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出発準備

 どうもシファニーです! 今日小説書きすぎて指が曲がらなくなってます。


 第92部、第2章第46話『出発準備』です。どうぞ!

「ヒセ、いい子にしてたか?」

「ん。早かった、ね?」

「早急に用が出来たのよ。まあ、今日は日が暮れちゃったから、明日出発ね。ヒセ、雪山に行くわよ」


 程なくして我が家にたどり着けば、ちょうどヒセが蛇の肉を食べているところだった。どうやら火の起こし方は知っていたらしく、ちゃんと焼いて食べていた。てっきり普段は生肉を食べているのだとばかり。

 いや、流石の獣人でもそんな野生じみた生活はしていないか。


「まさかこんな本格的な家を建てているとは……それと、どのお嬢様はどなたなのです?」

「ん! 知らないエルフ! リネルとリィナの仲間?」


 時刻も遅くなってしまい、出発するのは危険と言うことでリオネルも家に招いた。リィナは風林車で寝かせておけばいいと言ったが流石に申し訳ないので俺の部屋を貸すと提案したわけだ。

 だからリオネルも家に上がったのだが、そうなれば当然ヒセと対面することになる。


 リオネルは他種族の少女にドギマギ、ヒセは知らない相手に警戒心をむき出しにして向かい合う。


「えっと、こちら獣人族のヒセ。ついこの前から居候してる。で、ヒセ、こっちは仲間のリオネル。これから行く旅で、途中まで乗り物の運転をしてくれるんだ」

「じゅ、獣人族……? まさか、街を出て数年足らずで他種族と交流を果たすなんて……」

「運転? 御者さんってこと?」

「まあそんな感じだ」


 てな感じで紹介を済ませ、ヒセはすでに食べたようだったが夜ご飯を用意し、ヒセは当然のように一人前を平らげお代わりを要求してきた。獣人の食欲はすさまじい。


 それからいつも通りお風呂に入り、疲れを癒してリビングへ。そこで、俺たちの作戦会議が始まった。


「諸々の準備も考えて、リオネルに雪山のふもとまで送ってもらうのは明後日にしましょう。理由として、まず登山には何日もかかる可能性がある。ここで大量の蛇肉の出番よ。長期間保存できるように加工していおきましょう。これはリネル、任せたわ」

「だな。確かに食料は重要だ、任せろ」

「そして次に装備。雪山は過酷よ。今の私たちの装備では不十分でしょうね。そこで、この前蛇から剥いだ皮を使うわ。衣類と手袋やブーツ、鞄に加工しましょう。これは私がやる。そして最後、リネルの魔法があるとはいえ火の確保は重要よ。そこで火鋼石を持って行きたい。ねえヒセ、当てはない? 魔の荒野を旅したあなたにしか頼めないことなの」


 リィナの言葉を聞いて、手を舐め、それで顔を洗っていたヒセが顔を上げた。

 真剣な目つきで見つめてくるリィナに、ヒセも同等の熱量で応えた。


「ん、何とかする。ついでに、ご飯があったらとって来る」

「ええ、お願いね。頼りにしているわ」


 優しい微笑みを浮かべたリィナに、ヒセはしっかりと頷いた。表情には出ないが、固い決意を抱いたところだろう。


「そ、それで、私は何かしたほうがよろしいのでしょうか?」

「リオネルに頼みたい準備はないわ。代わりに、帰ったらみんなに伝えて欲しいことがる」

「……何なりと、申上げてくださいませ」


 リィナの纏う、緊張した気配を感じ取ったのだろう。リオネルは背筋を答えて応じた。それに、リィナは一切表情を緩めず、厳格な態度で言い放つ。


「これには1週間、1カ月、1年。もしかしたらそれ以上の月日が流れるかもしれない。それでも、私たちを信じて待ち続けて欲しい。決して探しに来ることのないように。……こう伝えて。私たちは必ず、帰って来るから」

「かしこまり、ました。必ず伝え、厳守させるように尽力いたします」

「ええ。……どう、リネル。これが私なりの責任、けじめよ」

「俺から言うことは無い。今回のことは、リィナが始めたことだ。俺はそれを全力で手伝うだけ。もし帰ってから怒られるようなことがあれば、一緒に叱られてやる」

「そこは叱られないように頑張りなさい。……まあ、そんな感じよ。さ、明日も忙しくなる。さっさと寝て、備えましょ。私、ちょっと疲れたわ」

「そうだな。ヒセはまたリィナのところで寝るか?」

「ん」

「じゃあ、リオネルは約束通り俺の部屋な。使用済みだが、勘弁してくれ」

「滅相もございません。寝床をもらえるだけ、ありがたいというものです」

「それじゃあ、解散よ!」


 そして、俺たちは眠りにつく。

  

 翌朝は誰ともなく起き上がり、各々役割を果たすための行動を始めた。

 そして、各々密かに想いを募らせる。これから始まるであろう、壮大な冒険に。


 俺も、考える。

 エルフに生まれ変わってから、本当に色んな事が変わった。誰かを頼ること、大切にしたいと思うこと。

 結局俺のできること、やるべきことは戦うことだけだ。だからこそ、今回もリィナを守るためにそばにいて、戦うつもりだ。

 でも、こんな風に誰かのためにって思うようになったのも大きな変化だ。


 やっぱりどれだけ考えてもそれが良いことか、悪いことかは分からない。


 ヒセのことも考えた。

 出会って数日、種族が違うなら同じ目的があるわけでもないのに、本当に連れまわしてもいいのか。迷惑じゃないのか、と。

 でもきっと、ヒセからしてみればそんなことはどうでもいいのだ。ただ、より強くあるために、より美味しそうなものを食べるために、それに繋がりそうなことには喜んで飛びつく。そう言う性格なのだ。

 だからこそ、魔剣を手にしてもなお強く成長し、生き永らえて来た。


 そして、リィナ。

 誰よりも頑固で努力家で、迷うことを知らない我が儘姫。でももう、それに見合うだけの力を得ようとしている。頼もしい存在に、なろうとしている。


 そんな俺たち3人。きっと性格もやり方も全然違う3人だけど、それでも、成し遂げられそうな予感がするのは、なぜだろうか。


 そんなことが頭を巡り続ける1日が終わり、翌朝。


「さあ、出発よ!」


 新たなる冒険の、幕が開けた。

 と言うわけで、第2章完でございます。よいしょぉ!

 さて、第2章は丸々リィナとリネルの同棲生活を描くものになりました。いかがでしたでしょうか。と言っても後半はヒセちゃんが登場して味へんもあったので、飽きない物語をお送りで来た、と思っています。そうだったらいいな。

 そんな感じで次回からは第3章雪山探索が始まります。3人組になったリネル君たちの新たな冒険をお楽しみに!


 それでは!

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