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遭難

 どうもシファニーです! いよいよ高校生な私にもカウントダウンが聞こえてきました。カレンダーを見れば、どうやら卒業式は目の前らしいですよ!


 第96部、第3章第4話『遭難』です。どうぞ!

 ヒセの言葉に従って向かった先には、薄っすらとだが開けた空間が広がっているように見えた。

 雪が何度も顔に打ち付けるのも構わず、俺はそこを目指して進む。

 崖に勢いよくぶつからないようによく目を凝らし、すぐ泊まれるくらいの速度を維持した。

 

 そうしてたどり着いた開けた空間。その奥の方に、広い空洞が広がっているのが見えた。


「これは……洞窟、か?」


 ヒセを見る。顔色を悪くし、ぐったりと力なく目を閉ざしていた。

 洞窟なんて臭いでは判断できないだろうに、どうやって見つけたのだろうか。

 

 分からないが、今はひとまず助かった。

 ヒセを中に連れて行く。

 中に吹雪が吹き込んでこないのはすぐに分かった。心なしか、外よりは温かい。


 平たい岩を見つけ、その上にヒセを寝かせる。

 すぐに背負っていた鞄を下ろした。


「待ってろ、すぐに火を焚くからな」


 こんな時のために木炭を用意してあった。

 土属性の魔法で囲いを作り、木炭を並べる。火属性の魔法で着火すれば、間もなく火が登り始める。

 

 濡れたヒセの上着を脱がし、出来るだけ火の近くに体を動かす。

 よく見れば、上着の下までびしょ濡れだった。あんな雪にもまれれば、当然のことだろうと思う。

 非常時故に躊躇もなく脱がす。上着を脱ぎ、さらにその下の服を使ってヒセの体を拭き、上着を羽織ってヒセの体を抱きしめる。

 火、上着、人肌。出来る限りの手段で、ヒセの体を温める。


 時々水も飲ませ、汗をかけば拭いてやる。

 しばらく経って服が乾けば着せてやり、出来るだけ温かい状態を保つ。


 他のことを考える余裕もないままヒセを温め続けて、どれくらいの時間が経っただろうか。


 吹雪は止まず、ヒセは目覚めぬ中、俺の頭はリィナのことでいっぱいだった。


「変に動き回ってないでくれよ……。必ず見つけ出すから」


 とっさに飛び出してきてしまったが、リィナが置き去りだった。

 あの様子からして狼と戦闘になったとは考えづらい。それでもこの猛吹雪。危ないことに変わりはない。

 特にあのリィナだ。


 実力はある。自信もある。だけど、心が弱くて、寂しがりな女の子。

 きっと、俺を必要としている。


「すぐにでも探しに行きたいのは山々だが……ヒセがこの調子じゃ、置いて探しになんて行けないし。この吹雪の中飛び出したんじゃ、俺だって迷いかねない」


 動くに動けない状態だった。だから今は、せめてリィナが安全な場所で待っててくれているのを祈るばかりだ。


 白く染まる洞窟の外を眺めていると、後ろから物音が聞こえて来た。


「ん? ヒセ、起きたのか?」


 振り返り、ヒセを見てみる。

 もぞもぞと動き出し、やがてゆっくりと体を起こしたヒセは、眠たそうに目を擦りながら周囲を見渡し始めた。

 どうやら、一安心してよさそうだ。


「あ、リネル……ここは?」

「洞窟の中だ。寒いとか、喉が渇いたとか腹が減ったとか、ないか?」

「ん、ちょっと、お腹空いた」

「分かった。すぐ用意するから待っててくれよ」


 起き上がり、背を伸ばすヒセを横目に、用意しておいた干し肉を火であぶる。冷たいものより、暖かいものを食べたいだろう。

 同時に、水を沸かせて白湯を作ることにする。


 いつだったか。幼い少女の面倒を見たことがあった。確か3度目の人生の時だ。

 当時は俺も8歳と幼く、少女。名前を確かアンナといったか。彼女からしてみれば同い年の友人のように思っていたかもしれないが、俺からしてみれば初めてのお守りだった。

 慣れなかったこともあって、いろいろと手を焼かされた。


 ときには大人に注意されたこともあった。そんなことをしていたらアンナが可哀想だ、と。俺からしてみればアンナの面倒など見たくはなかったし、任せていいのなら誰にだって押し付けてやりたかった。

 だが事情が事情だったので、仕方なく諦め、面倒を見続けることとなった。

 そう言えば、アンナは元気に生きていればもう40を越える頃なのだろうか。あれだけ世話をかけてしまったせいだろうか。少し、どんな風に成長したのか気になるな。


 そんな考えに耽る俺を現実に戻したのは、肩に触れた小さな手。


「リネル、もういい?」

「え? ああ、いいぞ。好きなだけ食べてくれ」


 もう十分な時間が経っていた。干し肉はよく温まっているだろうし、手元の水も沸騰を始めようとしていた。

 ちょっと考え事が過ぎただろうか。


 水を淹れていたお椀を退け、コップに移す。

 改めて思うが、リィナは凄い。裁縫だけではなく工作も出来る。それも、かなりの技術力だ。

 まさか、火で熱しても燃えず、中のものを温めることの出来る食器を造れるとは。こういう時にも役立つし、ありがたい限りだった。


「ヒセ、熱くないか?」

「ん、大丈夫」


 ヒセは、小さな口で少しずつ干し肉を齧り、ちびちびと水を飲んだ。

 まだ寒さが抜けきっていないのだろうか。普段の豪快さが無かった。それとも、ただ猫舌なだけだろうか。


 しばらくヒセのそんな姿を見ていると、ヒセが、手に取った干し肉を差し出してきた。


「リネルも、食べて」

「え? でも」

「いいから。お腹がすいたら、力でない」

「……そうだな。貰っておく」

「ん」


 そうだ。

 これからヒセを守り、リィナを探し出すためにも、しっかりと力を蓄えておく必要がある。


 こうして、1日目から動乱続きの雪山探索が始まった。

 高校を卒業し、大学にいったらやりたいこと、たくさんありますよね?

 私は執筆に執筆、あとは読書とアニメ視聴、それから執筆でしょうか。……今までと何も変わっていませんね? 

 もちろん冗談です。小説の技術向上やストーリーの重厚さを増させるためにも色々な経験をするために努力する予定です! 今から楽しみで仕方ありませんね!


 それでは!

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