで来た。まるで光を避けるように雲は散り散りになって行き、雪は勢いを削がれていく。

 私の足元を照らし、強く差し込んできた光は、あれだけ激しかった吹雪を、あっという間に沈めてしまった。


 胸が高鳴るのが分かった。体がうずき、すぐにでも声を上げたくなる。


 神々しい、という言葉がふさわしかった。神聖で、輝かしい景色。

 夢にまで見た数多の絶景たち。でも、その予想のどれをも上回るような景色が目の前に広がっている。


 前へ進めと、手を引いてくれているような気がした。


「っ、そうよ! 今のうちにリネルたちを探さないと! 《エア・フライト》」


 飛び上がる。

 視界を遮るものは無くなった。空高く、上空から探せばすぐに見つかるはずだ。例え、この雪山がどれだけ広かったとしても。


「でも、出来るだけ高いところが良いわよね。どこまでも見渡せるくらい、高い場所」


 出来る限りの全速力で、空へ空へと昇って行く。風を切り、やがて遠くへ逃げていく雲さえも越えたところで私は振り返る。

 目を凝らし、ふたりの小さな姿を探す準備をした、その途端。


 私は、今日2度目の絶景を目にした。


「これは……凄いわね。本当に、凄い」


 辺り一面の雪景色だった。

 太陽の光を受け、爛々と輝く白色が、視界を埋め尽くしていた。シンラシンラを探そうと首を振って、本当に端の端の方に、本の小さく緑が見えた。


「シンラシンラがあんな小さく。世界って、本当に広いのね」


 魔の荒野を初めて見た時も、同じようなことを思った気がする。

 ここも魔の荒野も、どちらも比べられない程に壮観だ。どこまでも広がっている一面の景色。

 リネルたちを探すことなど、すっかり忘れて見惚れてしまう。


「私、これからここよりもっと広い世界を、冒険できるのよね。色々な景色を、見た回れるのよね。……ねえリネル、私、凄い楽しみだわ」


 いつか、お父様が見たことのない全ての景色を見てみたい。

 その願いは酷く大変で、叶えるのは困難かもしれない。でも、それは諦める理由にはならない。


「だからリネル、早く私を見つけて」


 あなたが、広い森の中で私を見つけ、手を差し伸べてくれたように。

 今度もまた、この雪の世界の中で、私を見つけて。

 今日は2月27日何ですけど、私27って数字が好きなんですよね。なんか、1番わかりやすい数字の2、1番複雑な数字の7が共存して、その上3の3乗で計算できる。具体的な言葉には出来ませんが、なんか好きなの分かってもらえませんか? あ、もらえませんね。


 それでは!

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